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リョナ。
「……っ、は、あ…………っ、ひ、っ…………!!」
暗い地下室の椅子に拘束されたスズメは、自身の右足があった場所を凝視し、絶叫なき絶叫を上げ続けていた。
止血のためにきつく縛られた切り口からは、未だにどす黒い生血が滲み、床のタイルに小さな湖を作っている。鉄錆の匂いが部屋中に充満し、彼女の鼻腔を執拗に犯す。
忍にとって、足は命だ。地を蹴り、壁を走り、重力を欺くための翼。それが、たった一振りの冷たい鋼によって、物言わぬ「肉塊」へと変えられた。
「……あ、が……っ、は、はぁ……っ!!」
スズメの端正な顔は、もはや元の凛々しさを留めていない。
脂汗が額を伝い、涙と鼻水が混ざり合って、彼女の白い肌を汚していく。切れ長の瞳は恐怖と喪失感で白濁し、焦点はどこにも結ばれず、ただ虚空を彷徨っている。
誇り高かった口唇は、自身の歯で噛みちぎられてボロボロになり、そこから漏れるのは、一羽の小鳥が羽根を毟り取られた時のような、弱々しい悲鳴だけだ。
「……殺せ……っ。……いっそ、僕を……今すぐ……殺してくれ…………っ」
掠れた声で懇願するが、目の前に立つ男は、血に濡れた鋸(のこぎり)を弄びながら、冷酷に微笑むだけだった。
「殺す? 冗談だろう、スズメ。お前のその、完璧だった『機能美』が損なわれ、欠落した肉体で喘ぐ姿……これほど美しいものを、すぐに終わらせるわけがない」
男の指が、切断されたばかりの、生々しい傷口の縁にゆっくりと触れた。
「っ、ひ、あああああああああぁぁぁぁっ!!!」
スズメの身体が、拘束具を跳ね飛ばさんばかりに激しくのたうち回った。
切り落とされた神経の末端が、脳に「存在しない足」の激痛を叩き込む。
狂おしいまでの苦痛に、彼女の視界は真っ白に染まり、喉の奥からせり上がる嘔吐感に、再び胃液を吐き散らした。
(……僕は、もう、走れない……。二度と、あの風を……感じられない……)
肉体的な痛み以上に、彼女の心を殺したのは「二度と戻らない」という絶望だった。
エリートとして、一族の期待を背負ってきたスズメ。その翼をもぎ取り、地面に這いつくばらせる。
その屈辱に、彼女の精神の糸がぷつりと音を立てて切れた。
「あ、は……っ、はは……っ……あははははっ!!」
絶望のあまり、スズメの口から乾いた笑い声が漏れ出す。
頬を伝う涙が、血にまみれた床に落ちる。
凛々しかった「王子様」の面影は消え、そこにあるのは、自身の欠落を受け入れられず、狂気と痛みの狭間で壊れ果てた、無惨な一羽の鳥の姿。
男は、今度は彼女の左腕に手をかけた。
「右足の次は、何が良い? 左右のバランスを整えてやろうか」
「……っ……。……ひ、ぅ……ああ……っ……」
スズメの瞳から、最後の光が消えた。
彼女の美しい顔は、これから訪れるさらなる「欠落」への恐怖に歪み、背徳的なまでの絶望を湛えながら、深い深い奈落の底へと沈んでいった。
「……っ!! 嫌だ……っ、それだけは……やめてくれ……っ!!」
スズメの絶叫が、地下室の湿った空気を震わせる。
右足を失った絶望。だが、左足さえあれば、まだ「忍」として、あるいは一人の「人間」として、這ってでもどこかへ辿り着けるという、最後の、あまりにもか細い希望があった。
男はその微かな光を、最も残酷な方法で踏み潰そうとしていた。
「右だけではバランスが悪いと言っただろう? お前のその美しい四肢を、僕が完璧な『対』にしてやるんだ」
男が取り出したのは、右足の時よりもさらに鋭利に研ぎ澄まされた、無骨な断裁刀だった。
スズメの瞳が、恐怖に限界まで見開かれる。
サラシで締め上げられた胸が、過呼吸で激しく上下し、拘束された鎖がガチャガチャと悲鳴を上げる。
「あ、が……っ、ひ、ぅ……っ……!!」
男の指が、左膝の裏、関節の隙間をなぞる。
スズメの脳内に、先ほどの右足を切り落とされた際の、あの「骨が砕け、神経が焼き切れる」ような、地獄の感覚が鮮明にフラッシュバックした。
「あああああぁぁぁぁっ!! やめて……っ! お願いだ、殺して! 殺してくれ……っ!!」
凛々しかった「王子様」のプライドは、もはや塵一つ残っていない。
涙と汗でぐちゃぐちゃになった顔で、スズメはなりふり構わず命乞いをした。口角からは血の混じった涎が垂れ、鼻水を啜り、無様に首を振る。
だが、男の容赦ない刃が、左膝の皮膚を、肉を、そして硬い骨へと喰い込んでいった。
——ギチ、ギチリッ。
「……ッ、あ、あ、あああああああああああああああぁぁぁぁっ!!!」
地下室を揺るがす、魂を削り出すような絶叫。
スズメの視界は真っ白な火花を散らし、激痛のあまり白目を剥いてのけぞった。
右足の痛みが、左足の新たな激痛と共鳴し、彼女の神経系を完全に破壊していく。
筋肉が断裂し、大腿動脈から鮮血が噴水のように噴き出して、スズメの顔や、剥き出しの太腿を赤く染め上げていく。
ついに、鈍い音とともに、スズメの左足が床に転がった。
「は……っ、あ…………っ…………」
スズメの頭が、がくりと胸元に落ちた。
両の膝から下を失い、だらしなく垂れ下がった切断部。
かつては風よりも速く大地を駆けたその足は、今や冷たい床の上で、ただの肉の塊として無造作に転がっている。
スズメは、虚ろな瞳でそれを見つめていた。
もう、痛みさえも遠のいていく。
失血による眩暈の中で、彼女の顔には、この世のものとは思えないほど悲痛で、それでいて、すべてを失った者特有の、空虚な微笑みが浮んでいた。
「……あ、は……。……ない……。僕の、足が……どこにも……っ……」
引き攣った笑みとともに、彼女の瞳から最期の光が消えていく。
二羽の翼をもぎ取られた小鳥は、自らの血で描かれた紅い海の中で、ただ震えながら、深い、深い沈黙へと堕ちていった。
「……あ、あぐ…………っ」
スズメの喉から、空気の漏れるような掠れた音が漏れる。
視界は真っ赤に染まり、思考は断片的にしか機能していない。だが、男の冷たい指先が、今度は彼女の右肘の関節を、愛おしそうになぞった瞬間、死に体だった彼女の肉体が、生存本能だけでガタガタと震え出した。
「足がなくなって、重心が狂ってしまったな、スズメ。……腕も整理してやれば、お前はもっと『完璧な形』になれると思わないか?」
「……や……め……っ……。……もう、いいだろ……。……殺せ……っ。……殺して……っ!!」
スズメの端正だった顔は、もはや恐怖と屈辱の極致に達し、その美しさを無残に損なっていた。
汗と涙、そして自分の返り血でぐちゃぐちゃになった顔面を、男は容赦なく鷲掴みにする。無理やり上を向かされたスズメの瞳には、かつての凛々しさは微塵も残っていない。
「殺すのは勿体ない。お前はこれから、一族の誇りでも忍でもなく、ただの『美しい肉の器』として生きていくんだ。……そのための、余分な枝を払ってやろう」
男が手にしたのは、先ほどまで彼女の足を削っていた、あの血塗れの鋸(のこぎり)だった。
「ひ、っ……い、嫌だ……あああああああああああああああああああああぁぁぁぁっ!!!」
地下室の天井を突き抜けるような絶叫。
鋸の刃が、スズメの右肘の柔らかな皮膚を裂き、筋組織を噛み切り、硬い骨へと到達する。
——ギチッ、ギチリッ。
骨を削る、不快な振動が彼女の全身に響き渡る。
「あ、が……っ!! ぐ、あぁぁぁ……っ!! は、はぁ、はぁっ!!」
スズメの顔が、見たこともないほど醜くひきつる。
口角からは糸を引く唾液と血が混ざり合って溢れ出し、白目を剥いてのけぞる。
足の激痛がまだ引かないうちに、腕を奪われるさらなる地獄。
一掻きごとに、彼女の「誇り高い人生」が、削りカスとともに床へと零れ落ちていく。
やがて、重々しい音とともに、スズメの右腕が肩の下から崩れ落ちた。
「……あ、は……。……あ、ああ……」
スズメの首が、力なく横に垂れる。
両足を失い、右腕をもぎ取られた、あまりにも歪な姿。
かつては数々の武器を自在に操り、闇に潜んで標的を仕留めた、あの完璧な「忍」の姿は、もうどこにもない。
残されたのは、左腕一本。
スズメは、その唯一残った左手の指を、虚しく空に向けて動かそうとした。だが、それさえももはや、彼女の意志には従わない。
「……あと、ひとつだ。……スズメ、お前が本当に『だるま』になるまで、あと一つ。……楽しみだろう?」
「……ぁ…………ぅ…………」
スズメは、もはや言葉にならない喘ぎを漏らすのみだった。
頬を伝う涙が、血に濡れた床に落ちる。
彼女の美しい顔は、これから訪れる「最後の一撃」への絶望と、あまりの苦痛による恍惚が混ざり合ったような、この世の地獄を体現する表情へと変わっていた。
「……あ、は……。……ぁ……っ」
スズメの意識は、すでに深い霧の向こう側にあった。
失血による急激な体温の低下。耳鳴りは激しい嵐の音のように響き、視界は端からじわじわと闇に侵食されている。
だが、その混濁した意識を、最後の「死の予感」が鋭く突き刺した。
男が、血の脂でヌルつく手で、スズメの左腕を優しく、それでいて逃れられない力で掴み上げた。
「さあ、最後だ。これでようやく、お前は余計なものをすべて削ぎ落とした、僕だけの『だるま』になれるんだよ、スズメ」
「……ひ、っ……。……いや……っ……だ…………」
スズメの唇が、音にならない拒絶を刻む。
常に凛として、男勝りな格好良さで周囲を魅了していた彼女。その面影は、今や完全に消え失せていた。
顔面は、涙と鼻水、そして自分の血でドロドロに汚れ、恐怖のあまり顎はガクガクと外れそうなほど震えている。
美しかった瞳は、これから自分の身に起こる「最後の一撃」を直視できず、白目を剥いて天を仰いでいた。
男は、最も重く、鋭利な一振りの断裁刀を構えた。
「……あ、ああ……っ、ああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
地下室の冷たい静寂を、スズメの断末魔が切り裂いた。
骨を断つ、鈍く、それでいて重々しい衝撃。
彼女の肩から、最後の「意志」が切り離された。
ドサッ、と、重々しい肉の音が床に響く。
スズメの左腕が、床の血溜まりに落ち、ピクピクと最後の痙攣を見せた。
「……っ……、あ、は………………」
スズメの首が、支えを失ったようにカクンと前に垂れた。
四肢をすべて失い、肩と膝から先が丸く「欠落」した、あまりにも無惨な肉の塊。
かつては月夜を駆けた「忍」の姿は、今や見る影もない。
そこにあるのは、文字通り「だるま」にされ、ただ命の灯火が消えるのを待つだけの、歪な肉の標本だった。
「完成だ。……素晴らしいよ、スズメ。お前は今、この世で最も無力で、最も美しい」
男が、四肢のない彼女の胴体を愛おしそうに抱き上げた。
切断された断面から溢れる熱い血が、スズメの白い肌を、腹部を、そしてその絶望に染まった顔を、さらに深く紅く染め上げていく。
スズメは、もう叫ぶ力さえ残っていなかった。
ただ、その引き攣った口元から、不規則な喘ぎが漏れる。
四肢を失ったその身体は、もはや自分の意志で動かすことさえ叶わない。
彼女の美しい顔は、あまりの苦痛と屈辱の果てに、空っぽな人形のような、虚ろな微笑みを浮かべていた。
「う、ふふ……っ。……な、い……。……もう、なにも……っ……」
彼女の精神は、その瞬間に完全に崩壊した。
自分がかつて忍であったことも、一人の女であったことも、すべては血の海の中に溶けて消えていく。
だるまとなったスズメは、ただ男の腕の中で、終わりのない暗黒へと、ゆっくりと、幸せそうにすら見える絶望とともに、堕ちていった。
「……あ、は……っ、は…………ぁ……」
スズメの意識は、激痛と失血による混濁の狭間にあった。
両肩と両膝から下が失われ、包帯が巻かれたその姿は、あまりにも歪で、あまりにも無力だ。かつての凛々しい忍の面影はどこにもない。そこにあるのは、自らの意志で寝返りさえ打てず、ただされるがままに横たわる「肉の器」だった。
男の冷たい指先が、スズメの項から背筋にかけて、ゆっくりと、這いずるように愛撫を開始した。
「っ……!? あ、やめ……っ、ひ、ぅ……っ!!」
スズメの身体が、四肢のない胴体だけで跳ねる。
四肢を失ったことで、彼女の脳は残された部位の感覚を異常なまでに鋭敏化させていた。ただ肌をなぞられるだけの刺激が、今の彼女には脊髄を直接焼かれるような、暴力的なまでの感触となって全身を駆け巡る。
「可哀想に。手も足もないから、僕を拒絶することも、顔を隠すこともできないんだね」
男の指は、彼女の脇腹、そしてサラシで締め上げられた薄い胸板へと這い上がっていく。
男がそのサラシをクナイで引き裂くと、忍として隠し続けてきた、無防備な膨らみが露わになった。
「あ、が……っ!! あああああああああぁぁぁぁっ!!」
羞恥。そして、身体の奥底からせり上がる、不本意な熱。
四肢を失った絶望の真っ只中で、自身の肉体が「女」として反応し始めているという事実に、スズメの精神は激しく摩耗していく。
男の舌が、スズメの耳元を湿った音を立てて這い、そのまま首筋を深く吸い上げた。
「は……っ、ひ、っ、あ……っ……!!」
スズメの美しい顔は、苦痛と快楽がドロドロに混ざり合い、この世のものとは思えないほど無残に、そして背徳的に歪んでいた。
涙が耳元へと流れ落ち、口角からは絶え間なく涎が滴る。
男の手は、さらに下へと降りていく。
四肢を失い、だるまとなった彼女に残された、唯一の「機能」を確かめるように。
「……っ、あああああああぁぁぁぁっ!!! やめて……っ、殺して……っ!! おねがい、殺してええぇぇぇっ!!」
拒絶の言葉とは裏腹に、彼女の肉体は、失われた四肢の感覚をすべてそこに集中させたかのように、激しくのたうち回った。
逃げ場はない。自分の手で押さえることも、足で蹴り飛ばすこともできない。
ただ、与えられる刺激をすべて受け入れ、脳が焼き切れるまで鳴かされるだけの、無力な肉塊。
「さあ、スズメ。四肢を捨てて、本当の『獣』になれ」
「あ、は……っ、ひ、っ、あ、あああぁぁぁぁっ!!!……ん、んんんんんっ!!!」
ついに、スズメの瞳が白目を剥いて大きく見開かれた。
四肢のない胴体が、弓なりに反り返り、激しく小刻みに震える。
絶頂。
それは、忍としての誇りが完全に死に絶え、彼女の魂が、男に飼い慣らされた「だるま」へと作り変えられた瞬間だった。
「あ、は……あ、はぁ……っ……ひ、ぅ…………」
果てた後のスズメの顔には、もはや何の意志も宿っていなかった。
だらしなく開いた口から涎を垂らし、焦点の合わない瞳で虚空を見つめる。
四肢を失い、尊厳を奪われ、快楽という名の泥濘に沈められた彼女。
だるまとなったスズメは、ただ、男の腕の中で、壊れた人形のような虚ろな微笑みを浮かべたままでいた。
「……あ、あぐ…………っ、は、あ…………っ」
スズメの視界は、脂汗と涙で激しく歪んでいた。両肩と両膝の切断面は、男が施した止血処置によって無残に盛り上がり、包帯の下でドクドクと脈打っている。その「欠損」による喪失感が、彼女の神経を狂おしいほどに過敏にさせていた。
男は、スズメが忍として命懸けで守ってきた「自分自身」を嘲笑うように、彼女の胸板を覆っていたサラシの残骸を無造作に引きちぎった。
「っ……!? あ、ぁ……ああああぁぁぁ……っ!!」
露わになった、白磁のように滑らかな双丘。忍としての過酷な修練によって引き締まりながらも、女性特有の柔らかな曲線を描くそこは、スズメにとって誰にも踏み込ませてはならない、最後の「聖域」だった。
男の、血の匂いが染み付いた無骨な掌が、その片方を無遠慮に、力任せに鷲掴みにした。
「あ、が……っ!! ぐ、あぁっ!!」
スズメの喉から、押し潰されたような悲鳴が漏れる。
四肢を失った肉体は、逃げるために身をよじることさえ、自らの重みに阻まれてままならない。ただ椅子の上で、だるまとなった胴体を無様に震わせ、悶えることしかできないのだ。
男の指が、その頂点(さき)を執拗に、弄ぶように捻り上げる。
「やめ……っ、やめて……くれ…………っ! 殺せ……殺してくれええぇぇっ!!」
「殺さないと言っただろう、スズメ。お前のこの美しい体が、こんなにも敏感に震えている。腕も足もなくなった分、ここがすべてを、代わりに従順に受け入れているじゃないか」
男の言葉は、残酷な真実を突いていた。
失われた四肢へと流れるはずだった血液と神経の電気信号が、行き場を失って今、この胸元へと集中している。ただの愛撫が、今のスズメには脳を直接、熱く焼いた鉄でかき回されるような暴力的なまでの「熱」となって襲いかかる。
「ひ、っ……あ、は……っ!! あああああああああぁぁぁぁっ!!!」
スズメの端正な顔が、見たこともないほど醜く、そして背徳的なまでに歪みきった。
口角からは糸を引く唾液が滴り、目は白目を剥いてのけぞる。
羞恥と屈辱。だが、それらを遥かに凌駕する肉体的な「快感」という名の激痛。
自分の意志に反して熱を持ち、硬く尖っていく自身の身体。それを、自分の手で隠すことすら叶わない絶望。
男は、さらにその顔をスズメの胸元に埋め、獣のように吸い上げた。
「あ、ぁ……っ、ん、んんんんんっ!!!」
スズメの鼻の奥から、くぐもった、情けない喘ぎが漏れる。
忍としてのプライドが、高潔な「王子様」としての仮面が、一剥きごとに剥がれ落ち、中から剥き出しの「雌」としての本能が溢れ出していく。
涙でぐちゃぐちゃになったスズメの瞳から、最後の光が消え、濁った恍惚の色が混ざり始める。
だるまへと変えられた彼女は、ただ男の愛撫に翻弄され、自らの尊厳が完膚なきまでに蹂躙される感覚を、全身の毛穴から、逃げ場もなく吸い込み続けていた。
「……ぁ……、あ…………」
スズメの意識は、すでに深い泥濘の中にあった。両肩と両膝の断端は、止血処置の包帯が赤黒く汚れ、だらしなく床に投げ出されている。
かつては風を切り、誰よりも高く飛んだ一羽の鳥。それが今、男が首輪のリングに重々しい鉄鎖を繋いだ瞬間、文字通り「家畜」へとその身分を墜とされた。
「さあ、散歩の時間だ。……誇り高き結城さん?」
男が鎖を無造作に、力任せに引いた。
「っ……、げほっ……!! ご、ほっ……!!」
不意に喉を締め上げられ、スズメの胴体が床の上をズズリ……と引きずられる。
手も足もない彼女は、抵抗することも、バランスを取ることもできない。ただ、冷たく硬い石畳にその白い腹部や、敏感になった胸を擦り付けながら、無様に転がされるだけだ。
「……あ、が……っ、ひ、ぅ……っ!!」
鎖が引かれるたび、スズメの顔は苦悶に歪んだ。
床に擦れる摩擦の痛み。それさえも、感覚を鋭敏にされた今の彼女には、全身の皮膚を剥がされるような激痛となって襲いかかる。
涙と涎が床に筋を作り、彼女がかつて愛した「忍としての誇り」を、その自らの体液で汚していく。
男はわざと、凹凸の激しい荒れた路面を選んで彼女を引き回した。
「は、ぁ……っ、は…………っ!! やめ……、て…………」
掠れた声で乞うが、男は歩みを止めない。
引きずられる衝撃で、四肢の断端が床に叩きつけられるたび、スズメは白目を剥いて痙攣した。
その顔は、もはや人間の尊厳を失い、ただ苦痛に従順に反応するだけの、壊れた肉の玩具。
口からは不規則な喘ぎが漏れ、焦点の合わない瞳は、自分を引きずる男の背中を、絶望と、抗えない隷属の混ざった眼差しで見つめることしかできない。
「見ていろ。お前が守りたかった世界だ。……だが、今のお前を見る者は、誰も『忍』だなんて思わない。ただの、手足のない惨めな肉だ」
男が鎖を短く巻き取り、スズメの顔を無理やり引き上げた。
首輪に食い込む鎖の重みが、彼女の細い首を悲鳴を上げさせる。
涙でぐちゃぐちゃになったスズメの顔。かつての凛々しさはどこへやら、自分を家畜のように扱う男に対し、本能的な恐怖で喉を鳴らして震えることしかできない。
「あ、は……。……あ……っ……」
スズメの精神は、引きずり回される振動と屈辱の中で、音を立てて瓦解した。
自分がかつて空を飛んでいたことさえ、遠い前世の記憶のように霞んでいく。
だるまとなり、鎖で繋がれ、床を這いずる。
その「現実」だけが、彼女に残されたすべてだった。
鎖の擦れる冷たい音だけが、地下廊下にいつまでも反響していた。