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【改稿版3】 ◇もう男はコリゴリ


彼女が再婚したことも知らず本当にさっき子連れで見かけた時には驚いた。


離婚したのは真帆が35才の時で、俺は勝手に彼女は結婚などせずに

仕事に邁進していくものと思っていたからなおさらだな。



「宏さんはあれからすぐに再婚したんじゃないの?」


「ああ、何で知ってるの?」



「知らなかったけど、あれだけ私のいい分なんて馬耳東風でおかあさんたちの

いうことにだけ耳を貸していたあなたなら、孫が必要だから子供を持つために

すぐに再婚するんじゃないかと思っただけよ。あなたのスペックなら見た目も

まだまだいけるしすぐに次は見つかると思ってたしね」


「鋭いと言うか、手厳しいと言うか……」


「ははっ、ごめんなさいね。歯に衣着せぬ言い方をして」


彼女は少し微笑みながらも、かつての辛い日々を語る目は真っ直ぐだった。




「俺の方は、君は結婚に凝りて……っていうか俺のせいで男に凝りて二度と結婚なんて

しないと思っていたから、さっき君と子供を見てびっくりしたよ」



「ふふっ、あなたのその見解、分かるわ。

お察しの通り仕事のじゃまになる男はもうコリゴリだったもん」


「すまないね」





「私はあの後、同じ職場の後輩に声をかけられて……

半年後に付き合って、さらに半年で結婚したの」


**  

真帆は、35才離婚後半年で職場の同僚(後輩)に交際を申し込まれ、更にその半年後

プロポーズされゴールインしていた。**  


「へえ……そうだったんだ」




「彼は私の性格も、前の結婚でうまくいかなかった理由も全部知ってるの。

だから気が楽なの。子育ても家事も協力的で、職場でも家庭でも、私が“ボス”なの」


「俺と離婚して、楽園を手に入れたわけだ」


「そうかもしれないわね」


そう言って笑う真帆の表情に、前の結婚生活に対する未練などは微塵も感じられなかった。



           




『☘ 好きだったのよ、あなた……』

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