夕方は綺麗なオレンジ色だった空が、今は分厚い雲に覆われている。窓には大きな音を立てながら雨が叩きつけ、遠くでは雷も鳴っている。近くの街路樹も折れそうな程に踊り狂っていて、葉の間をすり抜ける風の音も恐ろしい程に大きく鳴り響いていた。
部屋の中では、一糸まとわぬ姿の俺たちが動物のように互いを求め合っていた。俺の腕の下で絶え間なく可愛らしい喘ぎ声をあげている恋人は、いつもは端正な顔を真っ赤に染めて目にいっぱい涙を溜めて指の関節が白くなるほど強くシーツを握っていた。
「ぼびっ……ふぁぁぁん……んんん」
「チュッ……かわいい……もっと声出して」
「やだ……んんんっやぁぁ……そと……きこえる……」
「外は嵐やから……誰も聞いてへん……」
風呂から出たあと、2人で寝ようと布団に入ったあと、ふざけてキスをし合っていたら、徐々にそれが深くなり止まらなくなってしまった。明日は外での仕事だからすぐに終わらせようと思って始めたが、1回目の現在それだけでは終わらなさそうな雰囲気になってきていた。
どこを触っても滑らかな白い肌を舌先でゆっくりと愛撫し、胸の突起を赤く腫れ上がるまで吸っていじって弄んだ。気づくと、カクカクと腰を振って俺を誘うように見つめているニキと目が合った。何も言わず、ただ見つめてくる潤んだ瞳。俺はそれを無視して、再び胸の突起に口を戻そうとした。すると、パシッという乾いた音を立てて俺の頬を手のひらで挟んで、自分の顔の方に俺の顔を導いた。俺は特に抵抗することも無く、導かれるままに顔を移動させ、至近距離でニキを見つめた。
「も……そこいい……」
「でも、気持ちいいやろ?」
「そだけど…他も触って欲しい……」
「他ってどこや?……ほら、言わな触ってやれんよ?」
「ぼび……のいじわる……」
「ふはww 顔真っ赤やし目、うるうるやんww」
「っるせ…」
憎たらしい言葉を吐きながら、切なそうに腰を振って俺に自身の硬くなり始めたものを擦り付けて来る。その姿が淫靡で、俺自身にもどんどん熱が集まり始めていた。それでもどうしても言って欲しくて、たまに胸の突起を爪先で弾きながらニキを見つめていた。
すると、業を煮やしたのかおれの腕を思いっ切り引っぱって体制を逆にしてきた。上下が入れ替わり、ニキに見下ろされているという慣れない状況に、少しだけ戸惑ってしまった。少しの間固まってしまっていた俺を無視して、ベッドサイドの引き出しからローションを取りだしたニキは、それを自分の指に絡ませてゆっくりと自分の中へと埋め込んでいった。クチュクチュと怪しい水音をたてて自身をほぐしながら、流し見るように俺を見つめているニキは、緩く開いた唇の間から少しだけ舌をのぞかせて荒い息を吐いていた。
「はぁ……はぁ……も…いいかな……」
チュプッと濡れた音をたてながら指を抜くと、今度はゴムを取りだして軽く噛んで中身を取り出した。そして、それを口に咥えると、上体をずらしてすっかり勃ち上がってしまっていた俺自身にゴムを当てるように口を持って行った。そして、下と唇を器用に使って歯を当てないように慎重に装着させてきた。その間、ゴム越しとはいえ生暖かい口内や舌を感じ、思わずビクビクと身体を震わせてしまっていた。それを、ニキは上目遣いで俺を見つめて目だけでニコッと笑っていた。そして、パチンっと音を立てて根元まで装着を終えると、それを片手で支えながら再び腰に跨るように移動してきた。
「入れるね……」
「……えぇで……」
目の前で俺を求めてどんどん淫乱な姿を露わにしていくニキに、俺は思わず上擦った声を出しながら返答した。その答えを聞き終わる前に、ニキはゆっくりと腰を下ろして自分の中へ俺自身を埋め込んで行った。
「んはっ……んんん……ぁぁぁぁぁ」
「っ……ふっ……はぁ……」
「ぁぁぁ……はいったぁ……」
「はぁ……はぁ……お前……中トロトロやん……」
「ぼびも…いつもよりおっき……中でビクビクしてる」
「そりゃ……エロいお前みてたらこうなる……w」
「うれし……んんっ……」
「ほら……動かんと……イけんやろ?」
「わかって……んんっ……はぁ」
ゆっくりと上下に動きながら快感を追うニキ。でも、手足に力が入らないのか、少し痙攣するように震えながら腰を振っていた。その様子が可愛くて、俺はニキの中でビクンと質量を増してしまった。それを肉壁越しに感じたらしいニキは、全身をビクビクと痙攣させ倒れ込んできた。そして、力なく俺の胸に顔を埋めると、荒い息を整えるように深呼吸をした。
「中でおっきくするなよ……///」
「しゃあないやろw お前、エロいんやもん♡」
「っ……仕返し……チュゥ……」
「っ……」
「ん……上手についた♡」
ニキは、俺の首筋に思い切り吸い付くと、そこについた跡を指先でなぞりながら満足気な表情で笑った。その笑顔が可愛くて…エロくて……俺は一瞬頭が真っ白になりそうになりながら、ニキの腰を両手で掴んで下から思いっ切り突き上げた。すると、笑顔だったニキはその勢いで髪を振り乱して上を向くと息をするのを忘れたように喘ぎ始めた。
「かっ……はっ……んんんァァァ……」
「おまえ……はぁ……んっ……すごい締め付け……」
「んやぁぁぁぁぁ……んんんんんんっ……」
「も……わけわからんくなっとるやん……」
腰をうちつける音と水音、互いの荒い息とニキの喘ぎ声だけが耳を刺激する。時折、キツく締め付けてくる肉壁に搾り取られそうになるのをグッと下腹に力を入れて堪える。下からの刺激が強すぎるのか、体勢を崩しそうになるニキを支えて再び組み敷くような体勢へと戻した。
「ぁっ……んん……」
「容赦……できんかも……」
「い…い…好きに突いて……めちゃくちゃにして……」
「っ……煽んなっ……」
俺の腕を強くつかみ、潤んだ瞳で見上げてくるニキは何よりもエロいのに綺麗だった。その姿に俺は眩暈を覚え、無意識のうちにニキの鎖骨に歯を立てていた。
「った……んんんっ……」
一瞬だけ痛みに苦悶の表情を浮かべたニキにまたそそられて、俺は噛むのをやめて赤く残った歯型をゆっくりと舌先で刺激した。少しだけ鉄の味がするそこをしつこいくらいに愛撫し、思い切り腰をうちつける。先程まで痛みに耐えるような表情だったニキは、痛みと快感に翻弄され絶え間なく嬌声をあげていた。
「んぁ……はぁぁぁん……やぁぁぁぁ」
「んっ……はぁ……中めっちゃ絞めてきよる……」
「しらなっ……ぁぁぁぁぁぁ」
「噛むの……きらい?」
「いたいけど……やじゃ……ない……」
「はっ……淫乱……♡」
キュンキュンと締め付け続ける肉壁に、なんども負けそうになりながら腰を進める。内側をかき分けながら進み、逃がすまいと締め付けるのを無視して後退させる。それを何度も何度も繰り返し、目の前で快感に耐える愛しい人を見つめる。目から溢れた涙が頬をつたい落ちていく。それすら逃したくなくて、舌先で舐めとると驚いた顔をされた。
「なっ……んんっ……」
「お前は全部甘いな……はぁ……」
「なにいって……やぁぁ……」
「もっともっと感じて……」
「んんんっ……はぁ……ぁぁぁん」
「俺のことしか考えれんようになれ……」
何度も何度も奥の奥まで突き上げ、肉壁を擦り上げて快感を与え続ける。このままニキとひとつになれたら…離れなくてもよくなればいいのに…。そう思いながら、何度も何度も首筋や胸元へ吸い付いたり噛み付いたりして無数の跡を残した。その度に締め付けてくるから、きっとニキも感じてくれてるらしい。ふと、頬に手が当たった気がしてニキの顔を見てみると、そっと舌を出してキスを強請ってきていた。その物欲しそうな顔が可愛くて、たまらず貪るように唇を合わせた。
逃げるように奥へ行く舌を追いかけ、根元から絡ませる。それを優しく吸うと口の端から混ざりあった唾液が溢れていく。上と下から零れる水音を聞きながら、互いにどんどん高まり始めていた。もう言葉は必要なかった。キスの合間に目を合わせ、どちらからとも無くまた唇を合わせる。打ち付ける腰も止めず、互いに快感を追い続けた。
「もっ……でるわ……」
「んっ……いいよ……だして……」
「くっ……はっ……ぁぁぁ」
「んんんんんっ……ぃやぁぁぁぁ」
何度も絶頂を逃していたから、強すぎるほどの快感が駆け巡って脱力した。ニキも互いの体の間て何度目かの熱を吐き出していた。力の入らない手でそっと身体を起こすと、ニキの隣にドサッと寝転んだ。はぁはぁと荒い息を整えながらニキの方を向くと、上を向いたまま軽く痙攣を続けていた。
「ふはっ……飛びそうになったんか?」
「んっ……すご…かった……」
コロンとこちらに身体を向けてきたニキは、もう力が入らないようで今にも眠ってしまいそうな顔をしていた。微睡んだような表情がなんとも幼く見えて、今のニキの状態とチグハグでそれがまた俺にとってはクルものがあった。上半身に散らばっている赤い所有の証と噛み跡が、先程までの行為の激しさを思い出させて少し恥ずかしくなった。
「ぼびぃ?…おれね、すごくぼびぃのことすきみたい…」
少し舌っ足らずな、甘えたような口調で話すニキはいつもよりも可愛くて、胸の当たりがキュウっと締め付けられるような感覚になった。俺は、自然と頬が緩み優しく彼の頭を撫でた。
「俺も結構お前のこと好きやで?」
「へへっ……うれし♡」
「ほら……もう体辛いやろ?はよ寝よ」
「んっ…ぎゅーして?」
「ふはww すごい甘えたやな♡ ええで…おいで」
「ふふふ♡ おやすみ、ぼび」
「チュッ……おやすみ」
広げた俺の腕の中に迷うことなく滑り込み、ニコニコと笑いながら俺を見上げてくるニキは、本当に可愛かった。なかなか素直に気持ちを伝えてはくれない彼だからこそ、こういう時に言ってくれると破壊力がある。今夜は眠れなさそうだなと思いながら、彼の額に可愛らしい口付けを贈ると、すぐに穏やかな寝息が聞こえてきた。
そんな彼の頭を撫でながらふと窓の方を見ると、先程までの嵐が嘘のように止み、満点の星空になっていた。キラキラと瞬く星たちに静かに見守られながら、俺はそっと瞼を閉じて腕の中の温もりだけを感じることにした。眠れなくても、この温もりがあるだけで心も身体も満たされたような、癒されていくような気がした。
きっと、彼が思うよりも彼に依存し頼っているのは俺の方なんだろう。でも絶対に教えてやるつもりは無い…。
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