テラーノベル
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キリルは恐怖を感じながらも矢を放った。
空間が歪むほどの魔力をまとった一矢が、
ルナの肩口をかする。
直撃ではない、突き刺さってはいない。
だが――
触れた“表層”が焼けた
焦げた布のように、
皮膚に似た外装が一瞬で炭化し、砕け散る。
その下から現れたのは、
人間の骨でも筋肉でもない。
反射で光る金属のフレームだった。
複雑に走る配線
衝撃を吸収するための装甲層
ルナは自分の腕を悲しそうに見つめた。
「……やっぱり、この皮膚はすぐ壊れるね」
次の瞬間――
ルナが踏み込んだ。
一気に、距離が縮まる。
(近い――!)
キリルは弓使い、つまり近接戦向きでは無い
剣の間合いに入った瞬間、終わる。
反射で矢をひく暇すらなかった。
だから――
いや、本能的に
キリルは、矢を“投げた”。
弓ではない、自分の手で
魔力の残った矢を、全力で叩きつけるように放った。
もうどうにでもなれと思っていた。
ルナの足元に突き刺さった瞬間、
――爆ぜた。
衝撃波と砂埃がが二人の間に壁を作る。
キリルの身体は後方へ吹き飛ばされる。
距離が、強制的に引き剥がされる。
そしてルナは、剣を構え直した。
砂煙が晴れる。
ルナは腕だけでなく、顔にも少し機械が露になっていた。
キリルは息を整え、最後の矢をつがえる。
魔力が弓に集まり、空気が低く震える。
覚悟を決めて矢を放つ。
放たれた矢は、今までで最速たった。
ルナの胸部、ちょうど動力核のある位置へ突っ込んだ。
動力核が壊れれば、サイボーグとしての機能が落ち、ただの人間と化すだろう。
いや、感情のある、動かぬロボットに……
だがルナは、真正面から突っ込んだ。
剣を盾のように構え、
爆風と衝撃を切り裂くように前進し、 衝突ーー
剣が弾かれ、ルナの身体が大きく傾むいた。
金属のフレームに亀裂が走り、火花が散る。
それでも、ルナの脚は止まらなかった。
キリルが焦って次の矢をつがえようとした瞬間、
足元が、沈んだ。
先ほど自分で起こした爆破で、
地面の強度が限界に達していたのだ。
一瞬、バランスが崩れた。
その一瞬を――
ルナは見逃さなかった。
砕けかけた脚で、無理やり踏み込み、
剣を振るう。
キリルは矢を投げることも、
後退することも間に合わなかった。
剣の側面が弓を打ち、
キリルの手から弓が弾き飛ばされた。
そしてルナはひと思いに
ーーキリルの心臓を貫いた
やがて、剣を抜いた。
致命傷を負い、剣を抜かれたことにより出血も酷い。
もう、彼は助からない。
生き残ったのは、ルナだった。
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