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辺りはもうすっかり暗くなっていて、もう誰も泊めてくれなそうな雰囲気が漂っている。

もう、今日は諦めよう。

「だざい、今日は野宿になるけど、いいか?」

「……べつにいいよ。ちゅーやがそれでいいのなら、私もいいよ。」

太宰はあっさり受け入れてくれた。けど何処にも寝れそうな場所がない。

仕方ない。もう少しだけ歩こう。

しばらく歩いていたら、バス停を見つけた。

少し古臭いが、ふたり分寝転がれそうなベンチがあるから、ここで寝よう。

リュックの中から布団と、すこし小さい枕をとりだし、ベンチにかける。

「だざい。ねるぞ」

「え?ふたりで一緒のベンチでねるの?」

きょとんとしか顔で言うからアタシは

「嗚呼、そうだよ。じゃあなんだ?アンタはその暑いコンクリートの上で寝るのか?」

挑発するように言う。

「………………わかったよ。」

ふてぶてしい顔をしながらも太宰はベンチの上にのり、寝っ転がる。

「…かたい。」

「あたりめぇだ。我慢しろ。」

嗚呼、やっぱりふたりで一緒に寝るのはキツかったなぁ、暑い。暑い。

そう思っていたら太宰がいきなりぎゅぅっと抱きしめてきた

「ッてめ!!あつい!離れろ!!」

そうアタシがいっても太宰はぎゅ、っと無駄に強い力で抵抗する。

こいつ、こんな見た目でも馬鹿力なんだなぁ、と無駄に感心した。

すると太宰がぽつり

「…だって、冷たいんだもん。」

…?なにを言ってるんだ。今は夏だぞ…?

それでも太宰は未だに抱きしめてくるから、もう諦めてしまった。

アタシがうとうとと眠りにおちそうになっていると

「………ねぇ、ほんとに、よかったの。心中。」

そう小さい声でいってきた。

「………べつにいいよ。アタシは死にたくもないし、生きたくもない。ただそれだけだ。」

うとうと、うとうと。流石にもう限界だ。

アタシが目を閉じる前に、太宰はなにか言ったような気がしたが、聞こえなかった。

嗚呼、明日はちゃんと寝床がんばって探すからさ、もうちょっとだけ、我慢しててな。

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