この作品はいかがでしたか?
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ゆきちゃんとのコラボキャラ
メイムちゃん過去編!
漫画だとめっちゃ待たせることになりそうだったので…(もう待たせとる)
待たせといてなんやねんって感じなんだけどノベルにしました…(汗)
漫画は後々投稿します
※メイムちゃんとオリキャラの絡み有り(恋…愛?)
※バリッバリの創作
START
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チャポ…
水滴が広い水たまりの上に滴り落ちたような音が響く
しかし水らしきものはない、
ただ一つ、そこに 意識 があった。
「……」
「あやつは誰だ? 見ない顔だが…」
「最近生まれた神らしいですが…」
「突然ではないか」
「害はあるのか?」
「単独の神なのか?」
「では何に宿る者なのか…」
「妙な雰囲気ですね…」
辺りに広がるざわめきと、己に対する突き刺すような視線、
それらの無視に意識を向ける。
と集中しようとしたところでやや上の位置からほのかに妖艶さを感じる声が聞こえた。
「失礼…」
そちらに視線を向けると
端麗な顔立ちをした、大きな耳と尻尾がよく目立つ神が立っていた。
「妾は西の小さな村で祀られておる稲荷の神じゃ。新しき神と聞き少しそちに興味が湧いての。 名は何というのじゃ?」
「…」
数秒の沈黙の後、口を開く。
「名は無い。というか分からない。
そもそも自分が何の神かも分からない。」
17歳ほどに見える少女の神はその伏せ目で稲荷の神を眺めながら淡々と答えた。
その発言に辺りが衝撃に走る。
「己が何の神かもわからないだと…」
「役目なしに降ろされてきたのか…」
「それは神と言えるのか?」
「ほぼ無と同じではないか」
「己の名も無く目的もなく存在し続ける…」
あやつはまさに”めいむ”だな。
ザザ…
穏やかな波の音が周りから聞こえる。
足元に感じる波の冷たさが心地よい
その少女の神はぼんやりと地平線を眺めていた。
「あの!」
後方からよく通る男性の声が聞こえる。
「そこの君!」
誰かに話しかけたんだろうと気にも留めなかった。
また意識を地平線の方へ向けようとしたとき
バシャッバシャ
海水を蹴るような音が聞こえる
「!?」
まさかと思いにわかに目を見開き視線だけを後方に向ける。
「ちょっと貴方!そこにいては危ないですよ!」
そこには髪の短めな柔らかな顔立ちに学ランを纏っている青年がいた。
明らかに自分に対して話しかけている。
第一こんな海の浅瀬に自分以外に人がいないのだから当然だ。
己の緑がかった黒色の毛先の方だけ結んでいる髪とゆるっと着た着物が振り返り際になびく。
「…少年。私が、見えるの?」
「…?」ゾクッ
少年を見据えるように眺める伏せ目の奥には琥珀色の瞳があり、陽の光に照らされ少年の目には余計に神々しく映る。
「とっ…とにかく!危険ですから海から上がりましょう!」
少年がその空気を断ち切るように上陸を促した。
「焦らなくても、海程度で私は死なないよ。」
「あ…あの、」
少年が気まずそうに、でも早く言いたいかのように口を開く。
「初対面でこんなこと聞くのもあれですが…」
「貴方は人ですか?」
おずおずと質問を唱える。
「…察しがいいね」
実際に自分は人ではない。
そもそも人の目には見えない存在なのだ。
そんな自分が見える少年自体が普通ではない。
「では…!貴方は一体… 」
もう悟られた身である。今更何を隠そうというのか。
「君たちのいう、 神という存在だよ」
「一応ね」
訂正は大切である。
「いちおう…?」
少年が頭にはてなを浮かべる。
「そもそも私は自分の名も何の神なのかすらも分からない、ほぼ無に等しい神なんだよ。 」
自分が”神”という立ち位置であっても何もわからなければほぼ無に等しいも同然だということを自覚をしていた。
「では何とお呼びしたら…」
「好きに呼んでいいよ。」
「えぇ…流石にご無礼です…」
こんなあやふやな神でも人間は崇拝するという意識があるのだろうか。
「何か通称的なのは無いんですか?」
「通称…か…」
『あやつは”めいむ”だな』
ふと、過去に言われた言葉を思い出す。
「…では、『メイム』と名乗ることにするよ。」
「メイム…… 様?」
「様なんて要らないよ」
「う…では…メイムさんで…」
こんな自分を崇拝する必要もないのに、
(…この少年が私を見えるのは、家系による血筋の問題か、単に感がいいのか…。
人ではないものの察知と言いもしや神と関わったことがあるのか…。)
(まぁ、どっちでもいい)
この少年が害を与えるとは思えないし、そもそもこんな憶測をする必要もないのだ。
少年とメイムが出会ってから数カ月経ち季節は冬となった。
時間の流れとは恐ろしく早いものである。
濁った空色の下、冬の浜辺に1人の青年が歩いてきた。
いつもの学ランの上に深みのある水色のマフラーを巻いている。
すると斜め上の方から聞き慣れた声が聞こえた。
「少年!」
目を向けるとそこにはいつもの姿とは打って変わって 学ランのような、しかし袖は大きく開いている服を纏い、制帽を被ったメイムが木の上に立っていた。
「どう?少年を真似て作ったんだよ。」
どこか自慢げに言う。
「えっえと、うれしっ…てか…
お似合いなんですけどっ…いいんですか!?
あの神様の服じゃなくて…」
あせあせと話す少年を気にせず木に腰掛けながらメイムが言う。
「私は一応神だよ。
服なんてどうでもいい。」
メイム自身にとってはもはや神ですらないと思っている。
「もう~わざわざこんなところに呼び出した理由は服を見せるためですか?」
少し呆れたような口調で少年が言う。
「でも町中で話しかけたら少年無視するでしょ。」
「そりゃあ、周りに人がいるんですもん…はたから見たら僕が何もないところに話しかけてる変な人ですよ。」
神とは一般的には見えないのである。
「というかどうして僕の服なんですか?
他にも女性用の服はあるでしょうに…」
何気ない質問にメイムは少し傾げた表情で少年を見つめる。
「それは、私は君が好きだからね。」
嘘ではない。メイムにとって少年は始めて親しくなった人間なのである。
「え、」
驚きと疑問と多少の照れが混ざったような複雑な表情を少年がする。
そんなに驚くことか?と思いながらも言う。
「まぁ単なる私の好奇心だよ。」
「ソッ…ソウデスカ」
「袖は締まっていると落ち着かないから広くした」
こいつ(少年)はさっきからどうしたんだろうか
「てっ…ていうか、今更ですがご自分で作ったんですか!?」
「私の能力だよ。記憶を頼りにものを具現化できる。 」
「えぇ!?すごい!!
記憶に残ってたら何でもですか!?」
「無から有は作れないよ。あと質量が違ったり体積が違いすぎても無理だね。」
質問に静かに回答するメイムを少年はじっと見つめる。
「メイムさん」
「ん?」
やけに少年の声が辺りに響くように聞こえた。
「僕が死んだら、どう思いますか?」
唐突な質問、しかしメイムは理解する。
「…戦争だね。」
「…はい」
今度はメイムが呆れたように口を開く
「人はいつの時代も争いが好きだね。」
「…はい、」
「僕も…お国のために頑張らなくては行けないのです。」
少年の声は酷く落ち着いて聞こえた。
「……
私はこれから何百年と生きるけど、」
「少年も、私の記憶の中で何百年と生きるんだろうね。」
普段と変わらぬ声色で言う。
メイムにとっては当たり前を述べただけのつもりだった。 メイムにとって少年は忘れることのできない存在であるのだ。
その言葉を聞いた少年は目を見開き驚いた後、口を緩ませる。
「メイムさん!髪で遊んでいいですか!」
先程とは違う明るい声色で言う。
「? いいよ。」
メイムが浜辺に腰掛け、少年がメイムの緑がかった黒いサラサラの髪を撫でながら言う。
「メイムさん
僕も、貴方が好きです。」
嘘のはずがない。
しかしこの少女の神様には違う意味で受け取られるのかもしれない。
「…そう、」
「雅春少年」
「っ…」
少年は驚きメイムの髪を手に乗せながら、うつむき目元を潤わせた。 数滴、目から雫が落ちて、浜辺の砂に染み込んでいく。
口を固く閉じ絶対に嗚咽を漏らさなかった。
メイムは振り返らず、ずっと正面の何処かを向いたままだった。
少年は目をこすり、口に笑みを浮かべながら言う
「いって参ります。」
メイムの背中にある髪は毛先が綺麗に三つ編みに結ってあった。
コメント
3件
おぉ、、✨後さ私が勝手につけた設定だけど、イリューが、メイムちゃんが路地で座ってるのを見て、拾った?みたいなのどう?ちなみにイリューは路地のバーで働いてるから、バーテンダーでもある、マジシャンって手先器用だからね、、で、ドウデスカ
メイム設定全部は長すぎて1話には抑えられなかったため2話に分けます! ちなみに少年の名前の読みは 雅春(まさはる)です 急いで書いたんで誤字多めで雑かも…