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6件
わー!!見るの遅れた…今回も楽しいお話ありがとうございました!!今の時期にるぅとくんのとてるとくんのが出たのはるぅとくんのワンマンがあったからかな?笑続き楽しみにしてます!
すごい…!魔法使いのやつもいい!神作品になる予感♪

まっじで新作ほんとに天才です、もう主さんほんっとに尊敬してます!
王宮の庭園を飛び出した幼い王子は、森の奥へと必死に駆け込んだ。膝には擦り傷があり、血がにじむ。枝や蔓に躓き、息を荒くしながら前へ進むが、体力は限界に近かった。
「はぁ……はぁ……」
追手の足音が近づくたび、心臓は早鐘のように打ちつ。木の根に躓き、膝から大きく転ぶ。痛みに顔を歪めながらも、泣きそうになるのを必死でこらえた。森の暗がりにひそみ、震える手で枝を握る。目の前の闇は濃く、逃げ道は限られている。
痛みと恐怖が少年の意識を蝕み、視界は薄暗く、世界がゆっくり揺れた。
「……もう、だめ……」
体が震え、意識が遠のく中、かすかに何かに触れられた感覚があった。
それは暖かく、柔らかく、どこか安心する感触。
淡い光が膝の傷を包み込む。
目を開けて、誰か確認しようとるすが、頭の中がふわりと宙に浮くような感覚に包まれた。
「……だ、誰……?」
声は出そうで出ない。
世界は光に満ちて音も風も遠くなり、ただ不思議な温かさだけが胸に残った。
そのまま、少年はゆっくりと意識を手放した。
――それから何年も経った。
王子である僕、るぅとは、城の中での生活に追われていた。
この国では、魔法の存在は日常の裏にひそむ影のようなものだった。大半の人間は、魔法を目にすることすらなく、触れることもできない。
城の中でも、魔法を扱えるのはごく一部。衛兵や魔法士など特別な訓練を受けた者だけが、限られた範囲で攻撃や防御の魔法を使うことができる。
僕も王族としての素養を受け継いでいるが、使える魔法は基礎的なものに限られる。
だからこそ、幼い頃に森で体験したあの光の記憶は、今でも僕の胸に鮮やかに残っている。誰が放ったのかも分からない力に包まれた瞬間――それは、城の中で学んだ魔法の理屈とは、まるで違うものだったから。
「陛下、少しお時間を。今日のご予定についてご確認を。午前中は庭園での謁見、午後は舞踏会の準備、夕方からは議会での公務です。移動の時間も含めれば、休息はほとんど取れません」
るぅとは軽く肩をすくめる。
「でも、今日も少し森を歩きたいんだ」
「またですか、陛下。王宮の外での行動は慎重にしていただかないと、万が一貴方に何かあれば……」
「ころん?」
「はっ」
「何度言えばわかるの?2人の時はその話し方やめてってば」
「規則ですので」
「…命令だけど?」
「…………はぁ。少しは俺とお前の立場を考えろよ。」
「立場とかそういうの、いいって。」
「お前が良くても俺はよくないんだよっ…!いいから、今日は大人しく引き篭もって務めろよ」
「やだ。行く」
ころんは深いため息をつき、頭を軽く振った。
「……本当に、こいつは……」
目の前で身勝手に振る舞う王子に、思わず呆れた顔を見せる。けれど、幼馴染としての情や、かつて子供の頃に一緒に遊んだ記憶が胸の奥にあるため、強く叱ることもできない。
「……仕方ないな。ついてってやるから、変なことすんなよ」
ころんは小さく舌打ちをして、少し苦笑した。
るぅとは嬉しそうに小さく笑って、ころんの肩を叩く。
「さすが、ころちゃん♪ 頼りになる部下のおかげで僕も立派な王子道を歩めてるよ♪」
ころんは思わず深くため息をつき、肩を少し落とす。
「……はぁ……どこがだよ。いつまでも俺が甘やかすと思うなよ?」
森へ足を踏み入れると空気が澄んでいて気持ちが良い。城内とは違う、少し湿った土と木の匂い。風が葉を揺らし、遠くで鳥の羽音がする。
るぅとは無意識のうちに歩みを緩めて、 古い木の幹にそっと触れた。ざらついた感触と同時に、胸の奥に何かが引っかかる。
「……ここ、何だか懐かしいんだよね」
ぽつりと零した声に、ころんが一歩後ろから応える。
「覚えてないのかよ。追手に追われて消えたお前を探すために、城中総出だったんだ。……ここで見つかった時は、本気で肝が冷えた」
「…そうだったんだ」
「“そうだったんだ”じゃねぇよ。泣きそうになりながら探した俺の身にもなれ」
そう言いながらも、ころんの声はどこか柔らかい。
るぅとは立ち止まり、古い木の幹にそっと触れた。
指先に伝わるざらついた感触と同時に、胸の奥で何かが引っかかる。
「昔さ……ここで、誰かに助けられた気がするんだ」
るぅとは曖昧な言葉を選びながら続ける。
「光に包まれて……すごく、あったかくて……でも、顔も声も思い出せない」
ころんは少しだけ視線を伏せ、記憶を辿るように息を吐く。
「……確かに、あの時、見つかった時のお前には、目立った怪我はなかったな。お前は気持ち良さそうに呑気に寝てたし。」
からかうように言いながらも、ころんの声はどこか真剣だった。
「追手に追われて、血だらけで森に消えたって聞かされてさ。覚悟して探してたんだぞ、こっちは」
るぅとは小さく苦笑する。
「医師も不思議がってた。森で追手に追われて、あの状態で……無傷だったなんて奇跡だって。」
ころんは歩みを止め、ゆっくりと言葉を選んだ。
「お前は誰かに治癒魔法をかけられたんだきっと。だが、王宮付きの魔導師でも、あの回復は説明できなかった」
「治癒魔法…」
「基本は応急処置だ。血を止める、痛みを和らげる、傷口の回復を早める。深い傷なら、治すのに時間はかかるし、跡は残る。」
「じゃあ…」
「見つかった時のお前は傷なんてなかったし、血の巡りも、疲労も全部整ってた。まるで最初から怪我なんてしてなかったみたいにって、医師が話してたよ」
ころんは少し間を置き、眉をひそめる。
「……あの森で、お前を助けた奴は、並の魔法使いじゃねぇ。本物の、限られた力を持った治癒使いだ。」
るぅとは木漏れ日の下で立ち止まり、深く息を吐いた。ころんも隣で歩みを止め、静かに見守る。
「……今でも、近くに居るのかな」
るぅとは、胸の奥に押し込んだあの光の記憶を思い出しながら、ぽつりと呟いた。ころんは少し肩をすくめ、軽く笑って答えた。
「さぁな? でも、いたとしても簡単には姿を見せないだろうな」
「そうだね‥もし、その能力が本当に真実ならね。」
治癒の力――それは、使う者の意志で傷や痛みを取り除くことができる、奇跡のような力。でも、その力には厳格な制限があり、無制限に扱えるものではない。深い傷や重篤な病に対して力を行使すればするほど、使用者の体力や精神は削られ、場合によっては命にまで影響を及ぼすことがある。魔法士たちの間では、禁忌の魔法として扱われた。
幼い僕をあの時助けてくれた誰かは、それを分かっていて、慎重に力を使ったのだろう。どんなに善意からの行為であっても、治癒の力を軽々しく使えば、奇跡は災いに変わり、狙われる危険も増す。あの光は、僕を救っただけでなく、力の危うさをもそっと教えてくれたのだと思う。
木漏れ日の揺れる森の奥。
不意に、風が止んだ。
「……ころちゃん、今、何か……」
るぅとが言い終わる前に、ころんの表情が変わる。
「伏せろ!!」
次の瞬間、鋭い魔力の矢が空気を裂いた。
ドン、と木に突き刺さる衝撃音。
「ちっ……伏兵か」
ころんは即座に剣を抜き、るぅとの前に立つ。だが、森の奥から現れたのは黒衣の魔法士たち。数は三人。
「王子の身柄を頂く」
ニヤリと不敵に笑い、低く響く声。
「……面倒くせぇな」
ころんが魔法陣を展開し、攻撃態勢に移る。るぅとも剣を抜き、静かに重心を落とす。
黒衣の魔法士三人が、音もなく包囲した。
だが――
「遅い」
ころんが一歩踏み込む。その動きに迷いはない。
一人の結界が砕け、地面に叩きつけられる。
るぅとも冷静に魔法陣を展開。
「右、強化」
短い合図。
ころんの刃に光が走る。
るぅとの魔力が流れ込み、剣が一瞬だけ輝きを増す。
斬撃。
黒衣の防御陣が展開されるが、間に合わない。
るぅとの魔力が結界の構造を内側から乱し、ころんの刃がそれを断ち割る。
「左、詠唱」
「見えてるよ」
ころんが身体を反転。
るぅとの光弾が詠唱陣の中心を正確に撃ち抜く。
同時にころんの二撃目。詠唱が霧散され、三人目が焦り、上位魔法を展開しようとする。
「三秒」
るぅとの冷静な声。
「任せろ」
ころんが冷静に間合いを詰る。結界が粉砕され、最後の一人が地に膝をつく。
森に静寂が落ちる。
「やっぱお前、支援に回っても強ぇな」
るぅとは小さく笑う。
「ころちゃんが突っ込むからだよ」
その時だった。
倒れていた敵の胸元が、赤く光る。
カチリ、と音。
黒い結晶が脈打つ。
「……は?」
次の瞬間、空気が変わる。
敵の魔力量が一気に跳ね上がる。
「増幅装置か!」
ころんが舌打ちする。
倒れていた魔法士たちが、ゆらりと立ち上がる姿はさっきまでの動きとは別物。重く、荒く、暴力的な魔力。
倒れていた魔法士たちが、ゆらりと立ち上がる。
さっきまでの動きとは別物。
重く、荒く、暴力的な魔力。
「王子を捕らえろ。多少壊れても構わん」
三人同時詠唱。
さきほど粉砕したはずの規模を超える巨大魔法陣が展開される。
「ころちゃん、これは…!」
「分かってる!」
ころんが斬撃を放つ。だが今度は弾かれる。弾かれた衝撃で腕が痺れる。
「……くっ」
増幅された魔力が、術式を無理やり押し潰してくる。さっきまで噛み合っていた連携が、重さで崩される。
「王子、下がれ!」
同時に巨大な黒雷が形成される。るぅとは魔法陣を展開させて魔力を絞る。
「合わせて!」
二つの魔法陣が重なる。光と斬撃が黒雷にぶつかり、一瞬消えた。しかし――押されている。じわじわと距離が縮まる。
「……まずいな」
増幅された魔力は荒く、暴力的だ。
「強制的に魔力量を底上げしてる。正気じゃねぇぞ」
敵が両手を広げる。
空気が歪む。
地面が裂ける。
先ほどとは比べ物にならない圧。
るぅとは防御結界を展開するが、亀裂が走り、爆風で吹き飛ばされて木に背中を打ちつける。
「王子!」
ころんが駆け寄ろうとする。しかし足元から闇の杭が突き上がる。拘束。
さらに上空に巨大な黒球が形成される。森ごと焼き払うほどの規模だ。
「終わりだ」
敵が笑う。
ころんは歯を食いしばる。拘束を力で引き千切ろうとするが、間に合わない。
るぅとは立ち上がろうとするが、呼吸は乱れ、増幅魔力の余波だけで体が重く、魔法陣も安定しない。暴走寸前だ。
「……まだ、終わってない」
るぅとが魔法陣を必死に展開する。
「やめろ!お前じゃ抑えきれねぇ!」
黒球が放たれる。空気が裂け、衝撃波が迫る――その瞬間。
ふわり、と。
黒い魔力の中心に、淡い光が差し込む。夜に溶ける月明かりのように。
黒球は、静かに崩れていく。
「な……」
敵の目が見開く。
光の中から、ひとりの少年が歩いてくる。
「そんな無理な増幅、体が壊れるよ」
彼の足元に、小さな光陣。光が広がると、増幅装置の結晶が軋み、バチッ、と逆流した。増幅回路が暴走し、砕け散る。
敵の魔力が急激に落ちた。その反動で膝をついた瞬間、ころんは迷わず好機を見逃さなかった。
ころんは全身に力を込め、拘束を破り飛び出す。刃が光を裂き、敵を倒す。同時に、るぅとも立ち上がり、放たれた光弾が、残り一人を一直線に撃ち込まれた。
静寂。
森に風が戻り、枝葉がかすかに揺れる音だけが響く。
ころんとるぅとは、胸の奥で縮こまっていた緊張がふっとほどけ、安堵の息をついた。
「……はぁ……」
ころんは肩を落とし、剣を軽く握ったまま周囲を見渡す。
るぅとは手のひらに微かな汗を感じながら、戦いが終わったことを実感していた。
そして視線は、光の中に立つ一人の少年へと向かう。淡い光に包まれたその姿は、戦場の荒々しさとは違う、不思議な静けさを持っていた。
るぅとは少年に一歩近づく。
戦場の敵すら押しのけた、圧倒的な力を見せたとは思えない、細く儚げな体。その表情はどこか弱々しく、まるで光の中で揺れる蜃気楼のようだった。
るぅとは、一瞬息を止める。
その姿に、どこか見覚えがある気がしたのだ。
幼い頃、森の奥で出会った――あの光に包まれ、無言で僕を助けてくれた少年の面影。顔ははっきりとは覚えていない。名前は知らない。
ただ、胸の奥に鮮やかに残るあの温かさ、手に触れた光の感触だけは、今でも確かに僕の中にある。
「君は…」
少年は息を切らして、瞳がわずかに揺れる。困ったように笑うその顔に、るぅとは幼い頃の記憶と重ね合わせてしまう。
その瞬間、ぐらりと体が揺れた。
「…お前、顔色悪いぞ?」
ころんの声に少年は小さく苦笑する。だが、足元は危うく、膝から崩れ落ちる。光陣はまだ揺れているが、もう力を出せない。
「っ……」
るぅとは剣を下ろし咄嗟に駆け寄って抱きかかえる。
「君…大丈夫?」
その手に触れた温もりに、戦いの余韻とともに、胸の奥がじんわりと温かくなる。
目の前の少年は、ただの助けてくれた存在ではなく、幼い頃のあの光の奇跡そのもの――なのかもしれない、と、るぅとは思うのだった。
ころんも、少し距離を置きながら少年を見下ろす。
警戒心と同時に、幼い頃の記憶と何かが重なるような、得体の知れない感覚が胸に芽生える。
(……何者だ……)
声には出さない。
だが彼の存在が、この戦場で最も異質で、最も大事なものだと、ころんは直感していた。
力を使い果たした少年は、るぅとの腕の中で小さく震えていた。顔色は土気色で、呼吸も浅く、光陣はかすかに揺れるだけ。
「……!しっかりして!」
るぅとは必死に抱えながら、少年の体を支える。
ころんもすぐに隣に駆け寄り、肩や背中に手を添える。
「……魔力の反動。こいつの力は並の力じゃない。使いすぎれば身体に危険が及ぶ。」
少年は微かに肩を震わせ、小さく息を漏らす。
るぅとは額に手を当て、温もりと呼吸を確かめながら、慎重に支える。
「……無理はさせられないな」
ころんが真剣な顔で低く呟くと、るぅとは視線を上げ城の方向を見つめる。
「ころちゃん、城まで運ぼう!」
「……」
戦場の余韻もまだ残る中、ころんは少年の小さな体と儚い表情を見て、心の奥でためらう。安全とはいえ、城に連れて行くべきか――この子はただの魔力使いではなく、何かもっと大きな力を持っているように思えた。強すぎる力は、良い方向にも悪い方向にも簡単に左右される。
森の奥にひそやかな動きがあった。枝の間に、黒い影がちらりと揺れる。
目でははっきり見えないが、気配が、不吉に、静かに、二人を見つめている。
ころんは思わず息を飲む。
(……誰だ…?)
「ころちゃん!」
るぅとに呼ばれて我にかえる。
少年の揺れる体、弱々しい呼吸を見て、ころんはすぐに決心する。
「……分かった。」
ころんは小さくうなずき、二人で少年を支える。ころんは少年を支えながらも、森の奥に残る気配に目を光らせる。
影は見えない。だが、空気の緊張、枝の微かな揺れ、風の流れのわずかな変化――すべてが、何かを告げていた。
ころんの胸に、予感がざわりと走る。戦いは終わったはずなのに、森の奥に冷たい視線を感じる。
足元に気を配りながら、慎重に歩を進める。少年の儚げな体を抱えつつも、常に周囲を見渡す目は鋭い。
森の出口が近づくたび、警戒の意識は消えず、心の奥に小さな緊張が残る。
(……あの影、黙ってはいないかもしれない)
ころんはわずかに息を潜め、森の出口を目指して歩き続けた。
るぅとくん→王子
ころんくん→側近。るぅとくんの幼馴染。
てるとくん→幼少期にるぅとくんを森で助けた。平民だけど治癒魔法やら、何やら特別な力持ってる感じにした笑
続くかも!!!