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出浦との出会い 中編2
ーーーーーーー
「ふむ……やはり聞きにまいられたか。
待っており申した。
お客人、早速話すといたそう。
見事な包囲策。
真田幸隆を封じ込めた策。
村上義清殿の戦いぶりを」
ーーーーーーーー
~信濃国???~
方円は、出浦昌相に告げた。
「で、早速だけれど。
動いて欲しいの。別れてね」
「えっ……」
突然のことに、出浦昌相は驚く。
方円は、続けて説明した。
「小笠原の民衆をまとめて欲しいの。
私の策にはどうしても、必要でね……。
……武田にはバレないようにお願いするわ。
相手も忍び(三ツ者)の可能性がある。
気をつけて動きなさい」
出浦昌相は、方円の言葉を受け止める。
「……分かり申した……。 それで……
あの男を倒せるなら…!!」
方円は、笑みを浮かべた。
「もちろん♪ 倒せるわ。 それは私が
約束してあげる。 この槍にかけてね……」
出浦昌相は、以前から気になっていた槍へ視線を向ける。
「……前からずっと気になっておられましたが、その槍は一体………」
「正蛇の槍よ。 名乗ってなかったわね。
私は正蛇方円よ……よろしくね。 ふふふ」
「正蛇の槍………、 正しい蛇…………。」
方円は、少し意味ありげに笑う。
「深く考えない方が、いいわよ。いつかは
分かるだろうし…そのうち 私の事も
話すわ…… まあ、私の忠実な家臣に
なってくれるなら だけど……」
「……………」
方円は、さらに念を押した。
「あと、私の名前は使わないでね。
私が動いてるとバレると面倒なのよ……。
小笠原様や村上様の名前を使うといいわ。
……あと、許可は必ず貰って欲しいわ。
さあ……正しく元に戻すための戦を始めるわよ!!!」
「はっ」
某は、その気迫に飲まれ、いつの間にか平伏していたのです……。
ーーーーーー
村上義清様は、戻ってきた出浦昌相へ尋ねた。
「で、戻ってきたと……」
「はい……」
小笠原長時様も、気がかりそうに口を開く。
「ふむ……だが、集まってくれるだろうか」
「長時様、きっと集まってくださいます。
某もあの男を全力で潰しますから」
そう村上義清どのは、力強く話す、
「……それに、あの女、決して嘘は言って
おりません」
出浦昌相は、あの時感じたものを思い出す。
「あの殺気で感じたのです」
「殺気とな」
小笠原長時様が聞き返す。
「はい。 あれは、ただことではございません。 某もその気に飲まれ、いつの間にか駒として組み込まれておりました……」
村上義清様は、迷うことなく答えられた。
「わしの名前は使って良い。 あの男を確実に潰せるなら、名など安いものだ!!!」
小笠原長時様も頷かれる。
「分かった。 某の名前も使って良い。
……その代わり……」
出浦昌相は、その意図を察する。
「分かっております。 決してバレぬよう……全力を尽くします。 あの男を倒すために!!!!」
ーーーーー
~信濃・小笠原領の村~
そうして某は、小笠原領へ立ち入っていた。
「ここか……小笠原様の領地にある村は……」
すると、どこからか声が聞こえてきた。
「そこのお前さん。 この村に用があるのかい」
「む……ここの村人か???」
「ああ、そうだべ……。 で、何の用だい……
みてのとうり、ここの村には何もないってのに」
出浦昌相は、逆に問い返す。
「貴殿こそ、こちらで何を。 ひとりでいるとは………」
村人は、村の跡を見渡しながら答えた。
「少しでも、なにか残っておらぬか見ておるだ……」
「…………………」
出浦昌相は、少し考えた。
「ふむ………左様か……。 ほかの村人がいる場所は知らぬか。 逃げた方向でも良い」
「いや、知らぬだ……」
「ふぬ……そうか」
(はて?何やら違和感が…??)
違和感を覚えたその瞬間、
頭痛を伴いながら頭の中で声が聞こえた!!!
(ぐっ…、急に頭が…!!)
この声といい、やはりこの男にはなにか違和感が……。 ひとまず、知らぬ存ぜぬを通して出ていくか)
出浦昌相は、頭痛に耐えながら、何気なく話を続けた。
「すまぬ……。 某も行くあてがなくてな。
小笠原のほうなら、まだ無事なところがあるかと思ったのだが………。
同じ状況であった……、はあ……困ったな……」
「…………」
村人は、しばらく黙った後に答えた。
「そうだったか……それは災難だったべな。
まあ、なんとかなるべよ……。
ただ…、夜道には気を付けなされ。
この辺り、山賊が出るからの」
「ご忠告ありがとう。 どこか休めそうなところを探して、隠れることにするよ。
では、失礼………」
出浦昌相は、その場を離れていく。
スタスタ
残された村人は、口元を歪めた。
「………フフフ………」
ーーーーーーー
~宵闇の小屋~
出浦昌相は、ようやく休めそうな小屋を見つけた。
「……ふう。 屋根あり、壁あり……耳は無し笑。 ここを使っている人には申し訳ないが、ありがたく、使わせて頂こう」
おもむろに懐から兵糧丸を取り出し、食べる。
「ムシャムシャ」
「うーん、美味しくなーい。 即席で作ったやつは、やっぱり美味しくなーい」
出浦昌相は、ため息をつく。
「はあ……。 そして夜のすきま風が寒い……」
先程の村人は、ひとり笑っていた。
「ふふふ……。 あの村に来るとは……。
おそらく、小笠原の手の者。 仲間はおらぬが、あのひょろはここで倒さねばならぬ。
運が悪かったと諦めよ。 ふふふふ」
ーーーーーー
夜も更け、出浦昌相は筒を確認した。
「しまった……筒に水がもうない。
途中で喉が乾いたら……。
だが……この闇では危ないな。
明るくなるまで待つとするか……」
その瞬間。
闇の中から声が響いた。
「………!!! むっ」
(やはり、忍びだったか……)
忍びが姿を現す。
「ククク……馬鹿なヤツめ。 小笠原の手の者だと、ばればれであるぞ。 すぐ始末してやる!!!」
苦無と苦無がぶつかり合う。
「ぐっ……!!!」
出浦昌相は、必死に応戦する。
「ひょろにしては、そこそこやるな。
だが……やはり力が足りぬ!!!」
忍びの一撃に、出浦昌相は後ろへ飛ばされる。
「ふふふ。 諦めたらどうだ。 その方が楽だぞ???」
「……丁重に断る!!!」
「ならば…」
出浦昌相は、なんとか攻撃を防ぎかわしていく。
「おのれ……ちょこまかと!!!」
「…だが…逃げているだけでは勝てぬ…お前を捉えたぞ!!!」
「ぐっ……!」
その瞬間。
「なにっ!!!」
忍びが驚く。
「くっ……、どこへ行っ……」
その直後。
「なっ……、いつの間に……、背後……」
「………覚悟!!!」
「グフッ………」
忍びが倒れる。
「…………ふう……危なかった……。
……今まで全然成功しなかったから、正直
今回もダメ元であの技は使ったが……。
上手くいくとは……。 火事場の馬鹿力と言うやつかな……。 ふう……っ………」
そうして某は、その場をなんとか切り抜けたのです。
あの技が上手くいっていなければ、今この場にはおらぬやもしれませんな。
ーーーーー
???
人は誠に愚かなり…。
” 火事場の馬鹿力” ???違うな!!
”供物 ” のおかげだとわかっておらぬようだ。
まあよい、あの計画のため、お前には今死んでもらっては、困るのだ。
はははははは!!
ーーーーー
翌朝、またあの村へと某はやってきていた……。
「ふむ……やはり誰も………。」
すると、声が聞こえた。
「誰かいるだか??」
「むっ……ここの村人か???」
「そうだべ!!」
「そうか、 では、ほかの村人は……。」
「みんな逃げたべ。 ちりじりにだけどな。
生きていたら、今日ここで会うことになってただ!!!」
「!なにっ、それは本当か。 ありがたい……。 実は、皆さんに相談があって」
「そうか……なら、一緒に待つだよ!!!」
ーーーーーー
しばらくすると、村人たちが集まり始めた。
「おお、無事だったべか!!!」
「約束の通り来たべ……。 む……そこの人は……?? 誰だべ???」
先程の村人が説明する。
「オラ達に用があると言ってたべ……」
続々と村人たちが集まってくる。
「だいたい集まったべ。 そろそろ話してもいい」
出浦昌相は、集まった村人たちを見渡した。
「うむ……実は。 小笠原様が、
武田を倒すため再び立ち上がろうとなさっておられる 村上様も同様だ……」
村人たちは、ざわめいた。
「…………」
出浦昌相は、さらに続ける。
「某も村上領の方ではあるが……村から逃げてきた身だ……。 某は、全て奪われたのだ。
あの武田の男に……。」
「この通り、血印付きの書もある。 ……この信濃に手を出し全て奪い取って行ったこと、一緒に後悔させてやらないか???」
村人たちは、出浦昌相の顔を見る。
「……おらたちと、同じだったとはな……。
お前さんの村は……」
「ここより酷い………。 文字通り、全て奪われたからな」
出浦昌相は、懐から金入れを取り出し、逆さまにする。
しかし、何も出てこない。
「……な???」
「…………!」
その光景を見て、村人たちも息を呑んだ。
一人の村人が、決意したように口を開く。
「おらは……戦うべ。畑もない 今のままじゃ飢えちまうからな。 戦に出たら、おまんまや金、貰えるべ」
「おらも行くだ」
それに続くように、ほかの村人たちも次々と答えていく。
「おらも!」
「おらもおらも!!!」
ザワザワ、ザワザワ。
やがて、村長が口を開いた。
「おらは、ここに残る。 村長だからな。
村、まとめるやつが1人は残った方がいいべ。」
ほかの村人たちも、それに頷く。
「それは異議なしだべ!!!」
出浦昌相は、深く頭を下げた。
「ありがたい……! 必ず報酬は貰えるよう、交渉させていただくゆえ、安心されたし。」
「おおおおっ!!!」
村人たちの声が響く。
「では、小笠原様と村上様にお伝えせねばならぬゆえ、これにて失礼いたす。
また会おう」
出浦昌相は、その場を後にした。
スタスタ
ーーーーーーー
~???~
そうして休まず某は走り、なんとか同じ日に小笠原様や村上様のところにたどり着いていた。
「無事に帰ったか……!」
小笠原長時様が、出浦昌相を迎える。
村上義清様も、すぐに尋ねられた。
「で、どうだった。 村人達には……」
「ご安心下され、小笠原様。 村人達は逃げ延びておりました。 村上領よりは……被害は軽微ですし。 運良く、集まる日に当たったようです」
「そ……そうか……!よかった………」
小笠原長時様は、安堵の息を漏らした。
村上義清様も、ほっとした様子で呟かれる。
「信濃守護の領地だけでも、被害が少し少なくて良かった……ですな。 」
出浦昌相は、懐からあるものを取り出した。
「こちら、血判状でございます。
協力してくださる旨、取り付けて参りました。 それで、お願いなのですが……」
「報酬だな……???」
村上義清様は、すぐに察した。
「はい……」
小笠原長時様も頷く。
「もちろん出す。 畑すらないだろうからな。
このままでは飢えてしまう。 全て取り返した暁には、必ずだそう。 信濃守護の名にかけて」
「はっ……」
ーーーーーー
数日後ーーー
駿河国 今川屋敷
「とのことで…」
方円は、届いた報告を女中から聞いて
静かに笑った。
「そう……、 向こうは上手くやってくれたようね。 これで、動かせるわ」
方円は、一枚の書簡を取り出す。
「早速、村人達を動かすよう、この書簡を
渡してくれるかしら。 まずは、小笠原様
から元に戻すとしましょう。」
そう言いながら、正蛇の槍を撫でる。
「はっ……直ちに………。」
女中が頭を下げる。
方円は、申し訳なさそうに女中へ声をかけた。
「ごめんね……、 前も言ったけど、あなたも巻き込んでしまって。」
女中は、すぐに首を横に振る。
「そのようなことは仰らないでください、
……小さい頃から……信虎様に姫様の教育を
任されていた身です。」
「それに、私は…以前お話しましたが…信玄様のあの計画を防ぐことができませんでした」
「従うのは、姫様の教育役 としてあの罪を償うため… 当然でございますーー」
ーーーーーー
それから数日後
小笠原長時様のもとへ、女中から書簡が届けられた。
「方円殿から書簡が届き申した。 女中と名乗る方から受け取ったものであるが……。」
「えっ……」
出浦昌相は、驚いた。
村上義清様は書簡を確認する。
「血印がついておるし、 おなご独特の
ひらがな多めの字……。 とにかく、これは
方円殿で間違いあるまい……。
少し字が荒れておるからな。 怒りを抑えながら書いていたのであろう……」
「…………」
小笠原長時様は、書簡へ目を通す。
「早速動かせば、必ず取り返せると書いてあるわ」
「一斉蜂起か………悪くない。 民が動いてくれるなら……。 覚悟を決めねばな」
ーーーーーー
~小笠原領の村近くの場所~
某は、方円様と再会をしていた。
「自ら来られるとは……」
方円様は、周囲を見渡しながら答える。
「ええ、ここは私が指示をしないと、上手くいかないかもですから……。 どうですか、
小笠原様……。
民はご覧の通り、動いてくださいました。
つぎは、小笠原様の番でございますよ」
「……ふむ」
小笠原長時は腕を組み、周囲を見渡す。
「これは驚いた」
そのまま低く笑う。
「このわしが――」
「ここまで領民に認められていたとはな」
集う兵。
ざわめく声。
そのすべてが、一つの流れを作っている。
「幾度も敗れたこの身のために」
「ここまで集まってくれるとは」
ゆっくりと、顔を上げる。
「包円殿」
小さく頷く。
「……希望を、与えてくださった」
「この恩――必ずやお返しいたしますぞ!」
「希望、ですか」
心の内で、そっと繰り返す。
ふふふ。
「ええ」
静かに微笑む。
「その通りにございますとも」
一歩、踏み出す。
「さあ――正しく戻しましょう」
「長時殿」
(⌒ - ⌒)
「――皆の者!」
声が、響く。
「反撃じゃ!!」
ーーーーーーー
そうして、我々は一気に蜂起し、全てを取り返す戦正義の戦を初めて行くのだ……。
むっ……また長くなった……。
語りきれなんだ……。
続きは、まだ次回にいたす。
待っておりますぞ、お客人。
出浦との出会い 中編2 ~終~
コメント
1件
こんにちは、はる。だわ。今回のエピソード、めっちゃ熱かった!出浦昌相が小笠原領で村人をまとめるために動くんだけど、夜襲のシーンが特に印象に残った。火事場の馬鹿力って言ってたけど、実は「供物」のおかげだったっていう不気味な伏線が効いてるわ。方円の「正蛇の槍」も気になるし、正しい蛇って言葉の意味がまだ分からなくてモヤモヤするけど、それが続きを読みたくなるポイントだね。小笠原長時が「反撃じゃ!」って叫ぶラストは鳥肌立ったわ。更新楽しみにしてる🔥