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結局、颯にお姫様抱っこ?をしてもらい、誠さんの家まで送ってもらうことにした。
福穂ちゃんも魂佳も瞬間移動の能力があるわけじゃないから…。
そう言っても、福穂ちゃんはニヤニヤしていた。
(別にそんなんじゃないから!)
そんなこんなで、誠さんの家に着いた。すると、颯は、こう言った。
「もしかして、誠さんと一緒に住んでんのか?お前…」
「うん、そうだけど…なんでわかったの?」
「それは…」
そう言いかけた時、ガラガラという、扉を開ける音がした。
どうやら、誠さんのほうが先に家に着いていたらしい。そして、私たちのことに気がついた誠さんは、驚いた表情を浮かべた。
「もしかして、颯か?気配が似ている」
どうやら颯は、誠さんと知り合いみたいだ。
(というか、誠さん、盲目なんだよね?たまに嘘かと思う行動をとるんだけど…やっぱりすごいなぁ〜)
「ご無沙汰しております、誠さん」
「鑑理や海疾さん、隆くんは元気にしているか?」
「……はい、元気にし過ごしてます」
「え〜っと…誰と誰と誰が元気に過ごしているの?」
「鑑理は、かあさん。海疾は、とおさん。隆は弟」
「へぇ〜、弟いるんだ…言われてみれば、お兄ちゃんみ、あるかも…」
「なんだそれ?(笑」
「でも、どうして誠さんが颯のこと知ってるの?」
「小さい頃から、誠さんの指導を受けてたからだよ。1年前ぐらいから、もう受けなくなったけど…」
「ん?基本、両親のどちらかの使力、遣力の系統を受け継ぎ、そして受け継いだ使力、遣力をもつ親から指導を受けるはずだが…」
魂佳が言った。
「そうなんだけどさ、俺、とおさんの使力でも、かあさんの使力でもない系統の使力だったから、とおさんもかあさんも困り果てて… 」
「それで、誠さんに頼んだってことか?」
よくわからないが、事情があって、誠さんに稽古をつけてもらっていたらしい。
「そうだったんだ…隆くんはどんな使力なの?」
「隆は…わかんねぇ…。まだ使力、使えないから…もう5年ぐらい訓練してんだけどなぁ…」
「そっか…どんな使力になるのか、 楽しみだね(*´꒳`*)」
「あの…さ、純音ちゃん。もしかして、好きでずっとその状況?(ニヤ」
そういえば、ずっと颯に抱きかかえられたままだった。そして、また私は地面に落ちた…
(もう!福穂ちゃんがそこに触れるから!!もしかしたら、この後、足を使わなくてもいいところまで運んでくれたかもしれないのに〜!)
「じゃ、じゃあ、俺、帰るから…」
そう言って、そそくさと帰って行こうとした颯に誠さんが
「ちょっと待ってくれ、颯。もしよかったら、純音の訓練を手伝ってくれないか?今は魂佳と福穂が、手伝ってくれているが、人手は多いに越したことはない」
「……俺でよければ…」
「ありがとう」
「じゃあ、颯、明日からよろしくね!」
「よろしく」
そう言って帰っていった。
(というか、颯、結局、私を地面に落としたまま帰っていったな‥。立てない…)
「純音、手を貸すか?」
心を読んでくれたのか、魂佳はそう声をかけてくれた。
「ありがとう、魂佳。お願い」
てっきり魂佳が、おんぶとかで運んでくれるのかと思ったら、「体浮[ていふ]」と言って、私の体を浮かした。
「わぁ〜!すごい!!体が浮いた!これも魂佳の使力?」
「使力は消費しているが、これは訓練を積めば誰でも習得できる。固有の使力ではない」
(補足:使力の意味の説明は、第2話の方で触れておりますので、お手数ですが、ご確認ください)
「そうなんだ…」
「だか、習得するのに相当な時間がかかり、我も、最近使えるようになったばかりなんだ。それに加えて、まだ、1分程度しか使えない」
「そういえば、誠さんもこの力を使えた気が…でも、『体浮』とは言ってなかった」
「私のように、物を介して使力を使う者は、自分の特有の使力でなければ、基本、口に出して言うことはない」
「そうですか…。あと、誠さん、篤瀬と会った日に結構長い時間私のことを浮かし続けてましたけど、最長でどのくらいの時間、浮かせられるんですか?」
「ざっと、12時間」
私たち一同、口を揃えて、
「12時間!?」
と感嘆の声を上げた。
それと同時に、魂佳は私を家の中に降ろした。
「あっ、魂佳、ありがとう(*´ω`*)」
「…あぁ(照。あ、あと、純音。『明日からよろしく』と颯に言っていたが、その足の怪我では無理じゃないか?」
私は自分の足の怪我をもう一度見てから
「確かに…」
と言った。
「確かに…ってそなた、何も考えずに答えたのか?とにかく明日は安静にしておけ。我から颯に伝えておく」
「えっ、魂佳、颯の家、知ってるの?」
「おそらく…。鑑理さんと海疾さんは王宮に挨拶に来たことがあるから、その時に住所を提出しているだろう。
我はそのような話にあまり首をつっこまないから、母上に聞く必要があるが…。
…颯の顔に見覚えがなかったのは、18歳になっていないからだと思う。
18歳になると、一度王宮に挨拶に来る決まりになっている」
「へぇ〜そうだったんだ…。えっ、じゃあ、私、18歳なんですか?誠さん」
「あー、わからない。とりあえず、挨拶に行っただけだ。それと、その決まりを失念していた…(ボソ」
「じゃあ、私は何歳なんだろう?」
「だいたい、颯と同じくらいで、17歳だと思うぞ」
「お〜私と魂佳も17歳。来年で18歳なんだよ〜♪」
(福穂ちゃんと背丈も似てるし、多分、そうなのかな?)
「そっか…じゃあ、私もそのくらい、かな?」
「記憶喪失なんだもんね…。純音ちゃんのお母さんもお父さんも、きっと優しい人だよ。動物になれる使力は遺伝かな?遺伝だといいね。私の使力はお母さん、最初のお母さんの使力なの……だからね、なんか、今も繋がっている気がするの…」
「“最初の”なんか、付け足すなよ!母上をお母さんって、無理に呼ばなくていい。啓架様で構わない。だから、福穂。符穂さんのこと、お母さんって呼んであげろよ…」
「…そうだね…。ごめん、魂佳…」
(普段は明るく振る舞っている福穂ちゃんだけど…本当は寂しいんだよね…。つらいよね…。私は優しくなんかないよ、だって、その気持ちを“理解できる”とは言えないから…同情しかできないただの役立たず…なんだ…ごめん…)
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(純音…確かに福穂の気持ちをわかってやることは正直、不可能だ。だか、そなたは、1つ間違いをしている…それは…)
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「役に立つ、立たないを勝手に決めるべきではない」
その言葉にハッとした。
(そうだ、役に立つ、立たないを勝手に指定してしまったら、心の距離がどんどん離れてしまう…その行動が1番優しくない行動だった…。)
「?…役に立つ、立たない?」
「ふと思ってな…決めるのは自分の尺度だけにしようと、改めて思ったんだ」
「えっwどうしたの、急に…」
「…福穂ちゃん」
私は改めて伝えようと思い、口を開いた。
「どうしたの?」
「私、福穂ちゃんの友達だから…!」
「また、何、急にwそうだよ〜一生の大事な友達だぞ〜^_^」
「うん!!」
この話を聞いていた誠さんは、少し複雑な表情を浮かべていた。