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boredom
「行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
ノアに見送られて、外へ出る。
私は、昔拾った少女、ノアと同居している。
何故拾ったのか……
私と境遇が似ていたから?……
正直、私でも、理由は分からない。
“この子を守らなければ”という使命感と、贖罪の意識だけが、体を無意識に動かしていた。
(どうしようかな)
仕事なんて、ないのに…
ただの小さな嘘だった。
それを補強しているうちに、取り返しのつかない嘘になった。
ノアには、私を普通の人として、見て欲しかった。
真っ当な仕事なんてしてない。
ただ、あの人達が困った時に、被検体として行くだけ。
私の身体は頑丈らしい。
たまに来る仕事と、ノアとの生活で、私は成り立っているのだろう。
「はぁ……」
(退屈だ……)
冬の外は、息をするだけで、白い煙を造り出す。
人混みの中で、何をしようか、考える。
(ノアにプレゼントでも、渡そうかな)
ぼやーっと脳を停止させて考える。
「クロエ?」
思考に邪魔が入る。
私に話しかける人など、いない。
誰なのか気になって、声の主の方を見る。
「なんだレオンか……」
少し拍子抜けした声で、そう言う。
レオンは昔、とても昔の友人だ。
「久しぶり。こんな所にいたんだね。」
「そうだね、久しぶり。何年ぶりだろう。昔のように、公園にでも行く?」
「…公園にはいい思い出がない。
君も被害者だろ?」
「私は気にしてないよ」
「……」
レオンが黙り込む。
レオンはあの事、まだ気にしてるのか
「お買い物でも行こうよ。
買いたいものがあるんだ。」
「僕も行きたかった!
クロエの話も聞きたいし。」
積もる話もあるだろう。
レオンも私に言いたい事がある筈。
私たちは、大型ショッピングモールへ向かった。
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