クバル村。
今やそこに住む者はなく、建物は寂れたままだ。
しかし、その代わりに、家の中には恐ろしい魔物が棲みついていた。
私達がその村へ訪れると建物の影から、じっと見ている。
「ここも変わっちまったな……」
「あぁ……」
「建物だけだな、変わってないのは」
「しっかし、キーさんよぉ、ここの村に来なくなってどれくらいになる?」
さっそく私達を襲ってこようとして出てきた魔物をクロエは【炎魔法】で魔物を焼きながら話しかけてくる。
「逆に聞くが、クロは故郷を離れてどれくらいになる?」
「はっ、そりゃそうか、覚えてないわなそんな事
「俺は結構帰ってる……」
「意外だな」
歩きながら次々と私達は魔物を狩って行っている。
この程度なら剣を抜く必要もなく、市販で売ってる魔皮紙の魔法だけで充分対応可能だ。
「そういや、お前たちはなんで恋人作らないんだ?」
「いや、俺は彼氏いたし、みくびんな殺すぞ」
「作れたら苦労してない……」
なんと、クロエに彼氏居たのか!?
見た目はいいけど口と性格が悪いから別れたのだろう……これ以上の追及はやめておこう。
「今なんか失礼なこと考えただろキーさん」
「そんなことない」
女の勘はするどい。
「で、せっかく来たんだ、どこかキーさん行くとこでもある?」
「……正直に言うと今自分の家に行けるほど回復はしてないんだ、そうだな……教会とか行ってみたい」
「教会か、わかった」
「場所は分かるか?」
「この村に一番目立つのってそこだけしかないから覚えてんよ、てかなんでこんな村に教会あるんだ?」
「確かに謎だな?こんな小さな村になぜあんな立派なものがあるのだろうか?」
__そのまま魔物を倒しながら進んでいき教会の前まで到着した。
「懐かしいな、いつも朝早くからそこで神父が焚き火をしていた」
「ま、そのじいちゃんもどっかいってるみたいだし、中を探索してみっか」
そのまま教会の大きなドアにクロエが手を触れると__
「あれ?」
「ん?どうした?」
「いや、このドア……魔物が力ずくで開けたんじゃなくて誰かが魔法で普通にあけてやがる」
「なるほど」
大体のドアは鍵がかかっていてドアごと魔物は壊すか窓を破り侵入するが、クロエが言うにはドアを人間が開けているみたいだ……そう考えるとクバル村の失踪事件を聞き、盗み目的の人間の可能性が高い。
「中に気配は?」
「……する、こりゃ、まだ居るな」
「なら話は早い、代表騎士として罰せなければな」
「ハンッ!キーさんそれ自分で言うのかよ笑える」
「準備オッケー……」
オリバも準備万端みたいだ。
「じゃぁ行くぜ?3…2…1!」
号令とともに中に入ると____
「うお!ビックリした!」
そこには教会のフロアの真ん中で此方に魔方陣を構えていた白いローブを着た気だるそうな男。
「あぁ……神よ。よりにもよってこいつらか……」
私達の最後のパーティーメンバー。
【ルコサ】の姿があった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!