ボスボスと柔らかいものが体に当たり、目を覚ますと 何やらはしゃいだこえが聞こえる。
あー、うるさい。わいわい騒がしい!!
「ん”ー……うるさい…」
「あ!起きた…って、うわ!!」
のそのそと起き上がると、レウが声をあげつつ何かを避ける。
「んぶっ!?」
ボスンと良い音を立てて柔らかい物が顔に当たった。結構な威力でそこそこ痛い。
「…枕?」
「あー…えぇと。え、えへへっ?」
どうやら人が倒れて寝ている横で、彼らは枕投げに夢中になっていたらしい。
何かが当たってると思ったら…コイツら。
俺の周りには既にいくつか枕が落ちていた。
「全員…ぶちのめすっ…!!」
それらを全て引っ掴んで、とりあえずレウの顔面を狙って投げる。
「わぁあっ!?ぶふっ!!」
青鬼…らっだぁとか言ったっけ?にも両手分の枕を投げつけて、投げきったと油断して笑っている紳士にも自分が使っていた枕を投げつけてやった。
「ぅわあっ!!危なっ!?!?」
「わぁ!?まってまってっ!!」
仕返しと言わんばかりに枕ごと体当たりされて布団にひっくり返ったところで枕投げは終了する事となった。
ぜぇぜぇと乱れた呼吸を整えていると、らっだぁに顔を覗き込まれる。
コイツ面つけて無い…。
周りを見れば、自分も含め全員が面を外していた。
「名前、聞いてもいーい?」
「きょー」
「んじゃ、きょーさん!!」
「なんやらっだぁ?」
さらりと返事をすると、名前知ってるの?と驚いた顔をするらっだぁ。まぁ、みんなそう呼んでるし…?
紳士がきらきらした目で俺は?俺は?と聞いてくる。が、大変申し訳ないが彼の名前は知らないし、聞いた事ない。
「コンタミです〜…きょーさん、コンちゃんって呼んでね?」
「ん。コンちゃんやな。んでそっちがレウ」
「呼び捨てっ!?……まぁ、良いけど…」
なんか不満げやな?
くるりと全員を見回す。
らっだぁが青色。レウが赤色。コンちゃんが紫色の羽織りを黒い着物の上から肩にかけている。
「らっだぁ、早速やけどここ何処や?」
「ここは妖の世界だよ!」
「…妖。らっだぁ達は何かの集まりって事でええんか??」
「うん。今はいないけどもう一人“緑色”っていう子がいて、俺らはここの“お偉いさん”ってとこかな…!」
“お偉いさん”…やけに抽象的な表現やな。
「まぁいいわ…んで、ここから元いた場所に帰る方法ってあるんか?」
「あるある!!…みどりなら」
つまりは現状俺はここから帰ることは出来ないという事だ。どうしよう…腹減った。
ぐぅ…と情けない音が自分の腹から鳴って、思わず布団に倒れ込む。
「とりあえず…腹減った……」
「きょーさん、悪いんだけど…そのぉ〜…」
レウが気まずそうに手を挙げる。
「なにぃ…?」
「ここの食べ物は人間が食べるのはあんまりよくなくて…体に悪いというか、何というか……」
つまるところ、飯もお預けという事で…俺にとってそれが一番悲しい話だった。
「みっどぉが来るまでここの説明しようか」
コンちゃんによる説明会が開催された。
ここでのルール
Ⅰ.支給された服を着る事。
Ⅱ.屋台の食べ物は食べない事。
Ⅲ.外では必ず運営の誰かと一緒にいる事。
Ⅳ.妖に声をかけられても無視する事。
:
これが、ここでの俺の“ルール”となった。
「大丈夫かなぁ…」
「大丈夫やって…しつこいなぁ〜」
「だってきょーさんはすぐ約束やぶるからなぁ…ホラ、目を開けないでねって言ったのに目を開けちゃったり」
いったい何歳の頃の話だと思っているのやら。小6やぞ?そんなん守ってられるか。
そんな風に話して盛り上がっていると、部屋の襖が横に開かれた。
部屋に入って来た人物とお面越しに目が合う。彼は恐竜…?のお面だ。
随分と背が小さい、他の三人に比べても比較的小柄で華奢だ。
「…ハ?ナニコノヒト」
辛辣やなおい…初対面やぞ。
「えっと…きょーです」
「ネェ、ラダオクン。 ナニコノヒト」
無視ですか、そーですか。
ぷるぷると震える拳を左手で抑えて大人しく座って話を待った。
「きょーさんだよ?よく話してた“あの子”」
「人間ジャン!?」
「そそ。しかも“混じってる”んだよ〜」
わなわなと口を震るわせ、ナニシニキタノ!?と威嚇する彼…おそらく緑色という人。
きっとその人も妖やけど。
鋭く睨みつけられるも、ちっとも怖く無い。レウを盾にしてるし。肩震えてるし。
「…とりあえず帰りたくて?」
「ヘェーッ!?…ラ、ラダオクン アノネ……」
「ぁ…まぁーじぃーで??それホント?」
ショックを受けたような声だが表情に変化はない。何処となく謎めいた彼は、こしょこしょとらっだぁに耳打ちするとしょんぼりと肩を落とした。
「ちょっと結界の補填工事が始まるから、しばらく帰れないカモ…シレナイナァ!」
視線を泳がせてひゅーっとカスカスの口笛を吹くらっだぁの言葉に、思わず…は?と返す。
帰れない…?
「え、なんで?しばらくってどれくらい?」
「…二十日クライ」
二十日…二十日!?…俺の夏休み終わるで?
…まあ、いいか。
オロオロしているらっだぁ達…緑色の彼以外…にええよ?と返す。
「え?そんな簡単に…」
「別にええって。気にせぇへんし」
そんなこんなでトントン拍子に話は進み、俺はここにいる間は“新しい運営メンバー”として過ごす事になった。
あぁ、それと。コンちゃんから長く滞在するなら、と新しく一つルールを追加された。
Ⅻ.身体に少しでも“異変”を感じたらすぐ運営の誰かに報告する事。
どうも、チェシャで御座います。
最近投稿がまったりで申し訳ないです。
なんか寝ても寝ても疲れが取れなくて…
=ずっと寝てました。えへっ?
♡とかコメントとか元気の素になってます。
本当にありがとうございます。
また次回。
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