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女の子は博士の家に着いた。
街から少し離れた場所
ほかの建物より、小さく古い。
扉は半分壊れている。
女の子はしばらく立ち止まった。
ここまで来た、でも中に入るのが少し怖い。
「博士」
お母さんがそう呼んでいた人。
女の子は意を決して中に入った。
中は静かだった。
埃の積もった机
倒れた椅子
壁には、難しい計算と、図が書かれている
その奥に、透明なケースの中で、
淡く光るものがあった。
女の子は近づいた瞬間にわかった。
ーーこれだ。
ケースの横には、古い記録装置があった。
電源は入らない。でも、消えかけの文字が残っている。
「えっと…最終でんげん」
「使用時、私 の記憶は消滅する?」
女の子は眉をひそめた
「なにこれ…..?」
よく分からない。でも大事なものということはわかる。さらに下に小さく書いてあった。
「この電源は、私が作ったロボットのためのものだ….」
ロボット
お母さんのことだ。
女の子は指先が震えた。
もし、これを使ったら、博士のことが全部消えてしまう。
プログラミング
ロボットが大切にしていた人
女の子は唇を噛んだ。
「…..でも」
博士よりも、記録よりも。
動かなくなったお母さんの方が大事だった。女の子はケースを開けた。
カチッ
その瞬間、記録装置が音を立てた。
ピッ
声が流れる。
「ーー君に託す。」
それが最後だった。
女の子は電源を胸に抱えた。
温かい。
「ありがとう….博士 」
誰に届くかも分からない言葉。
でも、言わずにはいられなかった。
女の子は、電源を担ぎ、
来た道を引き返した。
お母さんの所へ。
この電源でもう一度、動いてもらうために