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「ごめんお待たせ」
「お、幡中」
今日は上岡が焼肉をごちそうしてくれる日。
「俺も今来たとこ」
上岡はいつもの爽やかな笑顔を浮かべていた。
「、、私服久しぶりに見た、似合ってる」
「あ、ありがとう」
「、こっからちょっと歩くんだけど、大丈夫?」
「うん、全然大丈夫」
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お店は上岡が調べて予約してくれた。
「、、ごめん、普通のテーブルだと思ってた」
案内された席は椅子が隣り合わせのタイプだった。
「いいよ、喋りやすいし」
お肉は積極的に上岡が焼いてくれた。
「すごい、、良いお肉そう」
「せっかくのお祝いだからちょっと気合い入れたわ」
「、、ほんとにいいの?」
「はは、 なんだよ、肉目の前にしてそんなこと言うなって」
上岡はそう言って、焼けたお肉を私のお皿に置いてくれた。
「一口目どうぞ」
「……わ、おいしい、、」
「お、まじ??良かった〜〜」
「ありがとう上岡」
「そんなんいいから、いっぱい食え食え」
上岡の優しさはずっと変わらないな。
1年のときにも、一度ご飯をごちそうしてくれたことがあった。他に遊びに行ったときも、いつも上岡がリードしてくれた。
「幡中さ」
上岡が水の入ったコップを置いて言った。
「気持ち的に、なんか変わったこととか、特にない?」
「、、変わったこと」
「、回りくどく言ってもだせえよな」
上岡は膝の上に置いた右手を軽く握りしめた。
「俺のこと、ちょっとはいいな、とか思ってくれてたりしないかなって」
「、、、えっと」
「あ、いや、ごめん答えづらいよなこんなん」
すごく、言葉に詰まった。
「結構幡中と仲良くしてる自信あったからさ。ちょっとは期待させてやって」
そう言って上岡は笑った。
「私こういうの、恋愛とか疎くて、どういうのが好きってことなのかとかもあんまり分かんなくて」
「うん、そっか。じゃあ幡中が分かるようになったとき、その相手が俺だったらいいな」
恋はよくわからないけど、この言葉はすごく素敵だと思った。
「いいなっていうか、俺がその相手になれるように頑張るわ」
いつもの優しい笑顔が場を包み込んだ。