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「やっぱり子連れだと、思うようにいかねぇな……」

「そうですね。今日の事で、出掛ける時はより一層気をつけなきゃって思いました……星奈が見つかって、本当に良かった……」

「本当だな。けどな、環奈一人が背負う事はないんだぜ? 海里と星奈は俺たちの子供なんだ、これからも二人で気をつけていこう。だから、もう泣くなよ?」

「……はい……」


今日の出来事を振り返りながら帰路に着いた俺たちは、自宅に着いてすっかり目を覚ました二人と風呂に入り、遅めの夕食を取った。


そして、いつまでも眠らない二人の相手をしてから数時間、ようやく眠った二人をベッドに寝かせ、俺たちも床につこうとすると、


「……っう……」

「環奈? どうした?」

「ちょっと、気持ち悪くて……」

「吐きそうなのか?」

「ううん、そこまでは……何だか、目眩も酷いし……やっぱり寝不足からの体調不良……かもしれないです」

「本当に大丈夫か? とりあえず、薬飲んどくか?」

「いえ、暫く横になっていれば直に治まりますから……」


大丈夫だと環奈は口にするけど、顔色は悪くなる一方だ。


流石に不安に駆られた俺は、ふとある事を思い出す。


「……なぁ環奈」

「はい?」

「お前、このところその……月のもの、来てるのか?」

「え?」

「いや、その……気持ち悪いとか、目眩とか、海里と星奈を身篭った時も、似たような症状が出てただろ? だから、もしかしたらって……」


そんな俺の言葉に環奈はハッと何かに気付いたように目を見開いた。


「言われてみれば、来てません……。忙し過ぎてすっかり……」

「それじゃあ、もしかしたら……」

「……もしかしたら、妊娠……してるかも……」


環奈のその言葉に俺は嬉しくなるけど、よくよく考えると、もし本当に子供が出来ていたとしたら、今でもかなり忙しい環奈に更なる負担をかける事になる訳で、そうなると手放しでは喜べない。


そんな俺の表情が気になったのか環奈は、


「……万里さんは、もし、子供が出来ていたとしたら、嬉しく……ないですか?」


そう不安そうな顔で聞いてきた。


「馬鹿! んな事ある訳ねぇだろ? 嬉しいよ? だって、俺らの子供だぜ? 嬉しいに決まってるだろ?」

「でも、万里さんの表情が、どこか浮かないような気がして……」

「それは、もし今子供が出来たら、お前に負担がかかっちまうから……それが、不安なんだよ」

「……そう、だったんですね。良かった……。それなら平気です。今だって、負担だなんて思っていませんよ? まだきちんと検査してみなきゃ分からないけど、妊娠していたとしても、私なら大丈夫です!」

「……環奈」


本当に、環奈は強くて頼もしい。


母親になってからは、特にそう思う。


「そっか……。それじゃあとりあえず、病院行かなきゃな。きちんと調べて、分かったら海里や星奈にも報告しなきゃな」

「そうですね」


環奈の身体をギュッと抱きしめながら、俺は言う。


「……環奈、不安な事があったら、すぐに俺に言えよ? 絶対、無理だけはしないでくれ」

「……はい、分かってます」

「大好きだ、環奈」

「私も、万里さんが大好きです」


見つめ合い、唇を重ね合わせた俺たちは、今宵も幸せな気持ちを抱きながら眠りに就いた。



そして後日、環奈のお腹に新たな生命が宿っている事を海里や星奈に伝えると、二人は早くも弟か妹が出来る事を喜んでくれたのだった。



- END -

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