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「次は牛久。牛久ー」
アナウンスの声で、私たちは唖然とする。時間が経っていないのだ。
「え、え、真理ちゃんどうなっているの。私まだ怖い」
安浦は首をフリフリ混乱する。
「あたし、怖いわ。すぐに降りたい。降りたい!」
安浦は半べそで立ち上がる。
「ねえ、出来れば、みんなで一緒にどこかでお話ししましょうよ。そのほうが気持ちが落ち着つくと思うわ」
涙目だがしっかりした口調で、呉林は私に手を差し出した。
私は軽く頷いてから、手を取り、
「3人で体験した。あれは、一体なんなんだ。一人だけなら信じられないけれど夢ってことに出来るけれど……」
私はさっきのは夢なのか、それとも現実なのかとしばらく考えていたが。結局何も解らなかった。
私は当然、バイトのことを完全に忘れていた。そして、今になって激しい動悸に気が付く。
恐怖と疲労、そして混乱。
生まれて初めての経験にショックが隠せそうもない。
私はどうしてもこの二人と別れたくない気持ちになり、さっさと呉林たちと牛久で降りる事にした。
牛久の改札口を出る頃には、有難いことに体の震えや動悸も少し楽になってきたようだ。私たちは、オアシスを求めるように、少し歩いた所のカフェレストラン「イースト・ジャイアント」に入る。
3人ともこの店に入るのは初めてのようだ。大きめの店、レストランだがコーヒーだけでもゆったりできるようで、今の3人には素晴らしいオアシスだった。
適当な席へと案内され、3人は各々好きなものを注文するためにさっそくメニューを捲る。
「改めて、私は呉林 真理。銀座で呪い師をしているわ。それと水道橋にある東京都内第6大学に安浦 恵ちゃんと通っているの」
どうやら、東京の大学に行く途中だったようだ。
呉林は熱い紅茶を青白い顔で注文する。やはり芸能人顔負けの凄い美人だった。
「俺は赤羽 晶。藤代にあるエコールという会社で、アルバイトをしているフリーター。あ、でも一生懸命やってるぞ……。それと、呪いって何かな?」
「簡単にいうと、お呪い。その教室の先生をしているの。非科学的だけど現実を全て知っている人なんてこの世にはいないはず。自分の知らないことには、占いや神様や運命のことを考えるでしょう? それと同じく呪いも必要だと思うの。私はそんな人たちに教えているのよ」