市松ちゃん、今日も元気だったなぁ。
そんなことを思いながら歩く。
あのカフェは先生が今、仮住まいさせて貰っている所と聞く。
そして私の所属している龍鬼と、全面抗争をつい先日起こしたと言う事も知っている。
「 …先生 」
私は先生の技術を尊敬をしているが、感性は共感できない。
私が弟子入りして直ぐの頃。
私はその日、夕日を書いていました。
「 …なんでマユミはそのまんまを描くの? 」
「 …なぜって、風景画というのは風景を描くものです。 」
「 風景を描くって…そんなの誰でも出来るじゃん。それはマユミの絵じゃない。 」
「 私の絵もなにも…まず初めにしっかりとデッサンを学び、対象を書く事をしなかれば… 」
「 …対象を描くことをするのは結構だけど、そのままそっくり写しとる事は風景画とは言わないよ?
十人いれば十人分、違う絵が生まれないと、そんなのなにも面白くないよ? 」
そうして私は思う。この人の事は大好きです。だけど、価値観のズレを感じました。
私は何処か、貴方の背中を追うのが嫌な気がしました。
貴方を全否定したいのではないんです。
私には私の意見がある事を言いたいだけなんです。
「 …せっかくの美味しかった珈琲の味が台無しだね… 」
コツコツと踵の音を刻みながら夕日に向かい目を向ける。
「 自分の絵…か… 」
私には難しい課題です。
コメント
1件
面白い、、!! 楽しみにしていたので嬉しいです✨