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Good morning♪
-数年後-
「ノア、朝だよ。」
「ん、まだ眠い……」
クロエが私を起こす。
私は、おとなしくクロエの準備した朝ごはんを食べる。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい!」
クロエは今日も仕事。
この部屋には私しかいない。
いい匂いのする4LDKの部屋に篭もりながら、昔のことを思い出す。
あぁ、そうだ。
あれは天文学的な悪運だった。
両親を殺された。
私の心には絶望以外の感情はなかった。
見るも無惨な両親の死体は幼い私を追い詰めるのには十分だった。
死体には魔法を使った痕跡があった。
だから、犯人はすぐ見つかると思った。
警察は、魔法に特化した部もあると、知っていた。
結果だけ言えば、見つからなかった。
痕跡が残っていることに、警察も気づいていたのに。
痕跡が残っているのに、犯人が見つからないのは、
大体、大掛かりな大事件か、複数の魔法が組み合わさっている場合しかない。
この事件はそのどちらにも属さない。
ひとつの魔法しか使われていなくて、 こんな小さな殺人事件なのに。
警察は私が犯人だと言った。
そんな事、ある筈なかった。
素人の探偵でも、分かることだ。
私は…魔法が使えなかった。
当たり前だが、残った魔法と、私の魔法は検査できない。
比べる魔法がなければ、検査など、しようともできない。
なのに、みんなそういった。
「親を殺すなんて、恐ろしい子」
「こんな化け物がいるなんて。」
私は逃げた。
冤罪なんかで捕まりたくなんかない。
逃げているところで、クロエを見つけた。
私が事情を話すと、泣いて共感してくれて、このお部屋を貸してくれた。
だから、私はクロエが大好き。
仕事で忙しくて、なかなか話せなくても、傍にいてくれるだけで、嬉しかった。
気がつくと、涙が出ていた。
愛してる両親を殺した犯人は絶対に許さない。
そして、もし、クロエが殺されたなら、私は犯人を殺してしまうだろう。
それくらい、私はクロエのことが好きになった。
魔法のことも、ほとんどクロエから聞いた。
両親は、魔法の使えない私を気遣って、あまり魔法のことを話したがらなかった。
魔法は、みんなが1つ持っていて、その効果も本人にしか分からない。
強い魔法だと、代償が大きくなり、弱い魔法だと、代償も小さくなる。
例えば、感情がなくなったり、
頭が良くなったり、邪悪な気持ちが強くなる。
頭が良いのはいい事では?
という疑問には、
「いい事ばかりがいい事じゃないんだよ」 と言っていた。
そして、おとぎ話もしてくれた。
多くの魔女を配下における、大魔女のお話。
大魔女は 魔法が 使えない代わりに、魔女を寄せる不思議な能力があると。
明らかに、私を慰める おとぎ話だったけど、私には十分響いた。
殺風景な部屋でただクロエを待つのも、暇なものだな