広々とした宴会場。
丸テーブルにクロスを掛ける作業を任された華は、腕いっぱいに布を抱えて奮闘していた。
「よいしょ……」
背伸びしてテーブルに広げようとした瞬間、布の端が肩に絡まり、バランスを崩す。
「――危ない」
すぐ背後から伸びた腕が、華の身体を支えた。
振り返ると、律の顔がすぐそこにあった。
思わず息を呑む。
律は落ち着いた声で言った。
「クロスは対角を持って、一気に広げるんです。見ててください」
彼が布をひらりと広げると、テーブルの上にきれいに収まった。
至近距離で見上げる華の胸は、鼓動が速まるのを抑えられなかった。
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