お久しぶりです、多分
これだけ早く出したくてしょうがなかった。もう我慢が出来なかった
天気予報によると、今日は五月にも関わらず真夏並の暑さになるらしい。クラスの女子が日焼けが、と嘆いていたのを見た。昨日までは紺色のセーラーや学ランしかいなかったのに今日は教室が白いワイシャツに変わり、ワイシャツ選んで良かったと安堵する。逆に部活で着る着心地の良いTシャツを来ている人もちらほら居て、赤や黄色や黒に染まっている人もいた。
授業中も集中出来ないほどの暑さ、それにジメジメとしていて髪が肌に張り付いて気持ち悪い。教室の中は制汗剤の匂いが混ざり臭い。それでも制服のワイシャツにも汗が滲むよりマシだ。
丁度、うちの学校は職員室以外のエアコンが壊れていた。窓を開けてもあまり風は入ってこないし入ってきても熱風だ。だったら窓を閉めた方が良いとクラスで決めたが、ムワッとした熱気が篭りあまり変わらない。先生だけずるーいという声が定期的に聞こえてくる。
でも、皆の暑さは気温や湿度、それだけではないはずだ。
学校一のモテ男であり俺の幼なじみ…そして俺が想いを寄せていた人、星導ショウのせいでもある。中性的な見た目から、ファンクラブもあり女子からも告白が絶えず、男子からも告白された数も少なくない。星導は勉強も運動も成績が常にトップで優しいしおまけに面白い、なので完璧超人と思われがちだ。でも星導にだって弱点はある、虫やトマト、皿の擦れる音が大の苦手。これを知ってるのは俺だけ。
そんな星導がいつもは下ろしているサラツヤの藤色の髪を結びポニーテールにしているからだ。うなじが見え、汗が滴っている姿は男でも感じるほどえろい。ちなみに星導に頼まれて俺がした。涼しければ何でも良いとの事だったので、左右編み込みにしてとことん可愛く仕上げている。ヘアゴムもピンも全部自前のだ。
『高校生にポニーテールは痛くない?』と聞かれたが「俺がやったんやから世界一、可愛い」と適当に返しといた。
星導はピアスを隠す為にいつも髪を下ろしていたが流石にこの暑さは…という事で、結んだことによりゴツゴツのピアスが丸裸になった。擦れ違う女子に新情報?!と叫ばれていた。極度のピアスは校則違反で先生にも驚かれていたが日頃の手伝いのお陰で目をつむってもらった、らしい。それも全て星導に開けてと言われたので、俺が中三の時の夏休みに開けた。俺とお揃いのピアス。
ホームルームが終わり、近くでテストがあるので色々と教科書やノートをリュックに突っ込む。
『ねーマナー、かーえーろー』
やっとこの暑い空間から解放されると呟きながら、早く早くと催促をしてくる。
「おん、ちょっと待っ..て」
星導と俺は家がお隣りで毎日一緒に登下校を繰り返している、交通費も浮くし。高校から家は歩いて二十分ぐらいの所で、とても近い。
『…そんなに教科書持って帰んなくても、…後で俺が教えてあげるからぁ』
「え?!まじ?!」
驚きすぎて大声が出てしまい、ぞろぞろと帰っていくクラスメートが一斉に振り向いた。だいぶ恥ずかしいが、そんなことよりいつもは頼み込んでも時々しか教えてくれないのに、珍しい。
『本当、だから早く帰ろぉよ~』
「うん!帰ろ!帰ろ!」
『…帰りにローソン寄ろ?』
皆守ってないけど、校則で寄り道は禁止されている。律儀にも俺と星導は今まで校則を守っていた。時々美味しそうな匂いを漂うのを我慢して通り過ぎていた。でも、茹だるような暑さの前には我慢出来なかった。
「ええよ、」
店内に入ると独特な癖になる入店音が流れ、冷たい空気に包まれる。少し寒いまであるけど外の暑さと比べたら全然マシだ。
『天国だぁ』
店内を見渡してみると見覚えのある制服を着た生徒がちらほら居た。
「それな」
真っ先にアイスコーナーに向かい品揃えを眺める。休みの日やおつかいで何度か来たことがあるが品揃えが豊富になっていて心が躍る。
『マナは何買うの?』
「ん~、やっぱラムレーズン…かな」
値段は張るが少し良いやつ、ハ■ゲンダッツ。
「るべは?」
『やっぱ葡萄ですね』
葡萄しか勝たん、と言いながら俺が持っていたカゴにア■スの実を放り入れた。後で星導に勉強を教えてもらう時に食べるお菓子もカゴに入っているのでカゴの中は山盛りになっていた。まぁ、勉強を教えてもらう身なので今回は払ってやろう。
会計を終え今度はお菓子コーナーでしゃがみお菓子を眺めていた星導の元に向かう。ちなみに見ていたのはカード付きのプリキュアウエハース。
「…今食べる?」
この暑さの中帰っていたら、家に着くときはドロドロに溶けていることだろう。折角のハーゲンダ■ツが…、
『帰ってからがいい』
「どうするん、走る?」
『…走るか』
星導は、立ち上がった。丁度俺が星導を覗き込むようにしていたので星導の頭が俺の顎にクリーンヒットした。
『「痛゛ぁっ!」』
突然の出来事と痛みで何にも頭が回らず、二人の叫び声が店内に響いた。ちらちらと他のお客さんも店員さんも怪訝な目で見てくる。家から一番近いローソンだしこれからも行くことがあるだろうし、ふつーに恥ずい。
俺の部屋は今ギターの弦やピックが散らばっていることから、星導の部屋で勉強会が行われていた。いつ見ても埃一つない白色系統に統一されているシンプルなお洒落な部屋。
「…るべのせいで恥かいたやん」
『俺のせい?!』
エアコンをガンガンに付け俺が!買ったアイスを二人で食べながら、ただだべっていると星導のスマホから通知音が鳴った。
『何だろ…』
星導はスマホを起動させて、同じ画面を数秒眺めてると思ったら何も返信とかもせずにスマホの電源を落としテーブルに伏せた。
「なんだったん?」
『…知りたいですか?』
テーブルに向かい合い座っていて画面が見えないので、星導の隣に行き屈む。星導から匂う制汗剤のせっけんの匂い。清潔感を漂わせた。これもモテる秘訣何だろうなと思いながら星導の顔を覗き込む。
「うん、気になる」
再びスマホの電源を付けて、同じ画面を俺に見えやすいように傾けた。
『これですよ』
LI■Eのアプリの会話で、〇〇ちゃんから連絡先教えてもらったの、星導君付き合って下さい!と一方的に星導に話し掛けている画面だった。
「…相変わらずやね、」
なんと、お相手は学校一のモテ女と言われる〇〇さんからだった。〇〇さんは他校の人からも告白されているようで、付き合ったら二人とも美男美女カップルとして持て囃される存在になるのに、
『…うわ、嬉しくない』
ジトと俺を睨む、別に俺悪ないし~、
『それに…好きな人からモテなきゃ意味ないし…』
「ふーん」
星導の好きな人か…気になると思った瞬間、あ、マナ何飲みたい?なんて話を反らされたからコーラと返すと星導が立ち上がる体制になった。これはまた俺の顎にクリーンヒットする!同じテツは踏まないぞ!と思い後ろにのけ反った。
突然唇にふにっとした感触がした、同時に口に広がる甘ったるい葡萄の味。目を開けて見ると光の加減で水色にも見える灰色の澄み切っている綺麗な眼が目の前にあった。
『…へ………?////』
星導がボンッと爆発したかのように顔が赤く染まった。誰であろうと告白されても顔色一つ変わらない星導が。星導は俺の肩を掴み、軽く突き飛ばした。
『じゃ、じゃあ、持ってきますねぇ…?////』
星導は、そそくさと部屋を出て行った。今俺は今までにないほどポカンとしたアホでバカそうな顔をしてるだろう。頭が追いつかない。いつもの頭の回転が5Gだとしたら3G、なんなら2…、1Gになってる。
「……へぁ……?////」
状況に理解しようと頭を必死に回転させていたが、しないほうが良かったかもしれない。なぜなら何が起こったか頭の中で整頓してみると心臓がバクバクとバカうるさいほど鳴っていて、顔に熱を帯びてきて手鏡で見てみると真っ赤になっていた。暖房が着いているのかと錯覚するほど体が火照ってる。
俺と星導がキ、キス?!?!?!…一旦落ち着こ?!いや、落ち着けるか??!!落ち着けるわけねぇよ!!!だって、元!好きな人だし…
と、頭を抱えてたら星導が戻ってた。俺は爆発していのに何事も無かったかのようにけろっとした顔で。
『何か顔赤くない?この部屋暑い?』
「ぅ゙え、ぃや?!ぇ゙んぜん大丈びゅッ!!!///」
コーラをテーブルに置き再び椅子に座った。
『さっきの問題の続きなんだけど…』
その後るべにいろいろと解き方を教えてもらったのに何にも頭に入ってこなかった。それに少し近づかれるだけで顔が赤くなっていたと思う。
『じゃ、また明日~』
「明日~…」
るべの家を出るとむわっとする暑さが身を包む。外気のせいもあるけど俺がこんなに熱くなっているのは全て好きな人のせい。
「熱くて溶けそぉ…」
るべが何考えてんのか知りたい。すべて
俺と、事故だけど…キスをしてどう思ったか、
夜、布団に入っても寝れなくて何度も唇を触ってはあの時の事を思い出す。
しばらく葡萄味のアイスは食べれなそうだ。
小さい頃、薄紫色の髪をした女の子に一目惚れをした。
どの感情が恋か、定義はないが。その子は今まで一番綺麗だと思った。
その時はドキドキを抑えられなくて、その子に告白をした。大きくなったら俺と結婚してくれませんか、と。母親が見ていた恋愛ドラマの台詞を丸パクリして、
その子は笑って良いよと返してくれたが、その子は男だったと気付くまでそう時間は掛からなかった。気づいた時はとても落ち込んでいた気がする。
そして男同士の恋愛など小さい頃はその発想がなく。何年も掛け、蓋をした。
今日でその蓋が飛んでいった。星導が好きだと言う想いが溢れて胸が締め付けられるように痛い。心の中では明確な答えが出てるのに、彼に伝える勇気がない。そして自分がいかに狡くて弱くて情けないか頭に叩き込まれる。
『マナー、起きて学校だよー』
起きたら、というかほぼ寝てないけど起きたら目の前には顔面国宝があった。ベッドの隅に逃げると手を滑らせてドタドタと音を立てて床に落ちた。落ちる瞬間、スローに星導が俺に手を伸ばしているのが見えた。
「ッ痛ぁ」
衝撃で閉じていた目を開けると再び、目の前に顔面国宝がいた。星導が俺を押し倒す体制で。星導の髪がカーテンのようにゆらゆらと揺れ隙間から光が差し込んでくる。お互いが状況を飲み込めないまま数秒が立った。俺のお母さんの早く降りてきなさいという声で二人が飛び跳ねるように距離を取った。
『俺先に降りてますね…?///』
「……お…う、」
顔を真っ赤に染めて俺の部屋を出て行った。
ここで第一に俺が思ったのはラッキースケベが多過ぎんか?!?!?!という事だ。昨日はキスで今日は押し倒される?!こんなこと連続で続いて堪るか!!
こんなん心臓もたへんよ…、したくないけど一旦距離取るか…。
朝ごはんを掻き込み自分が出来る最高の身だしなみを整え、るべがいる玄関に向かう。まだ朝早いのでひんやりとした空気が残っていて涼しい。
『マナ遅いですよぉ。早く行きましょ!』
「あ、うん」
手を俺に差し伸べる彼の姿は青春という言葉が似合う。
その場合は俺がヒロインになるのかなと思ったがそんなことないと一蹴した。
続きでます、多分
んを打つ時必ずゆに押し間違える癖を直したい。めんどくさいので
もう少しで他の続きも書きはじめます。
コトカさんの卒業悲しすぎて、まぢ無理
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