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2025/09/06
fu side
目覚まし時計の音で目が覚める。
今日は09/06
───君はあと何日生きられるのだろう。
日付を見る度、頭に浮かぶ。
今日も俺は手紙を書く。
君にこの想いが届くと願って。
kz side
朝、いちばん始めに会うのは看護師。
kz「今日は6日か…」
日付は止まることなく進んでいく。
気がつけば、余命はあと10日ほどになっていた。
時が止まればいいのに、と何度思っただろうか。
ここ最近、病院内で俺の噂を聞く。
『あの子、まだ高校生なのに、可哀想ねぇ…』
『あの白髪の子ね、しかも余命があと1ヶ月もないとか…』
『可哀想だわ…』
”可哀想”その言葉は俺を苦しめる。
やりたいこと全部やって、せっかく悔いなく死ねると思ったのに。
それなのに、その言葉を聞くと、
まだやるべきことはあるんじゃないかと考えてしまう。
kz「…」
その時、病室のドアが勢いよく開いた。
fu「kz!生きてるか!?」
kz「なんだfuか〜
びっくりさせないでよ」
fu「良かった…」
kz「まあ、来てくれてありがと…」
fu「当たり前だろ!」
kz「今日はrmは?」
fu「サッカーの試合だって〜」
kz「へ〜 rm、勝てるといいな!」
fu「そうだね!」
fu「〜〜、そういえば昨日さ〜」
kz「~〜w」
fuは優しいな…
毎日来て、話をしてくれる…
───もっとfuと生きてたいな…
もっと話したいし、もっと色んなところ行きたいし…
あれ、俺…fuのこと好きなんかな…
fuには、俺が死んでも泣かないで欲しい。
rmやsyuは泣いちゃいそうだけれど、
リーダーとしても、俺の友達としても、最期まで笑顔で見送って欲しい。
俺、まだやることあったな…
kz「…ポロポロ」
fu「ぇ!?kz!?どうした!どこが痛い!? 」
kz「…ねぇ、fu」
fu「…どうした?」
kz「…”さいご”まで、笑顔でいてね。」
fu「…分かった。できる限り頑張る。」
kz「よろしく」
fu「また明日ね。」
kz「そうだな!」
病室のドアが静かにしまった。
驚くほどに静かな病室が、彼の存在の大きさを物語らせる。
そして、時計の秒針の音だけが、俺に生きていることを知らせる。
あの意味、ちゃんと伝わっただろうか。
fu side
病院から帰ったら、すぐに手紙を書く。
君の表情や、言葉を忘れないように。
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kzへ
今日も生きててくれてありがとう。
いつかkzが居なくなってしまう日が来るのかもしれない。
けど、安心して。
俺が最期までそばに居る。
君は、「さいごまで笑顔でいてね 」って言ってたな。
あの最後、こっちの意味で合ってるかな。
また明日も会いに行くね。
fuより
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とても綺麗とは言えないような字だけれど、俺は今日も手紙を書く。
──────君が好き。
それだけの想い で書き進める。
また明日。
次回♡→30