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ヨルコと恋弁(れんか)が放課後、シャトルランをしに行って
糸と嶺杏(れあ)も付き合って体育館に行っている頃
名良(なら)、雲善(うんぜん)、琴道(ことみち)は教室の前にいた。
「あ、そうだ。あいつも呼んでい?来るかわかんないけど」
「あぁ、はいはい」
雲善(うんぜん)は教室前でとある人物にLIMEを送った。雲善のスマホの画面が光る。
「お。来るって」
しばらくすると隣の教室からその人物は現れた。
雲善と同じ顔をした人物。まるでドッペルゲンガーである。
「おつー」
「おつー」
雲善の双子の弟、風善(ふうぜん)である。2人は一卵性の双子のため、顔が瓜二つなのである。
「おぉ。琴じゃん」
「ふー。ひさしぶり」
「お。2人は知り合いかい?」
「うん。1年のときに同じクラスだった」
「バスケマンガのことでいろいろ盛り上がって」
「おぉ。さすが双子。琴道との出会い方も同じ」
「え、兄ちゃんもマンガの話で?」
「そうそう。ま、ここ知り合いなら話は早いか」
「いや、そうなるとオレが気まずいって」
という名良(なら)。
「たしかに。それもそうか。こちら。…名良(なら)です!同じクラスの席近い男」
「どんな紹介だよ。あと苗字忘れたろ。あ、紺堂 名良(なら)です。よろしくお願いします」
「あ、そうそう。紺堂ね」
「やっぱ忘れてた」
「ま、こっちは有名だよね?オレの弟の風善(ふうぜん)。
ま、ふーって呼んでるから名良(なら)もふーって呼びな?」
「木扉島(ことじま) 風善(ふうぜん)です。兄がお世話になっております」
「あ、どもども」
名良(なら)も風善(ふうぜん)もお互いに軽く頭を下げる。
「なんか雲善(うんぜん)と同じ顔の人に頭下げられるってめっちゃ変な感じ」
「わかる。オレの場合逆だけどね。1年のときふーと仲良くなったから
2年でふーと同じ顔だけど、テンション高めの人がいる。って」
「双子で顔同じなのに、テンションは違うんだね」
「ね」
笑顔で元気な雲善(うんぜん)と少しクール系の風善(ふうぜん)が並んでいる。
「で?この後ワックにでも行くって?」
「そうそう。だからふーも呼ぶかって。大丈夫?今日バスケ部の練習ない?」
「ま、ないけど。兄ちゃんこそサッカー部の練習ないの?」
「なっしーん。んじゃ行くか」
4人は学校を出て、ワク・デイジーに行き、それぞれ注文して席に着いた。
「そういえばさ、聞きたかったんだけど」
「オレ?」
「自分っすか?」
名良(なら)が雲善(うんぜん)と風善(ふうぜん)を交互に見る。
「なんで同じ部活じゃなかったん?」
「あぁ、それはオレも聞きたかった」
琴道(ことみち)もフライドポテトを食べながら興味津々で雲善(うんぜん)と風善(ふうぜん)を見る。
「あぁ。ふー言う?オレ言う?」
「別にどっちでも?…じゃ、オレ言おっか?ま、別に、そんな大した理由はないっす。
昔から双子でどうのこうのだったから、それぞれソロでも活躍できるんだぞって。ね」
「そうそう」
「マンガとかアニメだと双子を強みに利用するけど違うんだね?」
「ま、正直そんな利用できないしね」
「小学生の頃はよく利用したね」
「でもなぜにバスケとサッカー?」
「ん?単純にじゃんけんで」
「「じゃんけん!?」」
名良(なら)も琴道(ことみち)も驚く。
「うん。じゃんけん。な?」
「うん。別にどっちが得意とか好きとかなかったから、じゃんけんで勝ったほうがサッカーで負けがバスケ」
「へぇ〜」
「でもすごいよね。2人とも活躍しててさ」
「いや、自分はそんなことないっすよ」
「はいふー。さっきから思ってたけど敬語禁止ね」
「え?」
「名良(なら)も。ふーに敬語禁止ね」
「え?」
「2人とも今日から友達なんだから。敬語はノンノンノン」
雲善(うんぜん)はフライドポテトでバツを作る。
「「食べ物で遊ぶなよ」」
名良(なら)と風善(ふうぜん)がハモった。
「おぉ」
「息ピッタリ」
名良(なら)と風善(ふうぜん)は顔を見合わせ、照れくさそうに軽く頭を下げる。
「家でもあんな感じ?」
「そうそう。はいダメーとか言いながらお箸でバッテン作ってよく母さんに怒られてる」
「あぁ〜。ぽいわ」
仲良くなれそうな2人に
雲善(うんぜん)と琴道(ことみち)は顔を見合わせて安心した表情を浮かべた。
「あ、そうだ。4人いることだしさ、モンアウ(モンスターアウトの略称)やろうよ」
「いいよー」
「今の時間なにが出てる?クリアしてないクエストとかある?」
「いや、あるんじゃない?割と最近やってないし」
「いやぁ〜こーゆーときのためにサティスフィー持ってくるべきだよな」
「オレ持ってるけど?」
風善(ふうぜん)が言う。
「マジ!?」
「マジ」
「なんで?」
「なんで?なんでって…。授業中恋弁(れんか)とやるため?」
「え、ふー彼女いんの?」
「違う違う」
「違くもないだろこのぉ〜」
「うるさ」
「誰?」
「幼馴染。小学生の頃からの」
「長いね」
「そ。今クラスに友達は恋弁(れんか)しかいないから」
「激悲しいこと言うじゃん」
「お兄ちゃんのとこおいで?お昼一緒に食べよ?」
「うん。名良(なら)と琴と一緒に食べるために行くわ」
「ワシわい!」
全員で笑った。
「で?恋弁(れんか)と授業中なにしてんの?」
「スパファミ(大騒乱スパイクファミリーズの略称)」
「おぉ!今も入ってんの?」
「そりゃーね」
「やろうよ!…あ、4人ではできないんか」
「できないね」
「じゃあ、トーナメント制だな。2、2でやって
勝者と勝者、敗者と敗者でやって、最下位が1位になんか奢る」
「いいよ?」
「やってやら」
結果、雲善(うんぜん)が風善(ふうぜん)、兄が弟に奢るというものになった。
「んじゃフルーリーで。あ、クッキーのやつね」
「へいへーい」
雲善が席を立った。しばらく3人でなんでもない話をしていると
「あ、そうだ。C組に転校生来たじゃん?ピンク髪の」
「来た来た。イサさんね」
「イサさん。漢字?」
「いや?カタカナ」
「あ、やっぱ海外の方?」
「らしいよ」
「うん」
「へぇ〜」
「なんで?」
「いや。今日、図書室から出たら話しかけられたから、たぶん兄ちゃんと勘違いしてるよなって」
「あぁ。なるほどね」
「今もある?雲善(うんぜん)と勘違いされること」
「あるよ。全然ある。後輩とかにも言われるし「雲善先輩」って。
あと先輩にも言われるね「雲善、明日の練習さー」とか」
「そーゆーときどーすんの?」
「どーするもなにも、弟ですって言うよ。逆に琴は判別できる?」
「できるー…と思うよ?テンション違うし」
「あぁ、テンションね。もしテンション合わせたら?」
「わかると思う。オレは」
「ほお?名良(なら)は?今年初めて兄ちゃんと同じクラスだし、オレとも今日が初対面だけど」
「んん〜…パッっと見はわからんと思うけど、軽く見ればわかると思うよ」
「おぉ。マジで?」
「うん。雲善(うんぜん)は唇のところにホクロあって
風善(ふうぜん)はアゴにホクロあんじゃん?それでわかる…と思う」
「あぁ〜マ○カ○理論ね」
「その理論は知らんけど」
「なーんのはーなしっ」
と言いながらフルーリー片手に雲善が帰ってきた。
白いプラスチックのスプーンでフルーリーを1口パクンと食べる。
「おい。なに食べとん」
「いいじゃん1口くらい。ほい」
「…あんがと」
雲善(うんぜん)がイスに座る。
「で?なんの話?」
「雲善か風善か判別できるかどうかの話」
「あぁ、双子にはついて回る話ね」
「そうそう」
「で?琴道(ことみち)と名良(なら)はどうだって?」
「2人とも見分けられるって。たぶんね」
「おぉ〜2人ともぉ〜ア・イ・シ・テ・ルゥ〜」
琴道に抱きつく雲善(うんぜん)。
「このテンションの違いでわからないことないでしょ」
「ないね」
その後もフライドポテトを食べたり、フルーリーを食べたり
フルーリーにフライドポテトをつけて食べてみたり、周囲の人の迷惑にならない程度にはしゃいで楽しんだ。
ワク・デイジーから出ると外はもう夕暮れ。
「おぉ〜。この暗さね。サッカーだとボール見えづらいのよねぇ〜」
「あったあった。よかったバスケで」
「2人ともすごいよね。それぞれエースでしょ?」
「まあねぇ〜?」
「そんなことないけど」
「わお。同じ顔で正反対のリアクション」
雲善(うんぜん)と風善(ふうぜん)はお互い顔を見て笑った。
「すげぇー。同じ笑顔」
「当たり前だけどね。でもすごい。鏡みたい」
夕陽のオレンジ色に染まった4人。めちゃくちゃ青春である。
「じゃ。帰ろっか」
「おうよー」
「また明日ーってやつだね」
「いいね。マンガ、アニメっぽい。キャラデザは…あれだけど」
「夕陽…ヤバい綺麗やん」
「え。待って?最終回?」
「なんのだよ」
「え?オレら主演の青春ドラマ?」
「マンガかアニメキボンヌ」
「キボンヌ」
雲善(うんぜん)が笑う。
「いいねキボンヌ。オレも使お」
「んじゃ、また明日ね」
「うい!また明日!」
「また明日ね」
「また明日ー」
4人はそれぞれ家へと帰った。