夏の日_。
「昨日人を殺したんだ。」
紫色のアメジストのような瞳を揺らし、ずぶ濡れの体のまま泣いていた。
夏が始まったばかりだったと言うのに、彼はまるで冬かのように酷く震えていた
そんな話で始まるのはあの夏の日の記憶だ_。
殺したのはいっつも虐めてきていた彼奴
嫌になって体を突飛ばしたら打ち所が悪かった…らしい
「もうここには居られないと思うしどっか遠いところで死んで来るよ。」
そんな君に僕は言った
「それじゃ、僕も連れてって?」
財布や手ごろなナイフと称した刃物たち、スマホやゲームを鞄に詰めて、いらないものは全部置いていこう
みんなで撮ったあの写真も様々なことを綴ったあの日記も今となっちゃもう要らないさ
人殺しの君とだめ人間の僕の旅だ
そして僕らはこんな狭い狭い世界から逃げ出した
家族も大切だったはずの友達もクラスメイトもみんな捨てて君と二人で。
「遠い遠い誰もいない場所で二人で死のうよ。」
にこっと笑いながら君はそう言った。
承諾はしたものの僕は小さな僕にしか聞こえない声で
「人殺しなんてそこら中沸いてるじゃんかッ…」
君は何も悪くないんだ
結局二人とも愛されたことのないというなんとも皮肉な理由で簡単に信じあっていた
君の手を握ったとき震えは既に止まっており、誰にも縛られずに線路の上を歩いた
金も盗んで、そのたびに二人で逃げて、怖いものは僕らにはなかった
額から溢れてくる汗も落ちていった何方の物かももう分からない眼鏡も今となってはどうでもいい
あぶれ者の小さな逃避行の旅だ
いつかみんなが夢見た優しくて誰にも好かれるような主人公なら汚くなった僕たちも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな?
でも、そんな夢なら捨てたよ
だってさ現実を見てよ
「シアワセ」の
たったこれだけの四文字なんて無かったって今までの人生で思い知ったじゃないか
『自分は何も悪くない』と誰もがきっと思ってる
あてもなく彷徨う蝉の群れに、
水もなく揺れだす視界に、
迫りくる鬼たちの怒号に、
ばかみたいにはしゃぎあいふと、
君はナイフを取った
「君…いや、‟ころん”が今まで傍に居たから此処までこれたんだ…」
「だからもういいよ。死ぬのは俺一人だけでッ…!」
そして君は首を切った
まるで何かの映画のワンシーンのようで
白昼夢を見ているようなそんな気がして、彼を見つめていた
そして気が付くと僕は捕まっていて
君は何処にもいなくて
そして時はどんどん過ぎていき、ただ暑い日だけが流れていった
家族もクラスの奴らもいるのに何故か君だけが何処にもいない
ふとあの夏の日を思い出す
僕は今も_
今でも歌ってる
君をずっと探しているんだ
君にたくさん言いたいことがあるんだ…!
九月の終わりにくしゃみをして、六月の匂いを繰り返す
君の笑顔は、君の無邪気さは頭の中飽和している
誰も何も悪くないよ
君は何も悪くはないから
もういいよ、投げ出してしまおう
そう言って欲しかったのだろう?
なあ!?
あの夏が飽和するの曲パロでした。
なんか上達した気分((
次回こそ「甘すぎる。」の続きだと…!()
お楽しみに…?
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