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第1話「依存のはじまり」
(ルビーside)
紫霊と付き合って3ヶ月が経った。
俺は、絶望した。
どういうことか簡単に説明すると…
俺は今、葛藤の真っ只中にいる。
紫霊が、構ってくれない。
いや、構ってはくれる。
その後の問題だ。
ひとつ話が終わらないうちに、そろそろ帰らなければいけない、と言ってすぐ帰っていってしまう。
そっちにも事情くらいあるだろう。
そちらは吸血鬼が管理しているから俺は詳しくは知らないが…
でも確実に俺は、紫霊に避けられている。
何故なんだ…
俺が自分の話ばっかりするから?
だが、黙っていても紫霊は話しかけてはくれない。だから俺から話しかけるしかない。
だが、話しかける度に段々と…紫霊の口数は減っていき、まるで……俺と紫霊の間に壁が出来てしまうような、そんな気がしてならない。
…紫霊のことだ。
元々の性格上、戦闘以外でのそういう集中力はあまり兼ねていない…
って、自分でも言ってたしな。
だから俺が、気に病む必要なんて…ないのかもしれない。
だが、それでも…気にしてしまうものはしてしまう。
紫霊が俺を面倒くさがっていないか、とか、
何か事情でも隠しているのだろうか、とか…
…俺は、周りの人がだんだんと離れていく辛さを知っている…
もうそんなのは御免だ。だから俺は、異様にそういうことを気にしてしまうのだろう。
あぁ…アイツがこんな俺を見たらきっと、俺らしくないな、って言うよな。
そもそも、俺らしい…って何なんだろう。
俺は、果たして『俺』でいれているのか。
自分って……なんなんだろう。
俺は…ナツキを失った日以来、ずっと一人で…
…孤独だった。
あの時は復讐のことで頭がいっぱいだったのだろうか……寂しさ…などは特にあまり感じなかった…はずだった。
だが、今思えば…あの計画の中には、きっと『寂しさ』が埋め込まれていたのだろう。
現に俺は、紫霊にまともに相手されなくなって、すごく気にしてしまって…正直、寂しい。
だから俺は、一人では自分らしさだなんてそんなもの、見つけられるはずがないんだ。
誰かに依存しなければ、縋らなければ、上手く生きて行けない。
だって俺の、幻想郷を笑顔で満ち溢れる場所にしようと『頑張る』のも…ナツキのためじゃないか。
紫霊の命が危ぶまれた時俺は、俺の中での、アイツの重大さに、改めて気づいた。
俺は、お前がいないと、あまりにも……
だからこそ、もう二度とは失いたくない。
俺の元を、二度と離れてなんかほしくない。
あぁ俺今、笑って…ないな。
たくさんの人を…笑顔に…したいのに。
自分が…笑顔でいれてないなんて。
…笑顔でいなくては。
俺が、無理にでも楽しそうにしなくては。
そうでもしないと…
アイツは…紫霊は、誰かに盗られてしまうかもしれない。
そんなの俺にとっては絶対に御免だ。
自分がいない間に…もし他の奴を見ていたら?
もし俺以外の奴に…惚れてしまったら…?
そう考えると、気が気ではない。
あの時紫霊は…こんな気持ちだったのだろうか。