夕方の空は都会のガラスに移りながらゆっくり色を変えていた。
時間的に学生やスーツを着た人が多く足音が絶えない。
「時間帯まちがえたね 」
「のあさんの忠告大人しく聞いとけばよかったー、」
えととなおきりは人が多い時間帯に家を出てしまったことを後悔する。
リビングで暇そうにしているとのあから夕飯の買い出しに行って欲しいと頼まれふたりで家を出た。
家を出る前にのあから「もうちょっとで帰宅ラッシュ巻き込まれそうだから早く行ったほうがいいよ」と一応忠告されたのだが、2人は大丈夫〜とゆっくり準備していた。
あまりの人の多さに2人ともため息がでる。
「よし、えとさん、走るよ!!」
なおきりはそういうとえとの手首を優しく掴み人混みを抜けていく。
以外にもスラスラと進めることに驚いているとあっという間に人混みからは抜けていて、目的地の近くまで来ていた。
「ちょーっと、走りすぎかも」
「いや、まあ、ちょっと走りすぎたわ」
普段からインドアな2人は久しぶりの運動という運動に疲れ、肩で息をする。
少し歩くと目的の場所につき買い物をはじめる。
「のあさんからちょうど買うもの連絡きてた!」
「ささっと終わらせちゃうかー」
のあからの連絡通りに商品をカゴに入れていき、レジに向かう。
「結構多くない?帰りいけるかな」
「帰りタクる…?」
想像以上に荷物が多くなりそうだったのをみて2人は顔を見合せて考える。
「まあ、人混み抜けられるとこまではタクシーで」
「残りは歩くか〜」
なるべく節約する為にも最低限は歩くことにした。本来は来た時と同じように歩きだったため、まあいいだろうと。
全てレジを通し終わり袋に詰めると、3袋分をどう持とうという話になった。
タクシーが来れそうな場所に行くまでも多少歩かなければならない。
なおきりが流石に2袋持つよ、という中えとはそれは悪いよ!といいながらも2袋持ち続けられる自信はない。
「じゃあ半分こしよう。そっち持って!」
「確かに、半分ね」
話した結果1つの袋を二人で片方ずつ持つことになった。なかなかに2人らしい結果になった。
少し歩いてタクシーを捕まえ乗り込む。ある程度近くまで行ったら、残りは歩き。
10分、15分程度の道のりも荷物を持っていればいつもよりきつく感じる。
しかし半分ずつ持っている分、きつさも半分こ。
家に着くと、出る前よりリビングの方が騒がしくなっているのがわかった。
2人は半分ずつ持ったまま、キッチンの方へ入っていく。
「ただいまー」
「買ってきたよ」
声をかけるとすぐにのあがひょこりと顔を出してきた。
すると片方ずつもっていたのにウケたのか笑顔で声をかけてくる。
「ありがとう! まってずっとそれで
帰ってきたの??笑」
「うん、重たかったから半分こした」
「なんかはじめてのおつかいみたいでかわいい、みんな呼ぼ 」
想像もしなかった反応になおきりとえとは顔を見合わせる。
のあがみんなきてーと声をかけると既に帰って来ていたメンバーが集まってきた。
「はじめてのおつかいみたいでしょ!?」
「確かにそれやわ!なんか幼くみえてくるわ」
「親子にも見えるわ、やってる事かわい 」
のあの発言にたっつんとじゃぱぱが付け加えるように言う。
「そんなおもしろいの?笑」
「えとさんが言い出したんだよ、半分ずつねって」
「えとさんらしいわ」
「微笑ましい」
こんなに大きな反応をされると思っていなかったふたりは驚きながらもみんなと一緒に笑う。
ふたりの様子に
明るい声が溢れるシェアハウスだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!