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「狐爪さん、、」
静かな病室に、医者の声が響く。
「貴方の寿命はもう永くありません。」
俺は医者に問う。
「具体的にあとどのぐらいですかね、 」
医者は苦しそうな顔で答える。
「持って1ヶ月でしょう。」
俺は別に動揺したりはしなかった。
だって正直
嬉しかったから。
桜舞う季節。外からは笑い声が聞こえてくる。
「じゃ、行ってきます。」
余命宣告を受けたあの日、これからのことについて医者に聞かれた。
一ヶ月、外に出て今までのように過ごすか、寿命を少しでも永くするために治療を受けるかだった。
そんなの今までのように過ごすに決まってる、というわけで今学校に向かっている。
でも、決して学校が楽しいわけじゃない。
友達に叩かれたりする。物や紙に落書きされる。
でも、友達は本当に悪気はないみたいで、じゃれ合いだと思ってるらしい。
こっちがいくらやめてって言っても聞かないからもう黙って笑ってるけど。
でも、耐えるのはあと一ヶ月。もう頑張らなくてもいい。
正直それは嬉しい。
そんなことを考えていると、もう高校に着いていた。そのまま俺は、始業式に向かった。
始業式と軽い説明があったあと、もう部活の時間になった。
部活の時間、とは言っても、がっつり練習はしない。
はずだったのだが。
なぜか監督が先生方を説得してたみたいだ。
普通の部活らしい。
俺の病気は心因性。体にどうこうあるわけじゃない。だから体育も部活も普通にできる。
でも、俺は部活に行きたくない。
医者から、
「部活のメンバーには寿命のことは一応話しておくように。」
って言われたから。いや話したくないよ。
それで変に気をつかわれても困るし。
でも、一応。
一応、クロには話そうと思った。
「ねぇ、クロ。」
「どうした研磨」
「ちょっとこっちきて」
「嫌」
「いいから」
そんな意味わからないやり取りしながらクロを体育館から少し離れた場所に呼ぶ。
「あのさ、クロ。俺ーー」
「寿命あと一ヶ月、だろ? 」
「…は?」
「え、違った?」
「いやいや、なんで知ってんの。」
「なんでって…おばさんから言われたんだよ。」
「えぇ…」
やりやがった、母親め。
まぁでも、説明する手間は省けた。
「まぁ、知ってるならいいや。それだけ。」
部活に戻ろうとすると、クロが手を掴んできた。
「なぁ、研磨。今 やりたいことって何」
「…は?」
さっきと全く同じ反応をしてしまう。
「だーかーらー」
「研磨サンが、今したいことは何ですか、って聞いてるの」
「特になi」
「特にない禁止で」
「はぁ、、」
ほんっと面倒くさい。
でも、本当は。
本当は、クロとやりたいことがいっぱいある。
「まぁ、いろいろ?」
俺はそう応えておいた。
するとクロは笑う。
「じゃあ、研磨サンの行きたいとこ、やりたいこと、全部しよ 」
「いや無理でsy」
「明日からね!さ、今日は部活楽しむぞー!」
「はぁ!?ちょ、待ってってば!」
ーーこれからの一ヶ月。ちょっと、期待してもいいのかもしれない。
一旦切ります。
1180文字 お疲れ様でした。