テラーノベル
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週明けの放課後。
昇降口を出ようとした咲は、そこで見慣れた背中を見つけて足を止めた。
「……悠真さん?」
振り返った悠真は、手に紙袋を提げていた。
「お、妹ちゃん。ちょうどよかった。亮に頼まれてさ、置きっぱなしになってた荷物を取りに来たんだ」
紙袋の中には参考書やファイルがぎっしり詰まっている。
「でもこれ、思ったより重くてさ」
少し困ったように笑う悠真。
「……私も、持ちます」
気づけばそう口にしていて、手を伸ばすと袋が少し傾き、指先が触れた。
「助かるよ」
自然に言われた一言に、咲の胸は大きく跳ねた。
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