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千早「…何を言い出すんですか突然」

突然の藤堂からの告白に、千早は唖然とした。当然だ。今まで好意を持たれながら接していたなんて知ったら、驚くのも無理は無い。それでも千早は茶化すようなことは一切口に出さなかった。藤堂の真っ直ぐな視線から、告白をおふざけだと思わなかったからだ。

千早「…」

千早はゆっくりと呼吸をしながら、考え込むように俯いた。どこか不安げで、なんと返せばいいか悩んでいるようだった。藤堂は少しだけ後悔した。こうなることは何となく予想はついていた。2人を包む沈黙の空気が、今までの関係性をゆっくりと崩していくようだった。正直泣きそうだった。でも1番泣きたいのは向こうの方だろう。こんなこといきなり言われて、戸惑わない方がどうかしてる。おこがましいが千早をどうにか安心させたいと思った藤堂は、何も考えずに口を開いた。

藤堂「…ッ千早、その、お前を困らせるつもりはなくて…俺はただッ…」

そう言って顔を上げた時。藤堂の目に写った千早は、顔を赤らめ目に涙を浮かべていた。予想外の反応に言葉が詰まった。その次の瞬間、もしかしてと思った。自分が望んでいたこと。

千早も同じ気持ちかもしれない

突如心臓の鼓動が早くなる。体温が上がり、今にも千早を抱きしめに言ってしまいそうなほどの高揚感と興奮が藤堂を包んでいた。

藤堂「千早…お前なんで…。さっきはあんな、驚いて、」

千早「…好きな人から告白されたら、本当かどうか疑うものでしょう…。あなたみたいに直球バカじゃないんですから」

そう言って藤堂を見つめたあと、ふっと笑みをこぼした。今まで見たことない柔らかい笑顔。千早はゆっくりと息を吸う

藤堂くん、好きです。




時刻は午後8時50分。昼間のアスファルトの熱はすっかり冷め、夜道を横に並んで歩く藤堂と千早の間を心地よい風が通り抜けていった。周りに人の気配は無く、長く静かな一本道には2人の歩く音だけが響いていた。それはまるで、世界にたった2人しかいないような。そんな気持ちにさせた。しばらく歩いた後、藤堂の住む団地が見えてきた。

藤堂「ここでいいよ。ありがとな」

藤堂は自分の少し後ろを歩く千早の方に振り返り、そう告げた。

千早「お構いなく。藤堂くん1人に夜道を歩かせたら不審者と間違えられてしまいますから」

藤堂「るせぇな…」

千早の言動に多少怒りを感じながらも、藤堂は家に帰るのを惜しんでいた。千早との何気ない会話が今日はあんまり楽しかったから。それに、自分が千早と恋仲になったことをまだ実感出来ていなかった。このまま千早の傍を離れたら、この夢が冷めてしまうのではないかと思った。すると、何か言いたげな藤堂の様子を見てた千早は、呆れたように大きなため息をつく。

藤堂「ち、千早…?」

千早「どーせ、俺たちが付き合った事まだ信じられねーとかくっだらないこと考えてたんでしょう」

千早「ほんっとーにバカですね!」

普段聞きなれない千早の怒鳴り声に、藤堂は少したじろいだ。鋭い眼光を向けたまま、千早は藤堂にスタスタと近づいて来た。殴られるのかと思いきや、藤堂の腹にはポスッと音を立てた優しいパンチが1つだけ。そこから数秒、俯いたままの千早と目が合わなかった。

藤堂「千早、泣いてんのか…」

千早の顔を覗こうと、藤堂はゆっくりと腰を下ろしていった。

その瞬間、藤堂の腹に添えられていた千早の右手は藤堂の胸ぐらを掴み、ぐいと自身の方へ引き寄せた。藤堂はされるがまま、気づけば2人の唇は重なっていた。慌てた藤堂は千早の肩を強く押し返し、フラフラと後ろによろける。

藤堂「ハッ…ハァッ…、千早お前…」

千早「本当に本当の馬鹿ですね藤堂くんは…。好きって言ったでしょう、俺もあなたも…。」

「だったら…!さっさとリードして!面倒臭い俺ごと抱きしめろよ!」

必死に声を荒らげる千早を前に、自分は本当にバカだと思った。勝手に告白して、自分だけ浮かれたと思えば、夢なんじゃないかとか考えて。隣を歩いてくれようとした千早の気持ちを、俺は置いていったんだ。藤堂は千早を引き戻すように強く手を引いて、千早を抱きしめた。千早の熱が、直に伝わってくるのが分かった。

藤堂「悪ぃ、千早。振り回して突き放してまた引き戻して。」

「…俺も大概めんどくせぇわ」

薄暗い道を月明かりが照らす中。2人は互いを確認するように、また強く抱き締め直した。

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コメント

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やばいほんと!さいこうすぎ!

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