───Sレイマリ視点───
私達は門をくぐってから城内に侵入し、大きな音が出るのをお構い無しに全力で走る。
──────親友を失いたくないから。
──────バンッ
めめさんが思いっきりドアを突き破る
その部屋は最上階にあり、一番豪華な部屋だ。中は城の塗装が施されており、戦闘でぐちゃぐちゃになっているが、その美しさと誇りはいまだ、残ってるように見える。中世の城というような雰囲気がその姿で物語っている。
ただ、中は悲惨な光景だった。
深紅のカーペットはぐちゃぐちゃに切り裂かれていたり、焦げている。美しいかったであろうシャンデリラは既に落ちボロボロと朽ち果てている。窓はほとんどが割れ、周りに散っている。壁にはヒビが入っていた。
さらに、今にも倒れそうな少女と、紙のようなものを顔にはり、素顔が見えない男の子が、トドメを指すところだった。
その後ろにはぶくぶくと太っていて偉そうにふんぞり返っている王が見合わない豪華な椅子に座りニヤニヤと笑っている。
「みぞれさんッ!!」
めめさんがすぐさま少女──────みぞれさんの傍による。
すみません、村長…と、小声で聞こえる。彼女は力尽きたかのようにめめさんの腕の中で倒れる。その顔には微笑を浮かべていた。
「なんでこんなことをしているんですか…!?」
「──────ガンマスさんッ…!!!!」
めめさんの顔には怒りが宿っており、城内に怒声が響く。真っ赤に染まった顔には冷静になろうとしている努力が垣間見れる。
「しょうがないじゃないですか…『命令』だったんですから」
その顔が書かれた紙には申し訳なさそうな、悲しそうな顔を浮かべる。
…倒しといてそんな顔ができるのか、とめめさんは言いたげだった。
チャキッ
短く鋭い音、刃物を取り出す音がした。
隣では鎌を構える──────めめさんの姿があった。
「ちょっ!?めめさん!?何やってるんですか!?」
「…何って敵討ちですよ?わざとじゃなかったとしても罪は償わないといけません。」
冷静を装う彼女の姿は正気には見えない。
いつもなら話し合いなどの方法で平和的に行くだろうが、今回は怒り狂っている。私にはめめさんを止められそうにない
そう思いつつ、無意識に私はガンマスさんの方に近づく。
「…ふーん…れいまりさんはそっち側なんですね?」
「一旦冷静に話しませんか?話し合えば絶対に分かりますって!」
「そうですね、痛い目を見たあとでね…!!!!」
王もそれは許さないとばかりに私達を睨みつける。私が王を見ているその刹那の瞬間に彼女が…いや──────
──────めめさんは大きく鎌を振り上げる。怒りによって行動は単純だが、鎌を交わした私に鋭い蹴りを入れようとする。
隙を生じぬ2段構えだ。
私は間一髪のところでバク転をしてかわす。なぜバク転かは距離を取りつつ避けるためだ。
ガンマスさんは剣を構える。
私はそのうちに天井を破壊しておく。
ガンマスさんが飛びやすくするために
「おい!!何勝手に天井を破壊しているんだ!!!!そんな許可を出した覚えはないぞ!!!!命令と違うだろ!!!!」
うるせぇ王が私を怒鳴りつける。そして、懐から出したボタンを押す。
「あ”か”ッ!?グッヘッハア”!?ガハッ」
思わず血を吐く。心臓を握りしめられたかのように痛い。痛い。痛い。
私の心臓がドクドクと早く鼓動がなる。辛い、苦しい。いつまでこれが続くのだろうか。一瞬で永遠を過ごしたかのようなそんな感覚になる。
私は失われ欠けた意識をすぐさま取り戻す。またあんな目には会いたくない。
『命令』を聞けばあんなことをされない。
めめさんは私がいきなり吐血をしたせいでいっしゅん行動を止める。
まともな人ならば、知り合いが血を吐いているところを見て何とも思うわけがない。
ただ、その隙をガンマスさんは見逃さない。
ザシュッ
確実になにかを切った音がする。
切ったのは──────
──────雪だ。
あまりにも手応えが無さすぎるものを切ったガンマスさんは少しよろけるが、すぐさま体勢をたてなおす。
その雪を出した人物は紛れもなく、さっきまで気絶していた、みぞれさんだ。
さすが精霊とでもゆうべきか。天候が雪や、あられならばそれは冬と言えるだろう…と私が考えている間に、ふと、上を見る。天井を壊され、見えた空は雪。
雪…いや冬はみぞれさんの独壇場だ。
みぞれさんの傷がみるみる治っていく。私は正反対にみるみる青ざめる。まさか、天井を壊したせいでみぞれさんの回復の手助けをしてしまったなんて…!!!!
「おい!!!!モタモタしてないでさっさと倒せ!精霊を生け捕りにしろ!その女は殺してしまって構わん!これは『命令』だッ!!!!」
私とガンマスさんはピクッと反応する。
そう、これは『命令』遂行しなければ
「みぞれさん、無理はしないでください。再生したばかりで、もろいでしょ?体。」
「いえ、大丈夫です!最大限サポートさせていただきます!」
「それは頼もしい!!」
めめさんは鎌を構え、みぞれさんは手を向ける。お互いが、お互いの後ろを任せたような体勢だ。
「ガンマスさん…!!!!」
私はガンマスさんを見る。
その目にハイライトはない。命令を出されすぎて脳が壊れ始めているのだ。
「命令は絶対命令は絶対命令は絶対命令は絶対命令は絶対命令は絶対命令は絶対命令は絶対命令は絶対…」
狂ったかのように小声でつぶやく。いくら人外でもずっとこのようなことを繰り返されればいずれ狂うのも必然である。今すぐ契約を解除しなければ…!!
ただ、無情にも私も命令には逆らえない。意思とは違う、行動をこの体が勝手に行う。私はめめさんとみぞれさん相手に戦闘体勢をとる。
誰か助けて…!!
ザシュッ
刃物のような音が聞こえる。
──────どうやら間に合ったようだ。
「…は?」
王の真っ赤なガーディガンに王自身の血がさらにそのガーディガンを染めている。
背後からの一撃、人間であるためそれは致命傷だ。
問題は誰が刺したかである。王が意識を無くしたかのようにばたりと椅子から崩れ落ちる。
その後ろにいたのは──────
──────いえもんさんだった。
はい!ここで切らせていただきます!
やっと戦闘シーンを入れられました!これだけじゃあ、意味がわからないと思いますが、次回あかされて行くのでお楽しみに!
それでは!おつはる🌸!
コメント
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いえもんさんナイス過ぎるな
王みたいなやつがいっぱい居るから人間=醜いみたいになるんだよ! 最初の方ちょっと誤字ってない?