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「日和、ベッドまで運んでやる」
持ち上げようと日和に手を伸ばしいてきたが、もう限界だった。待てを命じられた犬はもう欲しくて欲しくて食べてしまいたくて、伸ばしてきた手を拒んだ。
「もう限界だから……」
日和は自分から玄関ドアに手を付きサンタのスカートからお尻を突き出した。
「いいのか……?」
「いい。だって私……あんたの婚約者なんでしょう?」
「っつ――当たり前だろ、日和は出会った時から俺の婚約者だ!」
ギラギラさせたブラウンの瞳はしっかりと日和を捉えている。突き出したお尻を鷲掴みされショーツを膝まで下げられた。
フーフーと息が荒い。頬を紅潮させ額にはうっすらと汗をかいている。日和も洸夜が欲しくて限界だったが、洸夜も同じく限界だったことが目に見えて嬉しかった。こんなにも激しく自分を求めてくれるのはこの生きてきて三十年の人生で洸夜だけだ。でもそれは今まで自分が相手のことを求めていなかったからなのかもしれない。初めてこんなにも自分の身体が自分のものじゃないみたいに飛び跳ねるように嬉しくなったり、心臓を掴まれているように苦しくなったり、悲しくなったり、とにかく洸夜を求めていたのだ。
ひたりと洸夜の鈴口が早く来てほしいとねだっている秘唇に触れた。
「……っつ! はぁあんっ……ぁあ、あっ、あっーー!」
「はっ、……んんっ、日和の中すげぇ気持ちいい。腰がとまんねぇ」
秘唇を割って入ってきた雄笠が日和の奥を激しく突き上げる。打ち付けられる衝撃で胸が揺れ、全身を揺さぶられているようだ。いつもよりさらに熱く感じる熱に頭がぼーっと何も考えられない。だただたひたすら洸夜が与えてくれる大きな熱愛を受け止めることで必死だった。
「ぁあっ、なんか……あ、熱い……あっ、やっ……」
蜜壺を沸き立たせる温度がいつもよりいっそう高く感じる。もう沸騰寸前、湧き上がる空気の泡がぶくぶくと勢いを増してきた。
「いいな……こんなにも日和から求められて……食いちぎられそう」
背中洸夜が覆いかぶさり抱きしめられながら二つの膨らみを鷲掴み指の間で頂きをコリコリと扱かれた。上と下、両方からの刺激にもう快楽は吹きこぼれそうなほど泡立っている。
「んアっ……りょ、うほうは……ああっ、だ、ダメぇ……やぁあ、気持いッ……」
「日和は乳首いじられるの大好きだもんな……あーっ、俺もやばいわ……い、イキそう」
洸夜の苦しそうな息の詰まった声に嬉しくてお腹の奥がキュンとなった。
「んっ……日和……俺だけのひより……」
耳元でうわ言のように何度も日和の名前を呼び、首元に顔を埋めてはぬるりと舌が首筋を舐め上げ、チリっと痛みが走る。それも何度も。甘く、愛おしそうに。
湧き上がる快楽はもう限界。ぶくぶくと勢いよく弾けた。
「あっ、やっ、キちゃう、キちゃうからぁぁっ、あぁぁっーーー!」
全身にキュッと力が入り途端に抜ける。力ない身体を洸夜が抱きしめ、グリグリと収縮する中を掻き回して楽しんでいるようだ。痙攣する膣壁が膨張する肉棒を締め付ける。
「……ん、盛大にイッたな。でもまだクリスマスは始まったばかりだからな」
「やぁ、今動かしちゃダメッ……はぁんっ」
パンパンと肌の当たる音が玄関に響く。奥までリズミカルに突き上げられ洸夜が息を更に荒く、艶めいた声を出した。
「あー、イク。中にだしていい?」
中に? 日和の身体の中に洸夜の熱が注がれることを想像しただけで身体がビクンと熱く反応した。ヒクヒクと熱棒を噛みしめる膣口が洸夜の熱を求めているよう蜜を垂れ流す。
「あっ、はッ、あぁ……す、好きにしてッ……ンンッ……」
「俺の子孕んじゃうかもな」
「えっ、あぁっ……んァッ……やだ、っは、げし……ああぁ、ンンっーー!」
「はぁっ、日和ッ……愛してるッ……っっ」
お尻にポタポタと感じる熱。初めて感じる温かさをボーっと感じた。
(中に出さなかったんだ……)
少し残念と思う自分と、ちょっと安心してしまった自分。どちらも本音だ。洸夜の子供を妊娠してもいいと一瞬で思えたし、でもちょっと妊娠はまだ怖いと思ってしまう矛盾した自分の気持ち。
耳元に洸夜の荒い吐息を感じる。
「もう少し、二人の時間を過ごそうな」
あ、泣きそう。
「日和……」
抱き寄せられ、軽々と横抱きにされてしまう。洸夜がとても愛おしそうに日和を見つめ、頬に、額に、唇に、何度もキスを落としながら歩き出した。
トサっと優しく降ろされた場所は一度だけ一緒に寝たことがある洸夜のベッドの上。優しい月明かりがカーテンの隙間から入り込み二人を照らした。
優しく服を全て脱がされ、日和に跨りながら洸夜も自分の着ていた服を全て脱いだ。薄暗い部屋だがすぐに目が慣れ、洸夜の無駄な肉のない引き締まった肉体美がよく見える。
バチリと目が合った。愛おしそうに見つめる瞳の奥をよく見るとまだメラメラと欲情が滾っている。
「あ、あの……んっ……」
聞こうとする前に唇を塞がれた。
「まだ、全然日和が足りない」
また唇が塞がれる。
「日和、好きだよ」
肩に顔を埋め鎖骨に吸い付かれる。
「自分より他人のことばかり優先しちまう優しい日和が好き」
反対側の鎖骨にも。
「一生懸命夢を叶えて仕事を頑張ってる日和が好き」
鎖骨からツツーッと舌が首筋を這う。
「あぁ、素直じゃないところも可愛いな。自分の手で暴いていきたくなる」
「やっ……」
片方の乳房をグッと掴まれた。ぐにゃりと洸夜の手の形に合わせて形が変わる。
「俺には一生日和しかいらない」
――ゾクリとした。
真っ直ぐに熱の篭ったブラウンの瞳に吸い込まれそうになる。吸い込まれても良い。身体も心も全てが泣き叫ぶように洸夜を求めている。
「……私も好き」
素直に自分の気持を溢れ出す気持と共に言葉に出すと虚を衝かれたように目を瞬かせて洸夜はたらりと額に掛かっていた前髪を掻き上げ、深い溜め息をついた。
「聞こえなかったからもう一回」
「え……んんっ……」
優しく唇が重なった。ちゅっと音を立てて離れていく。
「だ、だから、私も好き……だって言ってるの」
「もう一回」
嬉しいのか、洸夜の瞳はうるうると涙ぐんでいる。そんなに嬉しかったのかな? でもそうだ、自分だって洸夜に好きと言われると心臓がドクドク嬉しさを鼓動の速さで表現する。名前を呼ばれるとトクンと大きく心臓が波打つ。
もしかして……そう思いそっと洸夜の左胸、ちょうど心臓のある位置に手を伸ばし触れるとバクバクと勢の良い振動が手のひらに伝わってきた。あぁ、同じようにドキドキしてこうして心臓を盛大に鳴らしているんだ。同じだ。人間だろうが、淫魔だろうが同じようにこうして心を動かしている。
「好き。……洸夜が好きよ」
恥かしいけれどしっかりと洸夜の瞳を見つめ返す。多分今ものすごく顔が真っ赤かもしれない、恥ずかしさで変な顔をしているかもしれない。でもいつも洸夜が真っ直ぐに感情をむき出しにして見つめてくれるから、日和もしっかりと洸夜を見つめた。好き、という気持ちを込めて。
「……まじで、それは反則だろ」
真っ赤に染まり。困ったような顔をした洸夜は隠すように自分の顔を片手で覆った。
「日和のせいだからな?」
(私のせい? 顔が赤くなったから?)
その瞬間フワッと甘い香りが鼻を勢いよく抜けた。溶かした砂糖のような、そんな匂い。
「あーあ、でちったじゃん。今まで隠してたのに」
「へ? はぁぁぁぁ!?」
匂いとともにブワッと現れた大きな黒い羽。見間違いでなければ洸夜の背中から出ているように見える。えーっと、これは現実? それとも夢にまた洸夜が現れたの? 頬をつねってみるが痛い。ヒリヒリした。
「あ、あんたソレッ……」
大きな黒い羽を指差す。指の先の少しだけ羽先が触れた。くすぐったい。
「羽をしまっておくのが我慢出来ないくらい俺を高ぶらせてたんだから……日和のこと抱き潰しちまうかもなぁ」
洸夜はクスリと満足気に口角を上げた。
「なななな、何言ってるのよ! ソレを、羽をしまいなさい!」
淫魔だということは理解したつもりだったがまさかこんなにも漆黒という言葉がぴったりな羽が出てくるなんて、正直驚きを隠せない。
「やっぱり怖いか? 淫魔な俺の事……」
あんなに満足げな顔をしていたのに急に自身がなくなったようにしょぼんと肩を落とした。不安なのだろうか、羽がでたことによって日和が離れていってしまうとでも考えてしまったのだろうか。何を洸夜が思ったのかは分からないが羽があろうが、無かろうが、洸夜に変わりない。ただ少し驚いただけだ。