[おい、鞄出せよ]
[そんなか何が入ってんだよ。財布よこせよ!]
高校生らしき人達が、手を出してきた。
その手におとなしく財布を渡すわけにもいかず、僕は必死で逃走した。
[あ!待てよ!]
待てといわれて待つのは母が怖い幼稚園児かよく躾られてる犬だけだと思う。
僕は物陰に隠れた。
息が上がって、気配を殺すのに懸命だった。
[にーげた!wだっさw]
[あんたら五月蝿い!静かにして。読書の邪魔]
女の子の声がした。
その子の瞳は光輝く海のようだった。
青い髪が印象的だ。
[ああ?髪染めてカラコンしてる奴にいわれたかねえね]
[そう。あんた達だって、ピヤスついてるけど?ダサいよ。それ]
そこにいた女の子は凛としていて、とにかく堂々としていた。
[女子だからって承知しないぞ!]
[へー。女の子って認識はしてくれたんだ。ありがとう]
毅然とした振る舞いの女の子を、僕は眺めていた。
空以外にじっと眺めたものは今までなかった。
僕は初めて空じゃないものに魅了された。
コメント
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つい続きが気になる位面白い作品ですね!