〜1st scene〜
『マサって好きな人いるー?』
唐突な質問に戸惑いを隠せない俺。だって、好きな人から言われたら動揺するでしょ。
「、、お前って言ったら?」
思ってる気持ちを試しに言ってみた。これは本音。本当は軽い感じに言ったら駄目なんだろうけど。
『えぇー?絶対嘘じゃん!ていうか、そもそも俺らって”ビジネス”カップルやん?』
“ビジネス”そんな言葉が俺の心に突き刺さる。本気にされてないってことだ。
「、、、確かにな。好きな人か、、、タクヤくんかな」
俺にない輝きを持ってるタクヤくん。シューヤの次に好きな人。俺にたまにデレるところが可愛いなって思う。でも、、やっぱりシューヤと気が合うのが一番いい。
『マジか!やっぱ相思相愛かー。その恋応援するわ!』
応援されても困る。俺は、、俺は、、
「、、、うん、ありがとう」
あぁ、、もう俺はシューヤとは結ばれない運命を歩むことになった。時を戻せたらいつに戻ろう。結成当初?恋した日から?、、、もう後戻りはできない。
『実はさ俺、タカシくんと付き合ってるんだよね。だから、きっと大丈夫。何かあったら俺がそばにいるから、俺の胸に飛び込んできな!』
せぶいれ。最強の2人がくっついたらもう無理だ。”飛び込む”なんて出来るわけない。
「分かった。優しいね、シューヤは」
そう声をかけることしか出来なかった。
〜2nd scene〜
「はぁ、、」
俺はため息をついた。これからどうしようかと。
『何。どうしたの』
声をかけてくれるタクヤくん。
「いや、、あの2人が幸せそうだなって。」
幸せな2人を見て嫉妬してしまった。
『分かる笑。俺もいいなって思う。』
“いいな”そんな言葉が心に引っかかる。
「、、タクヤくんは好きな人いるんですか?」
気になって聞いてしまった。
『んー、もう叶わないかな』
それって、、。思い切って言ってみよう。
「タカシくん、、ですか?」
そう聞いた途端、時が止まったような感じになった。
『、、うん。昔からね。でもシューヤとお似合いだなって。”最強の2人”だからね』
あぁ、、タクヤくんも俺と同じなんだ。そう思った時、体が無意識に動いた。
「チュッ、、俺じゃ駄目ですか。失恋した同士、愛し合えると思うんです」
これでシューヤのことを忘れることが出来るのなら。これでタクヤくんを愛で満たすことが出来るのなら。これはこれで幸せになれる運命になるのではないか。そう思った。
「、、いいよ。お互い幸せになろう」
どこか儚げない顔をして答えた。2人で”幸せ”を掴み取ろう、そう決意した。
〜3rd scene〜
「タクヤくんと付き合ったんだよね」
後日シューヤに伝えた。元々好きな人に言うのもなんだが、報告はしておこうと思って。
『マジおめでとう!あ、じゃあさ。ハワイ旅行券のチケット4枚当たったから、ダブルデートしない?』
ダブルデートほど苦痛なものはない。
「いや、2人に悪いよ。2人で行ってきなよ」
タクヤくんに伝わる前に断りを入れておこう、そう思ってたのに。
【あれ、2人で何話しとるのー?】
丁度タカシくんとタクヤくんが来てしまった。
『丁度良かった!今、ダブルデートしないかって話をしてたんだよねー。』
あーあ、言っちゃったよ。気まずい雰囲気が流れそう。
【あ、確かに前にシューヤが懸賞で当てた旅行券のチケットがあるなぁ】
この流れは、、。
『しかも4枚!これはダブルデートしなきゃでしょ!』
ですよねー。、、、タクヤくんの反応が心配。
《あー、うん。ダブルデートしよう。》
すんなり受け入れるとは思ってなかった。俺は驚きを隠せない。でも、気持ちは明るくない気がする。
『と、いうことで、決定ー!』
【楽しみやなー!】
「、、そうだね!」
《そうだな》
これがどっちに転ぶのか。それが不安である。
〜4th scene①〜
『海だー!タカシくん、見て!』
【そうやなぁー。焦らんくても海は逃げんよ笑】
数ヶ月後、東京を出発し、ハワイに着いた俺たちは早速浜辺に出かけた。
「タクヤくん、海が綺麗ですね」
《そうだな。、、マーくん、その言葉本気にしてもいい?》
「え、何がですか?別にいいですけど」
どういうことなのかさっぱりだった俺はそのまま伝えた。
《ホテルに戻ったら、その言葉そのまま返すね》
「分かりました?」
疑問形で返してしまった。ホテルに何かあるのだろうか。
〜4th scene②〜
『疲がれだー、、やっとホテルだー』
【ほんまに疲れたなぁ。今日はゆっくり休もうな】
ホテルの部屋は4人一部屋。大部屋になっていて海も一望できる。
「あとは寝るだけですね。どうしますか?」
《俺らはどこでもいいよ。2人が先に決めなよ》
『えー!じゃあ、タカシくんとここで寝るー!』
【じゃあ、ここ貰うわ。ほんまありがとうな】
《俺らはここだな》
「ですね」
2:2で仕切りのある部屋に入り1日目の夜を過ごすことになった。きっと、2日目・3日目もそうなるだろう。
ー消灯ー
しばらくすると隣から声が聞こえた。まぁ、、察するよね。それも長い事。どちらも攻め受けみたいで、どちらの声も交互に聞こえる。
「寝れねぇ、、」
小声で言ったはずなのにタクヤくんには聞こえてたみたいだ。
《、、寝れないのか?》
「こんな甘い声出されて寝れるはずないですよ」
タクヤくんも寝れてなかったみたいで、こっちに振り返ってきた。
《俺らもする、、、か?》
俺は童貞で、誰ともしたことがない。タクヤくんから誘われるなんて思わなかった。
「無理しなくていいですよ。2人に合わせようなんて、、」
自分たちのペースでやればいい、そう思った。
《無理じゃないんだけど。逆にしたい、、、駄目?》
そう言いながら俺に被さるように跨がれた。
「別にいいですけど、、、俺童貞ですよ」
《そうなの!?ちょっと意外すぎたわ、、》
「ですよね笑」
やっぱり驚かれるよね。周りから攻めっぽい、受けっぽいと言われることが多いが実際にしたことはない。ただ、知識として知ってるだけ。
《チュッ、、浜辺で言ったこと覚えてる?》
「覚えてますけど、、結局何だったんですか?」
《”海が綺麗ですね”って”あなたに溺れてます”って意味なんだけど、、》
「え、そうだったんですか!全然知らず、、ごめんなさい」
《俺この数ヶ月間、マーくんの魅力に惹かれてってさ。俺がマーくんに溺れてるっていうか》
それって、、。
《俺、マーくんのことが好き。愛してる》
「俺も。タクヤくんの魅力にさらに堕ちた時、独り占めしたいって思いました。」
タクヤくんと付き合ってからタクヤくんを目で追いかけるようになって。見えなかった可愛さに気付いた瞬間、恋に落ちた。
《してもいい?》
「もちろんです。俺はタクヤくんに”溺れてます”」
俺たちは甘々な夜を過ごした。1日目は受け、2日目は攻め、3日目は両方。流石に毎日やると疲れ、ハワイ旅行は海と食べ物だけで観光があまりできなかった。けど、4人皆んな満足した旅行だったと言う。
『東京ただいまー!』
【楽しかったなぁ、色んな意味で笑】
《撮った写真は皆んなに共有しよう》
「ですね。お土産も渡さないといけないですし」
〜5th scene(おまけ)〜
🩷:おかえりー!
「皆んなにお土産です」
💙:ありがとう。ハワイどうだった?
《充実したよ。色んな意味でな》
💜:へー、マサヒロはどっちなの?
《んー、どっちの素質あると思う》
🩵:もしかしてマーくんって、、童貞だった?
「おいっ、大きな声で言うなよ!」
❤️:え、意外〜。でも、これで卒業したね!
「まぁ、、はい笑」
🧡:シューヤくん、それ何?
『クロム!欲しかったんだよねぇ〜』
【めっちゃ目キラキラさせてたわ笑】
ほのぼの空間になりましたとさ。
約3400字、長かったかもしれませんがここまで読んでくださりありがとうございました😊
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