「じゃあ、後は任せるね」
「え?先生来ないの?」
「うん。ちょっとやる事あるからね」
「後から‥‥来てくれる?」
「え?」
頭はロウの事でいっぱいだが、アクシアを見るとまたあの寂しそうな瞳
「‥‥行くよ。こっちの事終わったらお前達の進み具合見に行くから」
「まってるね!」
そう言うと、元気に去っていく
なんであんな顔するんだろう‥‥
そう思いながらも、俺は来た道を戻っていた
静かに保健室横の壁に張り付く
人通りの少ない裏門への道で俺は何をしてるんだろう
窓のギリギリ
耳を欹てて壁に張り付いている
宇佐美先生の声は時折聞こえるが、ロウの声は低くて聞き取りづらい
何をこんなに長く話してるんだ?
反対側の窓が開いている方に張り付き、また耳を澄ませる
「‥‥が終わったらまた‥‥に‥‥るのか?」
「そうだね。数も増えてるから俺も店に入るんだ」
「そうか‥‥‥‥には合ってるよ」
「へへっ、そうだろ?」
中をそっと覗く
ここからだと2人の背中しか見えないな
相変わらず‥‥そんなに近くで話すなよ
でもこの話ぶり
2人は知り合いみたいだな
いつからのだろう?
顔を合わせたくらいの仲じゃなさそう
「良かった‥‥小柳が変わってなくて」
「‥‥‥‥か?」
「うん。ちっとも」
「‥‥かよ。リト‥‥宇佐美もな」
え?
聞き間違い?
今‥‥名前呼ばなかったか?
宇佐美先生の名前ってリトだったっけ?
確かリトだった気もする‥‥
「お前の顔見たら‥‥昔思い出しちゃった。俺、まだ小柳の事‥‥好きだよ‥‥」
「‥‥昔の話しだ。忘れろ」
「昔の話だけど俺は忘れられなかった」
「‥‥それをお前が言うのかよ」
「そうだけど‥‥分かってるけど、俺達嫌いになって別れた訳じゃないだろ?」
「だから余計にだ。その時の事言うならもうここには来ないでくれ」
「でも今なら俺‥‥」
「宇佐美、悪いが俺‥‥」
ロウが立ち上がり、宇佐美先生へ体を向けた
その時‥‥
「ローレン先生、さよなら」
俺が保健室の中を気に掛けていると、目の前の小道を下校中の生徒に声を掛けられてしまった
「あ、あぁ‥‥気を付けてな」
「‥‥‥‥おい」
生徒に声がけしながら俺は急いで玄関の方へ走り出す
ロウの呼びかけにも答えずに‥‥
生徒玄関前まで来ると、ゾロゾロと残っていた生徒達が玄関から帰っていく
時計を見るともう作業終了時間を過ぎていた
そう言えばアクシアは帰ったろうか?
職員室に戻る途中であの2人に今会うのは気まず過ぎる
俺は一旦アクシアの事も気になり、自分の教室に顔を出す事にした
階段を登り廊下を曲がる
どの教室も明かりは無く、きっとアクシアも帰った事だろう
開けっぱなしの扉から中を覗く
「‥‥アクシア?」
「先生!」
「どうした?みんな帰ったんじゃないのか?」
「だって先生来る気がして」
机に座っていたアクシアが、俺を見るとヒョイと机から降りて俺に向かい掛け出して来た
その勢いで腕を掴まれ、俺は黒板とアクシアに挟まれるような格好になる
「ローレンと‥‥先生と少しでも長くいたいから」
「え?」
「ずっと一緒にいたかったのに‥‥先生、俺‥‥‥‥」
「あ‥‥アクシア?」
「俺、先生が好き」
「‥‥それはっ‥‥‥‥」
好きって‥‥どういう意味で?
先生として?
それとも‥‥‥‥
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コメント
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∩(´·ヮ·`)∩ワァオ おっと僕こういう感じも好きだよ~ ロレ♡→こや、こや♡→ロレ リト♡→こや?、こや→リト 元♡? アクシア♡→ロレ? ちょっと頭混乱でもそれがいい! 最高です!