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花が咲き誇る季節。
初めてドリブルで対戦相手をぶち抜いたあの日。サッカーがすごく楽しいと実感したあの日。俺は○○と、試合後に河川敷に来ていた。
試合に出ていた俺も
試合を見ていた○○も
お互いが同じように興奮し
喜びを分かちあっていた。
○○「豹馬!今日本当にすごかった!おめでとう!」
千切「お前それ10回目。何回言うんだよw」
○○「だってだって!本当にすっごかったよ!?相手がディフェンスかけてきたところを豹馬がシュッと抜いて言っちゃってさ!」
千切「まあ、あれは本当に凄かったなって俺も思う。」
○○「でしょ?でしょ!?」
キラキラとした目で俺を見ながら
身振り手振りで試合の説明をする○○。
ドリブルが成功した俺以上に
○○が喜んでいるのを見て
ドリブル練習していてよかったなと
心の底から思った事を今でも覚えている。
○○「凄かった豹馬にはご褒美あげるね!」
そう言うと、
俺の頭をニコニコしながら優しく撫で始めた。
○○「豹馬…よく頑張ったね。」
同じ6歳のはずなのに
どこか大人びている所のある○○。
そんな彼女に俺は何度救われただろう。
○○「あとは…はいっ!出来た!」
千切「…これ。」
○○「花冠は難しかったからこれで我慢してね?」
俺のサイドの髪を編み込み
そこに付けられたのは白くて小さな可愛い花。
千切「フランスギク?だっけ?お前の好きな花じゃん。」
○○「うん!もう咲いてたから豹馬にプレゼント!」
満面の笑みでくれたプレゼント。
初めて○○から貰った可愛らしいプレゼントに
嬉しさで胸がいっぱいになった。
しかし、羞恥心から素直にお礼を言うことが出来ず
皮肉めいた言葉を彼女に返してしまった。
千切「編み込みで花飾りとか女みてぇ。」
○○「……そっか。そうだよね!なんかごめんね。」
彼女が心を込めてくれたプレゼントに
なんて事を言ってしまったんだと
瞬時にハッとして○○を見た。
少し寂しそうに 眉を下げながら俯く○○に
声をかけようと そっと彼女に歩み寄る。
千切「……あのさ。」
○○「だって綺麗なんだもん…」
千切「えっ?」
○○「豹馬の髪、綺麗でツヤツヤで大好きなんだもん。」
慰めようと思った矢先に、告げられた言葉。
“大好き”
その一言が脳内をグルグルと回り
思考が一気に停止した。
○○「あと、サッカーをしてる豹馬も好き。」
千切「……えっ」
○○「どうしたの?ボーっとして」
千切「……え?あっ、ああ……なんでもない。」
○○「…そう?」
千切「…俺、髪伸ばそうかな。」
○○「えっ!?サッカーするのに邪魔にならない?あたしはすごく嬉しいけど!」
千切「結び方教えてよ。練習するから。」
○○「うん!いいよ!いくらでも!」
心に芽生えた 淡い恋心
君が喜ぶためなら
微笑んでくれるなら
僕は なんにでもなるよ。
be continued…