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単独任務3日目(夜)
昼間は一日中屋敷内のの掃除やキヨの洗濯の手伝いで、特に新しい情報が得られないまま終わった。
そしてそのまま夜になり、レイナとライネは外で屋敷の者が全員寝静まるのを待ってカイクと合流する。
「ウィンは今日何か収穫とかあった?」
今日はレイナはライネ達と別の仕事をしていたので、昨日の隠し部屋に入るなりカイクが訊いてきた。
「私は特に何も無かった。2人は?」
「私らは一緒だったんだけど、こっちも特に収穫は無いね」
「やっぱり昼間は持ち場についてないのを見られたら怪しまれるだろうし、あんまり行動はできないな」
「そっか…」
これ以上は特にじっくり話す必要がなさそうな為、3人は隠し部屋から出て探索を始める。
「そういえば、2人はマスターキーって持ってるの?」
「持ってないね」
「…どうやって探索してたの?」
「鍵を盗んだりして探索してるね」
「でも、一気に無くなると絶対にバレるから、一日2個位しか鍵は持てないんだけどね…」
そう言う2人の前に、レイナはポケットからマスターキーを取り出す。
「ウィンも鍵盗んだのか?」
「でも、今日盗んだ時に鍵は減ってなかった気がするけど…」
カイクとライネが鍵を持って言う。
レイナはそれに首を振りながら答えた。
「私が持ってるこれはここに来た時にハスネさんに貰ったマスターキーだね」
「えっマスターキー持ってたの?」
「うん」
「それじゃあ、これからはそれで開けれるから、盗まなくてもいいんだな」
そのまま、まだライネ達が入ったことがないと言う扉を開ける。
「この部屋だけ鍵が無くてさ…」
扉を開けたレイナが一番最初に部屋の扉をくぐり抜けると、思わず咳き込みそうになるほどの埃がムワッと全身にまとわりつくような感覚がした。恐らく何年も掃除をしていないのだろう。
部屋の中心に何か大きなシルエットが見える。それの周りには物が散乱しており、注意して歩かないとつまずいてしまいそうだ。
レイナは闇魔法を使い自分に暗視をつけるが、2人は光が少し弱めのライトをつける。ライトの光に照らされ、歩く事に舞う埃がキラキラと光る。
暗視をつけると、周りがいきなり昼間のように明るくなった。急に変わった為少し目眩がしたが、それとも少しすれば収まった。
目眩が収まり目の前を見ると、シルエットの正体が分かった。それは、大きなグランドピアノだった。周りに散乱している影は積み木やぬいぐるみ、人形などの小さな子供向けの玩具で、ピアノはそれらの主であるかのように部屋の中央にいる。
「うわぁ…」
部屋にはその他にも棚などが置いてある。本棚には子供向けの童話集などの本が沢山あり、思わず手に取るが、その手はホコリで真っ黒になる。それを見て思わず声を出してしまった。
「ここが奥さんと行方不明になったって言う娘の部屋かな?」
そんな汚い部屋の中でも、ライネはなんの躊躇いも無く探索を始める。レイナも昔は倉庫で寝泊まりしていたので、周りよりは少し抵抗感は軽めだ。だが、カイクはそうもいかないのか、テキパキと探索を始める2人はを見て少し引いている。
「ほら、カイクもさっさと探索して」
「わ、わかった」
そんな会話を背中で聞きながらも、レイナは本棚の本に何か重要なものでも挟まってないかを、1冊1冊手に取ってページをめくりながら調べていた。
「…?」
サクサクと動かしていた手が、ある本を目の前に止まる。
「…」
その本の題名は、『季節ごとの花』という題名で、図鑑並に分厚かった。
なんか何処かで、見た事あるな?
そう思いその本のページをペラペラとめくる。内容は季節ごとの花がまとめられており、それぞれの花の花言葉や、特徴、育てかたが書いてあった。
何処かで見た事ある様な気もするが、もうこの様な本をレイナは読んだことが無いはずだ。
最後に作られた場所とかを見てみると、見覚えのある気がする地名が書かれていた。
なんか見た事ある…どこだっけ?ここ
「っ!」
あと少しで思い出せそうな気がした所で、頭がズキリと傷んだ。
パタン
レイナは諦めて本を閉じると、また次の本を調べ始めた。
次の次くらいの本をめくると、何やらボロボロになった紙が挟まっている。
紙には平仮名の多い、幼い子供が書いたような文字が書いてある。
レイナは、内容を読んでみることにした。
――――手紙の内容―――――――――――――――――
みんなへ
わたしは今からお母さまと一緒にとおいところへとお出かけします。ながいあいだこの家にはかえらないそうです。お母さまにわ、いくまえにみんなにあいさつをしちゃだめといわれたので、お母さまにばれないようにこれはわたしのおきにいりの本にはさんでおきます。
ルミより
――――――――――――――――――――――――――――
どうやら、手紙はこの娘が失踪する前に残した物のようだった。母親にバレないように本の間に挟んでおいたが、そのせいでこんなに紙がボロボロになるまで誰にも気付かれなかったようだ。
レイナは紙だけ持つと本を本棚に戻し、また他の本を調べ始めた。
数十分後。
部屋をあらかた調べ終わり、それぞれが見つけたものを出す。
「ウィンは何か見つけた?」
カイクが言う。
「うん。これ」
レイナはそう言うと、1枚の紙を取りだした。
「なにこれ?手紙?」
そう言ってライネとカイクがその手紙を読む。
「ええっと、………成程。これは、娘さんが失踪する前に書いた手紙だね」
「どこにあったの?」
「あそこの本棚の、『Grimm’s Fairy Tales』っていう本に挟まってた」
「へぇ〜」
「2人は何か見つけた?」
「俺達は特に見つけられなかったよ。子供部屋だから、玩具とかは大量にあったけど」
「そっか…」
レイナはそう言いながら、ライネの後ろにある棚に視線が止まる。
そこには、市長と奥方らしき人と赤ん坊と1人の優しそうな男性が、笑顔で写っている写真だった。
レイナは立ち上がってその写真を手に取り呟く。
「誰だ…?」
「ん?その写真がどうかした?」
ライネが突然立ち上がったレイナに少し驚きながらも、持っている写真を覗き込んだ。
「多分娘がまだ赤子だった頃に撮った写真なんだろうけど、この男性は誰?」
レイナが言うと、続いて写真を見たカイクが平然と言った。
「あぁ、この人はあの行方不明になった使用人だよ」
「うん。当時のニュースとかに顔写真が載ってたから覚えてる」
「なんで使用人が家族写真みたいな写真に写ってるの?」
「さぁ?側近とかだったんじゃない?」
「シュサに訊けば分かると思うから、俺明日訊いとくよ」
「ありがとう」
レイナが写真を棚にもどし、全員で部屋を出る。
「じゃあ、時間的にあと一部屋調べたら終わろっか」
「そうだな」
3人は次の部屋へと向かう。
次の部屋は特にこれといった収穫は無く、そのまま3人は自室へと向かった。
「調査ってこんなに進まないんだね…」
「うん。昨日が進み過ぎたんだよ。私らもこの屋敷に来てから調査の進み方は大体こんな感じ」
そう言うとライネは電気を消す。
「それじゃ、おやすみ。明日も頑張ろ」
「うん。おやすみ」
レイナは先程までつけていた暗視を解く。すると、ドッと体が重くなった。
長時間ずっと使っていたし、始めて使う魔法だった事もあり、かなり疲れたのだろう。
レイナはメモをする気力も無く布団に潜り込むと、そのままぐっすりと眠った。
はい。今回は調査があまり進みませんでしたね。
なんか最近連続な気がするけど、特に話すことも無いので、
さよなら〜(ᐙ)/