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seala @神格化しそう
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#魔法少女パロ
大学というものはどうも憧れるものだ。
煌びやかな服に、友人との交流。
「キャンパスライフ」と言うものに、憧れを感じるのも少なくない。
だが、彼女にとっては遠くかけ離れたものだ。
「姉ちゃん、もう俺行くから!」
「ちょっと、まだ朝ごはん食べ終わってないでしょ?」
「うるせぇな!いい加減にしろよ、俺らはお前みたいなクソ人生なんてごめんだよ!!」
「っ…。」
多澤 優奈、本来であれば大学生であるはずだった。
「借金」なんてなければ。
母親が残した借金を返済するため、優奈は高校をやめ、弟たちのために働くことに決めたのだ。
しかし、弟たちは母の血を濃く受け継いだのか否か、その屑のような反抗期となってしまっていた。
家は2人がいなくなったことでしんと静まり返り、優奈はため息をつきながら残飯を処理した。
『大丈夫か、優奈。』
「平気だよユート」
『平気じゃないのに…無理しないで』
『ん〜…今日も頑張ってるよ〜えらいえらい〜!』
『貴方が倒れたら僕たちがいなくなるでしょ?べっ別に心配してるわけじゃないんだからね!』
「みんなありがとうね、イブ、レイ、メア。」
優奈は多重人格に陥っていた。
表向きでは出てこないものの、心の中には4つの人格が芽生えていた。
「気の強いユート」、「ツンデレなイブ」、「臆病なレイ」、「マイペースなメア」。
精神病だとはわかっていても、心配させるわけにもいかず病院に行くお金もない。
優奈はそんな人格たちと他愛のない話をしながら、家事を済ませた。
冷蔵庫を開けると、特にお肉の減りが早かった。
弟たちも育ち盛りだから、なんとか稼いでいっぱい食べさせなければならない。
優奈は家計簿を見て、買い物に行くことを決意した。
近くのスーパーまでは自転車で行き、そこでセール品を選びながら買い物を終えた。
今日は弟たちの好きなものが安い、などと弟思いな一面もある中、
どうしても母の好物を見つけると、嫌な記憶が蘇るものである。
買い物を自転車の籠に入れ、河川敷を通る。
1人でいる時、ここを通るのがすごく好きだった。
まだ学生だった頃は、友人と共に河川敷に寝転がり、他愛もない話をしたものだ。
今ではそこで学生を見るたび、胸が痛くなる。
河川敷の橋に登りかかると、1人の少女が橋から落ちそうな場所に座っていた。
優奈は咄嗟に危ないと思い、自転車を止めて駆け寄った。
人生というものは、どうとしても変われるものだ。
しかしそれには代償がいる。
この痛みも全て変わった代償だ。
桜木 春歌は、去勢手術をした男性だ。
理由は単純、いじめられたから。
親に恵まれていたと思う、親は否定しなかったから。
でも、人を信じれなくなった。
そして、女性になったことで腹痛や病気になりやすくなった。
最初からわかっていたことだ、でももういいかとも思ってしまう。
こうして、この河川敷を眺めている時が、一番苦しくなくて済むのだから。
「ちょ、ちょっと君!!何やってるんですか?!危ないでしょう!?」
「…何?」
春歌の目の前に現れたのは女性だった。
だがただの女性には見えない。
目の下には隈があり、明らかな体調不良と精神的不良を感じられた。
「この橋高いんだから、落ちたら死んじゃうでしょ?」
「…そうだね。」
「でも、ここにいる時が楽な気分になれるから。」
「…楽?」
ここからの景色は綺麗だと思う。
並木桜が並び、遠い夕日に照らされて揺れる水面は暖かさを感じる。
幻想のように、今だけは夢の中にいるように思えるから。
「…きみ、疲れてる?」
「わ、私?平気ですけど。」
「…嘘、顔に書いてある。」
「…ッ!」
「そっか…」
そう言って、女性はため息をつきながら少し離れた場所に座った。
先ほどまで見えなかった瞳は、輝った水面が反射して光が生まれた。
生を実感したのか、ポロポロと泣き出してしまっていた。
「私、お母さんのせいで借金背負って、青春できなくて…弟達も反抗期だし…頼れる人がいなくって…。」
「…変だよね、見ず知らずの君にこんなこと言うなんて」
こう言うことを聞くと、自分がどれほど親に恵まれていたかよくわかる。
「…学校も、そんないいところじゃないし。」
「……え?」
「虐めてくる奴だっている…そんな明るい場所じゃない。」
気づいたら、話してしまっていた。
この女性にはどうも、情が湧いてしまうのだろうか。
「…そっか。」
女性はそう言って、ゆっくりと立ち上がった。
「…どこ行くの?」
春歌は無意識に呼び止めていた。
女性は振り向き、ゆっくりと話し出した。
「これからバイトなんです、生活費も稼がなきゃなので。」
「…気をつけてね。」
「…はい!」
そう言って、女性は遠くに止めていた自転車に乗って遠くへと言ってしまった。
「…不思議。」
本当に不思議だった。
家族以外の人と話すのは久しぶりだった…それに。
この気持ちを、どうしても言葉で表したくなった。
優奈はバイトを終え、夕食の準備を終えてから新しいバイトを探しに出かけた。
今はまだ時間が作れるので、なんとか働ける場所がないかと探していたのだ。
『無理するなよ、動きすぎると倒れるかもしれないだろ?』
「平気、きっと大丈夫だから。」
『そう言って前も倒れてたくせに〜!』
裏通りに差し掛かり、自転車を降りて押して進む。
コンクリートはヒビが入り、煙草の吸い殻や怒鳴り声が聞こえる。
この辺りは治安が悪いため、自転車でパッパと通り抜けることは難しい。
『なぁ奥…さっきあった奴じゃね?』
「…あれ?」
奥の方に、チラシを見ている少女がいた。
それも、先ほど橋で会った少女だ。
「…奇遇ですね。」
「…!あ。」
少女は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに優奈だと気づいたようだった。
「バイト…増やすの?」
「そうなんです…やっぱり足りないから。」
「…そういえば、さっき拾った奴」
そう言って彼女が渡したのはポップなキャッチャーのチラシ。
(おばけ様から頂きました、ありがとうございます!!)
優奈は一瞬目を疑った。
あまりにも胡散臭すぎるのだから。
だが、条件はとても良い。
「なんて…冗だ」
「……やろうかな」
「…は?」
優奈はもう限界だった。
せめてお金は出しても、弟達からの暴言やらに耐えれることができないほどもう精神が参っていた。
彼女は冗談のつもりで言ったようだが、優奈の目を見て察した。
「…怪しいだろ…?」
「…でも、背に腹はもう変えられないですから。」
『優奈…やめといた方が』
『…でも、優奈がやりたいっていうなら、僕たちは応援するし、助ける。』
「…うん。」
「…そっか。」
少女は少しため息をついた。
「名前…」
「…私のですか?」
「…うん。」
「多澤 優奈と申します。」
「優奈…そっか。」
少女は少し考えて話だす。
「あたしは桜木 春歌」
「…あたしも小遣い欲しいからそのバイトする。」
「え…でも…」
「きみ、このままだとぶっ倒れそうだし…」
「…よくわかんないけど…」
「…あたしも、ここに行かなきゃいけない気がするから。」
「春歌さん…」
「じゃ…採用されたらまた会おう」
「…はい、では!」
そう言って、優奈は明るい街頭の方へと消えていった。
「…」
春歌は、これまでにない「何か」を感じでいた。
言葉にできない何かを、「感情」を。
「…一体なんなんだろうな…」
それが絶望を生むものか、光へと導くものなのか。
まだ知る由もなかった。
コメント
13件
わぁ…凄…
多重人格表現素晴らしきだぁ、、、みんなかわちい