テラーノベル
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放課後の教室。雷は机に座ったまま、無表情でノートに目を落としている。
そこへ、お茶子が少し不安そうな顔で近づいてきた。
「ねえ、雷くん……なんでいつも喋らへんの?」
その言葉に、雷の心の中で一瞬、何かが刺さったようにズキッと響く。
(俺は……)
心の中で呟く。答えは頭の中にある。けれど、口にすることはできない。
(やっぱ、言いたくない)
雷は視線を上げず、無表情のまま、ただ静かに席に座り続ける。
お茶子は少し戸惑いながらも、そっと隣に座る。
言葉は交わさなくても、その距離感の中で、雷の冷静さと孤独が伝わってくる。
静かな空気の中、雷の目の奥に、かすかな影が差す――
過去の記憶、言われたこと、傷ついた心……
誰にも見せられない、表に出せない感情がそこにあった。
雷の心の傷
雷がまだ小さい頃、性別や容姿について、周囲から色々と言われたことがある。
「女なのに男みたいだな」
「もっと可愛くしてよ」
「気持ち悪い」
「変」
そうした言葉は、雷の心に小さな傷を刻んだ。
表では感情を出さないことが、身を守る唯一の方法だった。
笑うことも泣くことも、怒ることさえも、無表情でやり過ごす。
戦闘でも、日常でも、無表情でいる理由――
それは、過去の自分を守るための習慣だった。
誰にも見せない心の中の「俺」を、雷は静かに抱えていた。
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