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冬の朝、校庭は霜で白く輝いていた。クリスマスや年末のイベントで学校はにぎやかだが、彩乃の心は少し重い。秋に生まれたすれ違いの気持ちが、まだ完全に消えたわけではない。
放課後、写真部の部室で彩乃は一人、展示用の写真を整理していた。ドアが開き、陽翔が入ってくる。
「彩乃、ちょっと話せる?」
彩乃は深呼吸して頷く。
校庭に出ると、冬の冷たい風が二人を包む。陽翔は少し照れくさそうに、でも真剣な眼差しで彩乃を見つめた。
「彩乃…俺、ずっと言いたかったことがあるんだ」
彩乃の心臓は早鐘のように打つ。
「私も…言わなきゃいけないことがある」
陽翔は小さく息をつき、口を開く。
「彩乃のこと、ずっと好きだった。初めて会った春から、ずっと」
彩乃はその言葉に胸がいっぱいになる。目の前の人が、自分のことをこんなにも想ってくれていたなんて、信じられない気持ちだった。
「私も…陽翔のこと、ずっと…」
声が震えながらも、彩乃は自分の気持ちを言葉にした。
「好き…です」
冬の空に、二人の気持ちは静かに、でも確かに交わった。
その後の放課後、校庭に積もる雪の上で二人は手をつなぎ、笑い合う。小さな勇気と、すれ違いの痛みを乗り越えた先にある、温かい時間。
「これからも、一緒にいられるかな?」
「うん、ずっと」
彩乃は頷き、陽翔の手を握り返す。冷たい風の中でも、二人の心は冬の光に包まれていた。