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2025/09/07
kz side
今日は7日。
時間は止まってくれないし、戻ってもくれない。
部屋には秒針の音が鳴り響く。
kz「今日もfu、来てくれるかな…」
俺にとってfuは最高の話し相手であり、想い人でもある。
彼の姿を見たい。声を聞きたい。
安心は人から移るものなのかもしれない。
fuが俺を見て安心するように、
俺も日に日にfuを見ると安心できるようになった。
この想いが届いて欲しい。
何かの偶然でもいい。
ただ、好きということが伝えたい。
お願いします。神様。俺に勇気をください。
fuに思いを伝える勇気を、そして、
最期まで笑顔でいる勇気を。
正直、神様なんて信じたこと無かった。
でも、もしほんとに居るなら、お願いします。
fu side
「すいません、108号室なんですけど…」
受付を通り、病院の階段を上がる。
kzの病室は108号室。
ん?さっきの受付で聞いたような…?
誰か来るのか…?
rmは来れないって言ってたし、
syuか?
まあ、病室で待っていればいいか。
そんなことを思いながら病室のドアを開ける。
すると、窓の外を見つめる君がいる。
桜色の瞳が太陽に照らされ、キラキラと輝いている。
──────綺麗だ。いつまでも見てられる。
君がこっちを振り向く。
kz「fu!」
fu「おはよ!そういえば受付でsyuっぽい人見かけたんだよね〜」
kz「マジ!?早く来ないかな〜!」
fu「そうだね!」
kz「あ、そういえば、やりたいこと1個増えたんだよね〜」
fu「え!?早くやんなくちゃ!?」
kz「あー、いや、大丈夫。最期でいいかな!」
fu「え、でも…」
沈黙が流れる。
その理由は、きっと君も分かっている。
”もう、いつ死ぬか分からない”
つまり、最期の時がいつ来てもおかしくない。
最期で達成できるか分からない。
kz「まあ、大丈夫だって!」
笑顔を浮かべながら君は言った。
その笑顔が、どれだけ俺を苦しめるかも知らずに。
そのとき、病室のドアがガラガラと音を立てて開く。
syu「失礼します…あ!kz!大丈夫!?」
kz「syu!会えてよかった〜!」
fu「お!syuじゃ〜ん!」
syu「病院だから静かに!」
fu「は〜い」
kz「珍しくfuが素直w」
fu「素直で悪いか〜?」
kz「いやなんにもw」
syu「むしろそっちの方がいいかもw」
fu「щ(゚д゚щ)ひどくない?」
syu 「酷くない!」
kz「そうだ!」
syu「お土産話、聞く?」
kz「聞くに決まってるだろ!」
syu「あのね〜、〜〜〜」
kz「〜w〜〜」
fu「〜〜!?〜〜」
syu「あ、ごめん…俺もう帰らなきゃ」
kz「うん!来てくれてありがと!」
fu「またな〜!」
syu「失礼しました〜」
syu side
syu「kz…」
あんなに元気だったのに…
”もういつ死んでもおかしくない”って…
なんでkzなんだよ…
なんで俺の大切な人ばっか…
syu「…もう考えるのやめとこ、」
何回考えても同じ結果にたどり着く。
握りしめた拳もブルブルと震えている。
───俺は、どうしたらいいんだろう。
fu side
syuが帰ってから数十分後に、俺も病室を出た。
外に出ると、夕日が見えていた。
fu「もうこんな時間か…」
君と話していると本当に時間があっという間だった。
けれど、君が笑顔を見せる度に心が痛くなる。
君は知らないんだろう。
君の笑顔を見る度に、俺が拳を強く握りしめてしまうことを。
君の桜のように美しくて優しい笑みは、時に凶器ともなり得る。
心の奥をえぐって、心に穴が空く。
その穴を埋めなければ、すぐに不安でいっぱいになってしまう。
───君は、怖くないのだろうか?
君の本心は、さっき話してきたkzじゃなく、昨日涙を見せたkzなんじゃないか?
涙の意味は…?
fu「あぁ、もうやめにしよ…」
わかってきてしまうんだ。
君が、どれだけ完璧な仮面を被っているか。
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kzへ
今日もkzと話してると時間があっという間だったな
明日も会いに行くから、安心して待ってろよ!
それと、明日はrmも来れるって!
kz、rmに会いたいって言ってたもんな!
それじゃ、また明日ね!
fuより
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ネガティブなことは残してはいけない。
きっと君も悲しむから。
それじゃあ、また明日。
次回→♡25
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