コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
辺りはもうすっかり暗くなっていて、もう誰も泊めてくれなそうな雰囲気が漂っている。
もう、今日は諦めよう。
「だざい、今日は野宿になるけど、いいか?」
「……べつにいいよ。ちゅーやがそれでいいのなら、私もいいよ。」
太宰はあっさり受け入れてくれた。けど何処にも寝れそうな場所がない。
仕方ない。もう少しだけ歩こう。
・
・
・
しばらく歩いていたら、バス停を見つけた。
少し古臭いが、ふたり分寝転がれそうなベンチがあるから、ここで寝よう。
リュックの中から布団と、すこし小さい枕をとりだし、ベンチにかける。
「だざい。ねるぞ」
「え?ふたりで一緒のベンチでねるの?」
きょとんとしか顔で言うからアタシは
「嗚呼、そうだよ。じゃあなんだ?アンタはその暑いコンクリートの上で寝るのか?」
挑発するように言う。
「………………わかったよ。」
ふてぶてしい顔をしながらも太宰はベンチの上にのり、寝っ転がる。
「…かたい。」
「あたりめぇだ。我慢しろ。」
嗚呼、やっぱりふたりで一緒に寝るのはキツかったなぁ、暑い。暑い。
そう思っていたら太宰がいきなりぎゅぅっと抱きしめてきた
「ッてめ!!あつい!離れろ!!」
そうアタシがいっても太宰はぎゅ、っと無駄に強い力で抵抗する。
こいつ、こんな見た目でも馬鹿力なんだなぁ、と無駄に感心した。
すると太宰がぽつり
「…だって、冷たいんだもん。」
…?なにを言ってるんだ。今は夏だぞ…?
それでも太宰は未だに抱きしめてくるから、もう諦めてしまった。
・
・
・
・
アタシがうとうとと眠りにおちそうになっていると
「………ねぇ、ほんとに、よかったの。心中。」
そう小さい声でいってきた。
「………べつにいいよ。アタシは死にたくもないし、生きたくもない。ただそれだけだ。」
うとうと、うとうと。流石にもう限界だ。
アタシが目を閉じる前に、太宰はなにか言ったような気がしたが、聞こえなかった。
嗚呼、明日はちゃんと寝床がんばって探すからさ、もうちょっとだけ、我慢しててな。