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#異世界転生
JokerX号
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#主人公最強
杯雪乃
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「――ふわぁ……」
「アイナさん、もう夜ですよっ!!」
「……本当だ。
あれ、いつの間に」
昨日のお祭りが盛況のまま終わったので、今日はのんびりと休むことにしていた。
……が、時間はすでに18時。もうしばらくすれば、夕食の時間になってしまう。
今日の朝食と昼食は食べた記憶があるけど、それ以外は――……って、あれれ?
「アイナ様、きっとお疲れだったのでしょう。
温かいお茶はいかがですか?」
「おー。クラリスさん、ありがとー」
お茶の入ったカップを受け取り、そろそろと口を付ける。
はぁ、温かい。何だか今日、ようやく目が覚めた気がする。
「確かにアイナさん、昨日のお祭りはノリノリでしたもんね。
ずっとご一緒してますけど、あそこまでノリノリなのは初めて見ましたよ」
「えぇー……。……うーん、でも、そうかもしれませんね。
あんな司会進行なんて、私も初めてやりましたし」
最初はお酒が入っていたから……と思っていたが、さすがに酔いなんて途中で抜けてしまっていたわけで。
つまり私でも、やろうと思えばあんなハイテンションなノリで何かを成し遂げることができるのだ。
……さすがにあれは、あんまり柄じゃないような気もするけど。
「――ただいま戻りました」
「あれ? ルーク、お帰りなさい。
どこかに行ってたの?」
夕食ができるのをのんびり待っていると、ルークがどこからともなく戻ってきた。
昼食のときは一緒だった記憶があるけど、私はそこからずっと寝ていたからなぁ。
「暗くなる前から、昨日の警備の方とお会いしてきたんです。
私の賞品が当たった方、ですね」
「そういえば今日、修行を少し見るって話だったもんね。どうだった?」
「はい。とても熱心な方で、私の話をよく聞いてくださいました。
ひとまず今日は、私の日課のメニューについて話をしてきました」
「なるほど、お疲れ様。
クラリスさんとキャスリーンさんのランチ券も、今日だったよね?」
ちなみに今日のみんなの昼食は、主にエミリアさんが作ってくれていた。
私も少し手伝ったけど、どうにも睡魔が襲い掛かってきて、ろくな手伝いはできていなかったような気がする。
その間、クラリスさんとキャスリーンさんはランチ券の当たった人をもてなす準備をしていたのだ。
「はい、問題なくおもてなしをすることができました。
さわやかな潮風を感じながら――といった感じで、とても素敵なものになったかと思います」
「お客様も最初は緊張されていましたが、最後はとても満足されてお帰りになられました!」
クラリスさんの言葉に、キャスリーンさんも満足そうに続けた。
「二人もお疲れ様。
せっかくだし、私もこっそり見学したかったなぁ……」
「ママーっ」
「あ、リリー。
今日はずっと寝ちゃってて、ごめんね」
「ううん、お疲れ様なの!
見て見て! ママの似顔絵を描いたのー♪」
リリーが差し出した紙を受け取ると、そこにはいわゆる『子供の描いたような絵』が描かれていた。
ふふふ、大雑把には私の特徴を押さえてくれているかな?
「わー、上手だね!
私、リリーのお絵描き券が欲しかったんだよ。何だか得した気分!」
「ありがとなの! それじゃ、その絵はママにあげるの!」
「やったー♪ 大切にするね!」
「えへへ♪ それでね、昨日の人にも似顔絵を描いてあげたの!」
「あれ、もう来てくれたんだ?」
「できれば今日――って、ダメ元で来てくれたみたいなんですよ。
リリーちゃんとは、わたしが一緒に行っておきましたので!」
「おお。エミリアさん、ありがとうございます。
その間、私はすやすやと快眠を|貪《むさぼ》っていた……と」
……そう考えると少しだけ自己嫌悪が生まれてくるが、しかし今、私の身体はとても軽い状態だ。
長い睡眠も疲れを取るためだと考えれば、そんな自己嫌悪も消え失せてしまうというものかな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
しばらくまったりしていると、夕食の時間にはジェラード以外の全員が集まっていた。
まぁ、ジェラードがいないのはよくあることだ。きっと商会の女性にでも会いに行っているのだろう。
「それでは今日もお疲れ様でした。食事にしましょう!
……あれ? 何だか豪華なメニューだね?」
「はい、ランチの仕込みと一緒に、夕食にも使えるように作っていたんです。
さすがに同じメニュー、とはいかなかったのですが」
「ううん、テント生活でこんなに良いものが食べられるなんて、凄いと思うよ!
それじゃ、いただきまーす♪」
料理を口に運んでみると、なるほどお屋敷で食べている、いつもの味だ。
こうして考えてみると、私もずいぶん恵まれた環境で暮らしているものだ。
王都から逃亡している間は惨めな生活を送っていたけど、それも今はどうにかなっているし――
……あの頃の生活に、もう戻るわけにはいかない。
私はここで、私たちの楽園を作っていかなくては……!!
「ちょっと、ちょっと!
こんなところまで入ってきて良いんですか!?」
「いーから、いーから♪」
「……うん?」
私たちが夕食をとっていると、少し遠くの方に男女の姿が見えた。
この場所は柵や縄で仕切ったりはしていないから、ここまでは普通に入って来れちゃうんだよね。
そしてどうやら慌てているのは男性で、強引に連れ込もうとしているのが女性のようだ。
「ふむ、妾たちの食事の邪魔をしようとは、無粋にもほどがあるのう」
「はぁ……。お祭りはもう終わったのに、頭が浮かれたままなんですかねぇ……」
「ふふっ、アイナも言いおるわ♪
まぁ良い、妾が追い払ってくるとしよう」
「グリゼルダ様、そのようなことは私が……」
「良い良い、ルークは大人しく食っておれ。
今日はアイナと一緒におらんかったから、寂しかったじゃろ?」
「はぁ……、ではそのようにします」
……ルーク君。少しくらい否定しなさい。
そんなツッコミを心の中でしていると、グリゼルダはずんずんと男女の方へと向かっていった。
何だかんだで、グリゼルダもやるときはやるのだ。
それに多少強いくらいの連中では、仮に戦いになったとしても、グリゼルダが負けるなんてことはあり得ない。
私は呑気に料理を口に運びながら、グリゼルダの背中を眺めていた。
男女と少し話をしたあと、その女性がグリゼルダに近付くと――
「――っ!?」
「アイナさん、どうしま――……グリゼルダ様!?」
私の驚いた顔を見て、エミリアさんも大きな声で驚いた。
なんとグリゼルダが、その場で膝を付くように倒れ込んでしまったのだ。
「何者ッ!?」
とっさに動いたのはルークだった。
神剣アゼルラディアを手に取り、男女の方へと走っていく。
「……一応、戦闘の準備を」
「はいっ!」
「おう!」
「なの!」
「リリーはクラリスさんたちと後ろに下がってて」
「にゅー、分かったの!」
私たちは緊張しながら、ルークの背中を見守った。
そして剣を構えるルークに、女性がゆっくりと声を掛ける。
……その女性は、特に武器は持っていない。
服装は少し清楚っぽい感じで、顔つきや髪型もそんな性格を反映しているかのようだ。
しかしルークがその女性と一言二言、言葉を交わすと――
「――ッ!?」
ルークは声にもならない声を上げて、その場に倒れ込んでしまった。
見れば脇腹を押さえている。この一瞬で、もしかして攻撃を食らってしまった……?
もう、疑う余地は無い。
あれは――敵だっ!!
「エミリアさん、とりあえず倒してしまいましょう!」
「はい、いきますっ!!
シルバー・ブレッドっ!!」
エミリアさんが速攻で魔法を唱えると、すぐさま白い輝きの塊が撃ち出された。
いつもながら、なかなかのスピードだ。
「――わっと!?」
しかしグリゼルダとルークを倒した女性は、それを紙一重で避けた。
エミリアさんのシルバー・ブレッドが避けられるだなんて、もしかして初めて見たかもしれない。
これはまさしく強敵――
「ちょちょちょっ!? ちょっと待ったーっ!!
エミリアちゃん、ストーップっ!!!!」
「……ほぇ?」
突然の女性の声に、エミリアさんは呆気に取られてしまった。
しかしあの女性、エミリアさんの名前まで知っているなんて――
……いや、昨日のお祭りで、エミリアさんのことは思いっきり紹介をしちゃっていたか。
あの場にいた人間であれば、エミリアさんの名前を知っていても不思議は無い。
「騙されちゃダメです! とりあえずやっつけて、ふんじばってしまいましょう!!」
「ちょーっとちょっと!
アイナちゃんまで物騒なこと言わないでっ!!?」
「馴れ馴れしいですね!
グリゼルダとルークに危害を加えてなお、そんなことを言いますか!!」
「違う、ちがーう!!
グリゼルダ様、ちょっと、そろそろ起き上がってくださいよーっ!!
ほら、ルーク君も!!」
「……へ?」
そう言えば、何だかどこかで聞いたことのある声のような……?
「……くくっ、はははっ! あー、もうダメじゃーっ!」
「ま、まったくですね……。ふふっ……」
女性の必死の訴えに、グリゼルダとルークが突然、身体を震わせながら上半身を起こした。
「……あ、あれ?
二人とも、大丈夫なのっ!?」
「ふは、ははっ……。
アイナはアイナで……くくっ、勘弁するのじゃーっ♪」
「アイナ様……、と、とりあえず、攻撃はしないで……大丈夫です、ので……はぁ、はぁっ」
「え、えぇ!?」
グリゼルダとルークの言葉に戸惑っていると、女性が静かに歩いてきた。
両手を上げながら、降参するようにゆっくりと近付いてくる。
男性の方はどうして良いのか分からず、最初の場所で立ちすくんでいる状態だ。
緊張しながら待つこと10秒ほど。
私たちの前に立ちはだかった女性が最初に言った言葉は――
「ああもう、僕だよ! ジェラードっ!!」
は?
……え?
そういえば確かに、顔には彼の面影が――
ぶはっ!!!!?
ええぇーっ!? でも、いろいろと違うじゃーん!?
声も全然違うしっ!!
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