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R描写有
映画の撮影現場。休憩時間、風磨くんはまた誰かと笑っていた。
今日の相手はファッションモデルの女性。さっきからずっと、距離が近い。
「……」
僕は少し離れた場所で台本を開いているふりをしていたけど、ページはさっきからまったく進んでいない。
「大森くん、次リハーサル行けますかー?」
スタッフの声に顔を上げたとき、ちょうど風磨くんと目が合った。
いつもの笑みを浮かべてこっちに手を振ってくる。優しい、演技の時とは違うあの笑顔。
……誰にでも、あんな顔してるのかな。
僕はゆっくり台本を閉じて、風磨くんのところに向かう。
「菊池さん」
「大森くん。どうした?」
仕事モードの呼び方に少し眉をひそめたように見えたのは、たぶん僕の気のせいじゃない。
「今日、撮影終わったらさ。うち、来ない?」
風磨の目がほんの一瞬だけ驚きに揺れて、それからふっと笑った。
「ん、いいよ」
「じゃあ 先に終わった方玄関前で待ってて。」
撮影が終わり、風磨くんが僕の部屋に来たのは夜の十時過ぎ。
「なんか、久しぶりだな。元貴の部屋来るの」
「こっち来て」
僕は彼の手を引いてソファに座らせ、自分もその隣に腰を下ろした。
缶ビールを渡し、少しだけ乾杯する。
でも、すぐに、僕は彼のグラスを取り上げてテーブルに置いた。
「……ねぇ、風磨くん」
「ん?」
「今日、モデルの子と話してたの、なんか楽しそうだったね」
「……ああ。仕事の話、ちょっとだけね」
「風磨くんって、誰にでも優しいよね」
彼の目がすっと細くなった。
「それ、嫉妬?」
僕は答えず、彼の膝に跨って向き合う。
「……そうだったら、どうする?」
「元貴がこんなことするの、珍しい」
「……僕のこと、ちゃんと見ててよ。風磨くんのこと、……好きなんだから」
そう囁いて、風磨の首筋に唇を寄せた。
だけど─
「……あー、ダメ。」
彼の手が僕の腰を掴んで、反対に押し倒された。
「…… っ ゛ ? ふまく 、っ 」
「そんな顔で、そんな声で誘っといて……最後まで俺が我慢できると思ってた?」
「ま … っ 、 僕が したくて 、 」
「そんなの 、元貴がその気にさせたんだから 。好きなんでしょ?俺の事。いいよ してあげる」
唇を重ねられて、深く舌を絡められた瞬間、僕の身体はびくんと跳ねた。
「っ……ん、ぁ……っ♡」
ソファの隙間に沈みながら、風磨の手はどんどん服の中を滑っていく。
「……声、出すの早すぎじゃない?」
「ゃ、だって……ふまくんの、て っ … ん 、や … っ ゛ 」
指先が敏感なところを擦って、そこにキスを落とされた瞬間、僕の口から押し殺せない声が漏れた。
「ん、あ゛……っ、♡ ゃ ゛ 、や ぁ…♡゛」
「俺のこと誘っといて、その声。……可愛すぎ」
「ふまく っ゛、ん ん っ…… ぁ 、や っ ゛♡ …っ、あ ゛…♡」
僕はもう何も言えなくて、ただ風磨くんの腕の中で溶かされていった。