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わああああああ語彙力の塊さんですね…!? 頭ん中で場面を想像するだけでニヤけが…可愛い… 死者扱いなの悲しいけど妄想のしがいがありますよね…ありがとうございます神作品…
言葉の練習。() 色んな表現を身に付けたい……()
後半もう適当です本当に力尽きた。
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題名 「 僕らの世界が終わるから 」
「 お, やっと出れたわ!!」
飛び交う歓喜の声には計り知れない程の喜びが混ざっている。それに感染したかのように, また祝福の言葉は綴られていく。
もっと広めてやろう なんて考えて, ふと後ろを振り向き言葉を綴ろうとした__が。
「 …あれ?絵斗兄さん?猿山先生…? 」
足りない人影に代わって, 春の知らせを報告する桜が視界を遮った。
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場面はガラッと変わり, 未だに呪いの檻へと閉じ込められてしまっている2人。呪いに包まれてしまったその世界は, 元の世界の色を1つも映し出していない。
まるで古びた絵画のような世界だ。
太陽の光も遮断されてしまっているこの世界にある明かりなんて手元の蝋燭のみ。
「 で, 呂戊太がさ~! 」
そんな環境に飲み込まれず, 思い出話に花を咲かせている天乃絵斗。空気を読まない__否, 空気の読めない彼の明るい性格はこんな所で役に立ってしまう。
そんな彼に照らされながら笑みを零す猿山らだ男。先程まで呪いに閉じ込められ追いかけ回していた面影は無く, 年齢に見合った相槌と笑いを零すだけだ。
そんな彼らを邪魔するかのように, 呪われた世界は鐘を鳴らす。
「 ……もう少しでこの世界も崩れるんだね 」
世界の一部が欠片となって散らばっていくのを, ただ呆然と窓から眺める黄色い彼。成人済みとは思えない程の子供らしさを見せていた彼でも, 時間の流れに対する哀しみは持ち合わせている。
黄色い彼に影響を受けやすい青い彼は, また彼と同じ様な瞳で世界を見守っている。
呪いで出来たこの世界。未だに呪いの匂いは漂ってはいるものの, 核の部分を務めていた呪いは封印されてしまった。その為用済みとなってしまった世界は崩壊を告げるのだ。
「 …そうだ!最後に学校探検しようぜ! 」
「 え? 」
その提案を匂わせる発言も雰囲気も無かった。あまりの驚きに青い彼は暫し放心状態に陥る。
しかし, 黄色い彼と過ごした思い出をフラッシュバックさせれば今更か と納得してその提案を受け入れる。こんなのまだ全然軽い方なのだから。
「 それじゃ1階から順に回ろ!」
今自分達が居るのは1階のコンピューター室。妥当な考えに頷きを返して, 自分よりも暖かい手に包まれながら探索を進めていく。__探索といっても捜し物など無い為, 観光に近い様なものだが。
何処にでもある平凡な場所達。しかし, 自分達にとっては世界で1つしかない思い出に染まった場所達なのだ。
足を踏み入れるだけで古びたテープが脳内で再生される。隣にいる彼も同じなようで, とても短い映画を身終わったあと感想を言い合う。それを何度も何度も, 作業のように行ってきた。
3階を観光し, その階に残っている音楽室へ向かおうとする__が, ぐいっと力強く引き戻されてしまう。何事かと目を向ければ, 何か企んでる様な表情を浮かべながら彼は一言。
「 音楽室は最後に行こうよ。屋上が先! 」
自分は超能力者でも無い, ただただ普通のイケメンなので彼の考えてる事は1ミリも分からない。分かる術を持ち合わせていない。
頭上に疑問符を思い浮かべながらも, 力が導くままに普段は立ち入り禁止の屋上へと連れて行かれる。
「 到着~!いや~外の空気は美味しいね~!」
こんなの誰かに見つかれば問答無用で叱られてしまう。叱る人なんてもう何処にも居ないのだが。
澄んだ空気__とまでは行かないが, 先程よりも多少綺麗な空気を肺いっぱいに吸い込みそのまま二酸化炭素を吐き出す。
時間が経つのは早い様で, 崩壊を告げた時よりも世界は塵と化していた。左右何処を見渡しても徐々に崩壊していく街。その崩壊の波は学校にも近付いていており, 屋上の半分が消えていた。
__もし元の世界が戦争か何かで終わりを告げたら, こんな風になってしまうのだろうか。
もうその答えを探すことも出来ないけれど。
「 満足した~!さっ!音楽室へ!」
暗闇を照らすかのように彼はいつも通り明るい声で, 明るい笑みで, そして明るい表情で。この世界の一部を照らしていた。
メインディッシュのように取って置いたような雰囲気をだす彼に再び疑問符は浮かび上がる。崩壊していく速さに驚きつつも, 足を早める彼の背中を追いかけていく。
__ 懐かしいな 。
先生に追い掛けられている時のようなスリルは無いけれども, 未知の展開に楽しくなってしまう感覚はまるっきり同じだ。
自分達が着く頃にはもう校舎の半分は欠片となって崩れてしまっていた。しかし彼はそんな事も気にせずに音楽室へと足を踏み入れる。
「 どうして音楽室を最後にしたの 」
思考を未だに巡らせている脳は少しでも情報を得たいが為に言葉を綴った。その言葉を待ってたと思わんばかりにまた表情を光らせる彼。
此方としては反応ではなく, 理由を綴った言葉が欲しいのだが…… なんて思ったがその不満にはきちんと応えてくれた。
「 ここはさ, 僕とらだぁが初めて会った場所なんだ。覚えてる? 」
その言葉1つで当時の記憶がフラッシュバックされる。まるで今目の前で起きてるかのように鮮明な過去の記憶。
元々楽器等を嗜んでいた自分にとって, 音楽室は宝の山のようだった。勿論何度も不法侵入を繰り返しては叱られてはいたが。諦めずに繰り返す程, その部屋は光に満ちていた
記憶のテープを再生しているのにも関わらず, 彼はまた過去の記憶を言葉にして紡いでいく。
「 素人の僕がピアノを適当に引いてたらさ, らだぁがここに来て。それで弾いてくれたんだよね。
「僕も弾けるようになりたい!」って言ったら凄い意地悪な顔で「これ弾けるようになったら教えてあげる」って言われてさ……」
大人げない自分が映ってきて無性に穴に入りたくなる。所謂早めの厨二病が来てしまって, 冷たく接したりするのがカッコイイと思っていたのだ。勿論数年後にその過去は黒に染まり, 黒歴史になってしまったが。
…… そういえば自分が彼に渡した楽譜は…。
「 所謂連弾。2人一緒に弾いて初めて曲として成り立つもの。」
元々教えるつもりなんて無かった自分は, 2人でやる曲の楽譜を渡した。1人でも出来るには出来るのだが, まず素人には到底不可能な楽譜だ。
しかしそれがどうしたのだろう。ただその話をする為だけにここへ連れて来る訳がない。
そんな考えを浮かべていたらピアノの椅子へ腰を下ろす彼。元々何人か座れるように作られているその椅子はまだ空きがある。
「 ……僕たくさん練習したんだからね。 」
疎い自分でも, この言葉で彼の思惑が全て理解出来た。本当に可愛らしい後輩だな, と涙混じりの笑みを浮かべながら彼の左へ腰を下ろす。
きちんと綺麗に掃除されているグランドピアノは, 自分達を待っていたかのように光り輝く。
「 楽譜は覚えている? 」
「 もちろん。 」
「 ふふ…w それじゃあ僕メロディーやるから! 」
「 任せろ! 」
誰も居ないコンサート会場。観客と発表者は自分達だ。
繊細な音色は当時の彼とは思えない。一つ一つに籠る感情は計り知れない。
前へ突き進む彼の後ろをサポートするかのように音色を綴る。久しぶりに触るのに, 手は何時までも覚えていてこの時を待っていたかのように動いてくれた
__どちらかだけでは成り立たない演奏
初めて一緒にやるのに息がピッタリと合う。__いや, 互いが互いの音色に合わせているのだ。
互いの努力の結晶が音となり, 崩壊していく世界へ終焉の音楽を奏でる。
「 お前すごい上手くなってね? 」
「 当たり前だろ!マジで練習したんだからな!? 」
「 すげぇぇ…… 」
もう最後になってしまう変哲もない会話を交わしながら
「 ……来世があるなら, 今度は呪いのない世界に生まれたいね 」
「 …そうだね。なぁ絵斗, 俺お前の事が好きだわ 」
「 なんで今ここで!?」
「 いいじゃん。で, 返事は? 」
「 ……好きだよ馬鹿… 」
「 あ”ー可愛いかよこの野郎 」
「 うるせぇ!演奏に集中しろよ! 」
長く引きずっていた恋がを音に乗せて
「 丁度終わるタイミング重なりそうだね 」
「 あーあ…もう終わるのか…… 」
「 …ほら こっち向いて 」
「 ん?なn…… 」
軽く響き渡るリップ音
「 え、?」
「 おまじない。またらだぁと出会えるようにって……」
「 お前ほんと時間あったら襲ってたぞ 」
「 また会えたら襲ってどうぞ~?w 」
「 先輩なめんなよ今の言葉忘れねぇからな!! 」
かわいらしい悪戯と約束を交わして
___最後の音符を鳴らした。
「 「 また会えることを願って 」」
崩れ行く身体をそのままに, 互いの温もりを交換して最後のキスを交わした。
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あれですね。2人とも死者扱いなので元の世界に戻れず呪いの世界に取り残されてます。
両片想いでしたおめでとう!!!!
勿論来世ではきちんと呪いのない世界で愛し合ってますよいつか書きたい
それでは!!!