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#鬱展開
Mist-404
1,165
mogyumogyuGemi
646
GENESIS・中央制御室
00:00:59
00:00:58
赤い数字が刻一刻と減っていく。
巨大な中央制御室。
壁一面のモニターには、世界各地へ伸びるGENESISの反応が表示されていた。
そして、その中央――
一人の男が立っている。
ソウヤが拳を構えた。
「……誰だ、お前。」
男がゆっくり振り返る。
その顔を見た瞬間。
千太たちNWOの空気が変わった。
「……こいつ。」
マリアも警戒する。
マダラ、鬱星、バスティーユも即座に戦闘態勢へ入った。
男は彼らには目もくれない。
ただ――ソウヤだけを見ていた。
いや。
正確には、
ソウヤの中にいる存在を。
男が静かに口を開く。
「久しいな。」
ソウヤが眉をひそめる。
「……俺を知ってるのか?」
返事はない。
代わりに。
ソウヤの意識の奥で――
レイが低く呟いた。
「……デウス。」
ソウヤの目が見開かれる。
(知ってるのか!?)
男――
覇者の使徒、デウス。
その口元が僅かに上がった。
「やはり、そこにいたか。」
覇者の使徒
タジが端末を確認しながら叫ぶ。
「ソウヤ!そいつ、Az側じゃない!」
「何?」
「GENESISの登録情報に存在しない!」
デウスが淡々と答える。
「当然だ。」
「私はこの施設の人間ではない。」
千太が一歩前へ出る。
「じゃあ何で中央制御室にいる。」
「お前たちより先に到着した。それだけだ。」
デウスが世界地図へ視線を向ける。
「Azの計画そのものに興味はない。」
そして再びソウヤを見る。
「私が確認したかったのは――」
一拍。
「そこにいる者だ。」
ソウヤの表情が変わる。
「……レイのことか?」
デウスは答えない。
その沈黙だけで十分だった。
(レイ。)
「今は奴と話すな。」
(でも、お前――)
「ソウヤ。」
いつもより強い声。
「GENESISを止めろ。」
残り五十秒
00:00:50
タジが中央端末へ走る。
「止め方を探す!」
だが直後。
ガコン!
床と天井が同時に開いた。
Azの防衛兵器。
十数機。
中央制御室へ侵入した全員を排除するため、一斉に砲口を展開する。
千太の目が鋭くなる。
未来が走る。
「全員、伏せろ!!」
ドドドドドォン!!
砲撃が交差。
NWOが一斉に散開する。
「マリア、左!」
「はい!」
「マダラ、二秒後に正面!」
マダラが踏み込む。
「灰蝶、後ろ!」
鬱星も即座に反応。
「バスティーユ!」
「任せろ!」
大型機が突進してくる。
バスティーユが真正面から迎撃。
ドゴォォォン!!
衝撃が制御室を揺らした。
千太は戦いながら叫ぶ。
「ソウヤ!」
「こっちは俺たちがやる!」
ソウヤが頷く。
「頼む!」
デウスは動かない
奇妙だった。
防衛兵器はデウスにも攻撃している。
だが――
デウスはほとんど動かない。
砲撃が迫る。
直撃寸前。
僅かに身体を傾ける。
ズドォン!!
背後だけが吹き飛ぶ。
次の攻撃。
首を傾ける。
回避。
さらに三方向から同時攻撃。
それでも――当たらない。
ソウヤが思わず見る。
「……何だ、あいつ。」
レイだけは驚いていない。
「見るな。」
(でも……!)
「奴の相手をする時間はない。」
収容中枢
一方――
生命維持率 17%。
「ネリクマ!」
結衣の声。
「そこ!」
ネリクマが巨大な制御装置へ掌を向ける。
「分かった。」
破壊対象を限定。
生命維持系統には触れない。
狙うのは――
カプセルを強制封鎖しているロック機構だけ。
strāgēs(破壊)。
ピシッ――!
一つの亀裂。
そこから破壊が必要な回路だけを伝っていく。
バキッ!
第一ロック解除。
バキバキッ!!
第二。
第三。
次々とランプが緑へ変わる。
結衣が叫ぶ。
「いける!」
だが――
背後。
巨大防衛兵器が砲口をイレイダへ向けた。
「イレイダ!」
アリスが叫ぶ。
「分かってる!」
イレイダは刀を握り直す。
既に身体にはかなりの負担が蓄積している。
それでも。
一歩。
床が沈む。
二歩目。
姿が消える。
超身体能力による爆発的加速。
巨大兵器が照準を合わせるより――
速い。
イレイダが跳躍。
全身の力を刀へ集約する。
「邪魔だぁぁぁ!!」
斬皇破断――
刀身が振り抜かれる。
「カイザーインパルス!!」
ズガァァァァァァン!!!
装甲が断裂。
そのまま衝撃が巨体を貫き――
背後の壁まで一直線に亀裂が走る。
巨大兵器が崩れ落ちた。
イレイダが着地。
「……っ!」
膝をつく。
「イレイダ!」
アリスが駆け寄る。
「平気だ。」
「平気じゃないじゃん!」
「まだ動ける。」
「そういう問題じゃ――」
イレイダがアリスの頭へ軽く手を置く。
「まだ助け終わってないだろ。」
アリスが言葉を止める。
そして頷いた。
「……うん。」
名取家・地下祭壇
ズズズズズ……!
名取惣一たちの前で、黒い影が再び増殖する。
刹那が刀を構える。
「私が道を開きます。」
刀身が揺らぐ。
一つだった剣閃が無数へ。
hallucinatio gladius――幻剣。
敵の視界。
右から刃。
左から刃。
正面。
背後。
どれが実体なのか判別できない。
刹那が影の群れを駆け抜ける。
ザンッ!!
一体。
ザザザン!!
三体。
さらに五体。
だが切断された影が再生を始める。
「夢幻!」
「分かっている。」
夜鳴鵺夢幻が前へ。
指先を静かに向ける。
その瞬間――
空気そのものが淀んだ。
exsecratio Carmen――呪詛。
刹那が斬り刻んだ傷口へ、黒い紋様が侵食する。
再生が止まる。
さらに呪詛は内部へ。
ボロ……
ボロボロボロ……!
黒い影が崩壊していく。
惣一が二人の作った道を見る。
「十分だ。」
神足通。
姿が消える。
次の瞬間には祭壇最深部。
そこに――
古い石板。
名取家の紋章。
惣一が文字を読む。
「……これは。」
刹那が追いつく。
「惣一様?」
夢幻も石板を見る。
そして。
三人の表情が変わった。
GENESISとは別の場所で――
名取家の過去もまた、開かれようとしていた。
東京湾・グランVS間宮
バギィィィン!!
間宮トオルの障壁が砕ける。
グランが踏み込む。
間宮が右へ回避。
Ability Researchによる予測。
しかし。
グランは追わない。
「……?」
一瞬の迷い。
それこそが罠だった。
グランが海面を蹴る。
轟ッ!!
正面からではない。
真上。
間宮が顔を上げる。
遅い。
グランの踵が障壁へ。
ドゴォォォォン!!
間宮が海面へ叩き落とされる。
マランが遠方から叫ぶ。
「グラン!」
Azの増援をペインと共に押さえながら、グランの状況を確認する。
グランは振り返らない。
「こちらはいい。」
「分かった!」
マランは即答。
まだ――
マランとグランの間に亀裂はない。
GENESIS・残り二十秒
00:00:20
「ダメだ!」
タジが叫ぶ。
「通常操作じゃ権限が足りない!」
ソウヤが端末を見る。
「Invaderは!?」
「使えば早い。でも――」
タジの手が震える。
さっき脳へ逆流を受けたばかり。
再使用すればどうなるか分からない。
「俺がやる。」
「タジ!」
「時間がない!」
00:00:16
タジが接続しようとする。
その時。
「やめておけ。」
デウス。
全員が振り向く。
タジが睨む。
「だったら方法知ってるのか!」
「知っている。」
「……何?」
デウスが中央端末を見る。
「そのカウントダウンは、起動までの時間ではない。」
ソウヤの表情が変わる。
「どういう意味だ。」
00:00:12
デウスは答える。
「既に起動している。」
「これは――」
世界地図を見る。
「選別が終了するまでの時間だ。」
選別
00:00:09
タジが画面を見る。
世界各地に存在していた赤い光。
次々と――消えていく。
「何だ……?」
00:00:07
数百。
数十。
十。
00:00:05
五つ。
四つ。
三つ。
千太が戦闘中にもかかわらず、突然頭を押さえる。
「ぐっ……!」
マリアが叫ぶ。
「千太さん!」
未来が変わる。
膨大だった分岐が――
一本へ収束していく。
「なんだ……これ……。」
00:00:03
二つ。
そして。
00:00:01
最後の一つ。
00:00:00
静寂。
世界地図に残った光点が――
黒く染まった。
デウス
ソウヤが画面を見る。
「……何が起きた。」
デウスは黒い光点を見つめている。
初めて。
その表情から余裕が消えた。
「……そういうことか。」
レイが反応する。
「デウス。」
デウスがソウヤを見る。
「時間は思っていたより残されていない。」
「何の話だ!」
デウスは答えない。
代わりに――
「一つだけ聞こう。」
ソウヤではなく。
レイへ。
「いつまで、その少年に隠すつもりだ?」
ソウヤの瞳が揺れる。
「……何を?」
レイが即座に告げる。
「聞くな。」
「レイ?」
デウスが続ける。
「お前が何者なのかを――」
瞬間。
transmigratio。
ソウヤの表情が変わった。
レイが強制的に前へ出る。
「それ以上喋るな、デウス。」
その声。
その殺気。
デウスが僅かに笑う。
「……やはり変わらないな。」
二人の視線が交差する。
ソウヤは自分の意識の奥から、その光景を見ていた。
(何なんだよ……。)
(お前たち――)
(どういう関係なんだ?)
レイは答えない。
そしてデウスもまた、
「零」という名だけは口にしなかった。
エピローグ
東京湾。
グランが突然動きを止める。
「……。」
間宮が血を流しながら笑う。
「感じましたか?」
マランが振り返る。
「グラン?」
グランの赤い片目が、遥か遠方を見据える。
「この気配……。」
同時刻。
ハルシオン。
フランも観測装置へ目を向ける。
名取家の地下では、惣一たちの前にある石板が振動を始める。
収容中枢。
ネリクマがふと顔を上げた。
「……?」
イレイダも刀を止める。
「なんだ……この感じ。」
そして中央制御室。
千太だけが――
一瞬先を見た。
荒れ果てた大地。
黒く染まる空。
そこに立つ巨大な影。
そして、その存在と向かい合う――
グラン。
「……来る。」
ソウヤの意識が千太へ向く。
(何が?)
千太の声が震える。
「とんでもない奴が――」
「目を覚ました。」
その隣。
デウスだけが静かに呟く。
「始まるぞ。」
「――覇者に至る戦いが。」
第83話 完
コメント
1件
いやあ、第82話、めっちゃ熱かったわ…!デウスめっちゃ不気味でカッコよかったし、レイとの因縁が気になりすぎる。カウントダウンの演出が上手くて、読んでるこっちまで焦った。千太の未来視で「グランが立ち向かう存在」ってのが出てきたのも震えたし、最後の「覇者に至る戦い」って言葉で鳥肌立った。次回が待ちきれない🔥