14話 また来年ノ約束
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ズルズルズル….
朱楽「 全く 、外で 、倒れる ….なんて ッ 」
朱楽「 世話が 、焼ける 、ヤツだ 、….!」
朱楽「 伊吹、起きろ 」
朱楽「 玄関とやらまで運んだ 」
朱楽「 人間は通り抜けないから部屋に入れんぞ 」
私「 …. 」
朱楽「 ….これでは本当に依代のようだ 」
美凰「 全くだ 」
朱楽「 ….!」
朱楽「 み、美凰様….!」
美凰「 すまないな 朱楽、起きるのが遅くなった 」
朱楽「 い、いえ 」
朱楽「 お守りできず申し訳ありません 」
美凰「 ….さて、どうしたものか 」
朱楽「 美凰様、この呪いは…. 」
美凰「 これは人間が生み出した呪いだな 」
美凰「 私では解呪できぬ 」
朱楽「 …. 」
美凰「 “ 神なのに ” とでも言いたそうな顔をしているな 」
朱楽「 ….申し訳ありません 」
美凰「 よいか?朱楽 」
美凰「 人と妖は全くの別物だ 、同じように見える伊吹のような人間でも 」
美凰「 不安定な世界が結ばれているだけなのだ 」
美凰「 人には人、妖には妖 」
美凰「 人の時間を妖と同じように揃えることができぬように、」
美凰「 呪いもまた、触れることができない 」
朱楽「 ….では伊吹は 」
美凰「 解呪ができぬとも、進行を遅らせることは可能だろう 」
美凰「 朱楽、解呪のできる祓い屋を探せ 」
朱楽「 ….かしこまりました 」
美凰「 伊吹を頼むぞ、私は少し眠る 」
美凰は目を閉じると伊吹の身体へ消えていった
伊吹「 ….ん、」
朱楽「 伊吹、大丈夫か?」
伊吹「 呪いは….?」
朱楽「 美凰様が進行を遅らせてくれた、少しは楽になったはずだ 」
伊吹「 うん、動けそう 」
伊吹「 ここまで運んでくれてありがとう / ナデナデ」
朱楽「 お前は私の主、当然なことをしただけだ 」
伊吹「 ふふ、そうね / ナデナデ」
朱楽「 …. / スリッ 」
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朱楽「 本当に行くのか?」
私「 うん、行ける時に行かないと欠席数が勿体ないからね 」
朱楽「 ….その呪いは人にしか解呪できないそうだ 」
朱楽「 私は、その呪いを解呪できる祓い屋を探す 」
私「 分かった、暫くは別行動ね 」
朱楽「 あぁ 」
私「 頼んだよ、朱楽 」
朱楽「 伊吹も気をつけて 」
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私「 おはよう、田沼くん 」
田沼「 あぁ、おはよう 羽澄 」
田沼「 今日の数学の小テスト、勉強してきたか?」
私「 ….小テスト今日だっけ、?」
田沼「 その顔は何もしてないな / ニヤ 」
私「 あはは …. 」
私( 昨日は儀式の為に沖縄いたよ ….なんて言えるわけがない )
田沼「 羽澄、今日の放課後暇か? 」
私「 え?今日?」
田沼「 ずっと誘おうと思ってたんだけどなかなか言いづらくて…. 」
田沼「 桜、もう満開なんだ 」
私「 あ、前言ってた田沼くんの家の?」
田沼「 あぁ 」
田沼「 俺の親父が住職やってて、今は八ツ原の寺に住んでいるんだ 」
私( 八ツ原….?)
田沼「 もし放課後暇だったら寄ってみないか?」
私「 うん、行ってみたい….!」
田沼「 じゃあ、放課後な 」
私「 うん 」
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放課後
担任「 日直、これ化学準備室まで持っていってくれ 」
担任「 ついでに日誌も職員室へ 」
私「 ….え 」
田沼「 あ、今日の日直は羽澄か 」
私「 ごめん、すぐ終わらせてくるね 」
田沼「 俺も手伝うよ 」
私「 大丈夫、校門で待ってて 」
田沼「 ….分かった、転ぶなよ? 」
私「 は ~ い 」
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私「 重い 、やっぱり手伝ってもらえば良かったかも…. 」
私は積み重なってるノートと日誌を両手で抱えて階段を降りる
正直、前が見えなくて怖い。
そして私は左腕に視線を落とし、ため息を吐く。
先程、荷物を持つ為にワイシャツを捲ったが
その腕には先日受けてしまった呪いが色彩を飾っていた。
なんとも不気味な__、黒と青で 。
私「 はは、無様な腕ね 」
私「 わ ッ 」
?「 ッ!….ってぇ 」
私「 ご、ごめんなさい!….前見てなくて 」
?「 いや、こちらこそ 」
私は急いで落ちたノートを集める
?「 ….はい / ノートを渡す 」
私「 あ、ありがとうございます 」
?「 これ、全部一人で?」
私「 はい、日直の仕事なので 」
?「 俺、運ぶの手伝いますよ 」
私「 いえ、友人を待たせているので….。 」
私「 手伝って下さりありがとうございます / ニコッ」
?「 そうですか …..あれ?」
私「 ? 」
?「 その腕、どうしたんですか?」
私「 ! ….さぁ 」
私「 それじゃあ、さようなら 」
?「 あ、おい….!」
?「 何だったんだ、あの人 」
?「 ….ん?」
俺は床に落ちていた “ナニカ ” を拾う
?「 ペンダント?」
?「 これ、さっきの人のモノか…. 」
?( 名前くらい聞いとけば良かったかな )
パカッ
?「 あっ 」
初めて見る形のペンダントだったからか、自然と触りすぎてしまったようだ
勢いよく開いたペンダントの蓋は貝殻のような形になり、俺は一瞬 息を呑んだ。
そこには
少女と2人の青年が親しげに並んでいる
古い写真があった。
?「 …. 」
?( きっと大切なモノ、だよな ….また会えるといいけど )
俺はそのペンダントをハンカチで包み、バッグの中へしまった
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私「 お待たせ、田沼くん 」
田沼「 お疲れ、転ばなかったか? 」
私「 あ、うん…. 勿論!」
田沼「 そっか、じゃあ行こう 」
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私「 わぁ….!綺麗 」
田沼「 クスッ / 良かった、喜んでくれて 」
私「 毎日見れる田沼くんが羨ましいよ 」
私「 東京は人が多くてさ、こうやって静かに見てみたかったんだ 」
田沼「 ….なら、また来年も見よう 」
私「 来年?」
田沼「 ? ….まだ1年なんだから来年も来れるだろ?」
私「 あ、あぁ ….そうだね 」
私「 うん、来年も一緒に見よう 」
田沼「 ….?」
田沼「 伊吹、何かあったのか?」
私「 え?」
田沼「 いや、何となくいつもと雰囲気が違う気がして…. 」
田沼「 悪い、変なこと聞いた 」
私「 ….ううん 」
私「 心配してくれてありがとう 」
私「 私、そろそろ帰るよ 」
田沼「 ….そっか 」
私「 ごめんね、また明日….! 」
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ガチャッ
私「 ただいま 」
私「 …. 」
私は靴を脱ぎ、床にそっと倒れる
私( 左腕が痛い…. )
私「 和田さんに聞くべきかな、これ 」
できれば、儀式が終えるまで私情を挟んで祓い人とは会いたくなかった
私が神ワタリ様とバレてしまう。
ただ 日が経つにつれ、遅めた進行が強まるのは目に見えていた。
私「 スッ / 胸元に触れる 」
私「 ….あれ?」
ペンダントがない__。
どこかで落としただろうか?
否、それ以外に有り得ない。
私「 探しに行かないと….!」
美凰「 やめておけ、身体が持たぬ 」
私「 美凰….?」
美凰「 明日も儀式がある、探し物なら術でどうにかなるだろう 」
私「 あのペンダントは私の宝物なの 」
私「 アレが無いと、私 ッ 」
美凰「 落ち着け、今動けば痛みは増すだけだ 」
私「 …. ッ 」
美凰「 ペンダントなら後で一緒に探してやる 」
美凰「 今は自分を大切にしてくれ 」
私「 ….分かった 」
美凰「 …. / ナデナデ」
私「 子供扱いしないで 」
美凰「 まだ子供のくせに何を言う 」
私「 ….今日、桜を見たんだ 」
美凰「 綺麗だったか?」
私「 すごく綺麗だった ….それで、また来年も一緒に見ようって言ってくれた 」
美凰「 …. 」
私「 嬉しかった、すごく嬉しかったんだぁ 私 」
私「 でも半分、怖かった 」
私「 私に来年があるのかなって 」
私「 もし妖に喰われて死んだら、きっと悲しむだろうな ….とか 」
美凰「 妖と関わるとはそういう事だ 」
美凰「 この役目が終わったらもう離れてもいいんだぞ 」
私「 ううん、私は羽澄を背負いたい 」
私「 妖に怯える人の心を祓いたいの 」
美凰「 ….そうか 」
私「 そういえば、朱楽は大丈夫かな….?」
美凰「 一度戻るように伝えた方がいいかもしれん 」
美凰「 明日の儀式、前回のような事態になるのは面倒だからな 」
私「 そうだね 」
美凰「 ….おやすみ、伊吹 」
私「 わざわざ出てきてくれてありがとう、美凰 」
私「 おやすみなさい 」
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朱楽「 戻ったぞ、伊吹 」
私「 おかえり、朱楽 」
朱楽「 ここらの妖は呪術師との関わりが深いせいか、悪い噂しか聞けなかった 」
朱楽「 妖の経路でその呪いを祓うのは難しいだろう 」
私「 そっか、助かったよ朱楽 」
朱楽「 呪いはどうだ….?痛むか?」
私「 さっきまで痛かったけど、美凰が来てくれたから大丈夫 」
私「 明日の儀式も頑張らないとね 」
朱楽「 嗚呼、もうあんな失態は犯さない 」
私「 うん、ありがとう 」
私( そういえば、あの男の子 )
私( 初めて見た顔だったけど、転入生かな?)
私( この痣が見えたって事は ….もしかして )
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的場一門 別邸
七瀬「 ボス、明日の資料置いておきますよ 」
的場「 ありがとう 」
七瀬「 それにしても “ 神ワタリ様 ” とは 」
七瀬「 百年に一度のあの儀式を我々が引き受けるとは…. / クスッ 」
的場「 もう廃れた一族からの依頼です 」
的場「 それに、神ワタリ様を拝む良い機会だ 」
七瀬「 どうなさるおつもりで?」
的場「 どうもこうも…. 神に背く行為はしません 」
的場「 全国規模の儀式なら尚更 / クス 」
七瀬「 …. 」
七瀬( どうかな? ….全く、うちのボスは困ったお方だよ )
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“ また来年 ” そんな一言の口約束
それはきっと彼女にとっての救いになる__
そして
︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎不思議な少年との出会い
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︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎︎ ︎︎︎ 彼女の未来は如何に?
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コメント
5件
初コメ&フォロー失礼します🙇🏻♀️‼️ 先日一気読みさせていただきました!その時は時間がなくてハートを押せなかったので、今一気に押してしまいました。通知うるさかったらごめんなさい😖💦 構成や内容がしっかりしていて、まるで本当の小説を読んでいるようでした💓キャラの口調や性格も原作に忠実で、夢主ちゃんの心の変化や成長も細かく書かれていて…。尊敬します🙏🏻💞
1ヶ月程、間をあけてしまい申し訳ありません´т ‧̫ т ̀ これからも続けて投稿していきますので宜しくお願いします。
誰がペンダントを拾ってくたんだろう??続きが気になる!!!!