テラーノベル
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23時59分。
旧校舎三階。
仁人は息を潜めながら、勇斗の後を追っていた。
勇斗は何も言わず、廊下の奥へ進んでいく。
まるで誰かを待っているように。
──ゴーン。
時計が深夜0時を告げる。
その瞬間。
蛍光灯が一斉に点滅した。
昼間とは違う、冷たい空気が校舎を包み込む。
🩷「……始まった。」
勇斗が小さく呟く。
その声を聞いた仁人は、思わず一歩踏み出した。
床が、きしむ。
🩷「!」
勇斗が振り返る。
🩷「……なんで来た。」
いつもの穏やかな声じゃない。
怒っている。
でも、その瞳には焦りが浮かんでいた。
💛「知りたかった。」
🩷「帰れ。」
💛「帰らない。」
🩷「仁人!」
その瞬間だった。
廊下の奥から黒い霧があふれ出す。
ゆっくりと人の形を作りながら、こちらへ近づいてくる。
勇斗はすぐに仁人の前へ立った。
🩷「下がれ。」
💛「嫌だ。」
🩷「お願いだから!」
初めてだった。
勇斗がこんな声を出すのは。
震えている。
怒っているんじゃない。
怯えているんだ。
💛「……勇斗。」
黒い影が低くうなり声を上げる。
次の瞬間。
一直線に仁人へ飛びかかってきた。
🩷「危ない!!」
勇斗が仁人を突き飛ばす。
代わりに黒い影の一撃を受け、壁へ叩きつけられた。
💛「勇斗!!」
勇斗の首元で、銀色のペンダントが大きくひび割れる。
淡く光っていた輝きが、ゆっくりと消えていく。
🩷「……しまった。」
勇斗は苦しそうに立ち上がる。
💛「そのペンダント……。」
🩷「見るな。」
💛「勇斗!」
🩷「頼む……見ないでくれ。」
その声は弱々しかった。
昼間の勇斗でも、夜の勇斗でもない。
一人の少年の声だった。
💛「なんで、そこまで一人で抱え込むんだ。」
勇斗は目を閉じる。
長い沈黙。
やがて、小さく笑った。
🩷「仁人が優しいから。」
💛「え?」
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#吉田仁人
はむさめ
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🩷「だから巻き込みたくなかった。」
黒い影が再び動き出す。
勇斗は立ち上がろうとする。
しかし足元がふらついた。
💛「もういい。」
仁人が勇斗の腕をつかむ。
💛「今度は俺が守る。」
🩷「……無理だ。」
💛「無理じゃない。」
仁人は勇斗の前へ立つ。
震えている。
怖い。
それでも逃げなかった。
💛「一人じゃない。」
その一言に、勇斗の瞳が揺れる。
今まで誰にも言われたことのない言葉だった。
黒い影がゆっくりと二人へ迫る。
その時――。
仁人の手が、勇斗の手を強く握った。
💛「絶対に離さない。」
勇斗はその手を見つめ、小さく微笑む。
🩷「……ほんと、お前には敵わないな。」
黒い影が二人へ襲いかかる。
二人は同時に前を向いた。
🩷
守るだけじゃ、
もう足りない。
仁人。
今度は、
隣で戦ってくれ。
コメント
1件
ちゃちゃゆさん、第4話読ませていただきました。 深夜の旧校舎、時計が0時を告げてから空気が変わるところ、すごくドキドキしました…!勇斗くんが「見るな」と懇願する声に、彼がずっと一人で抱えてきた重みを感じて切なくなります。でも仁人くんが「離さない」と手を握り返した場面は、ほんとに温かかった。「守るだけじゃ足りない、隣で戦ってくれ」というラストのモノローグにも胸が震えました。このエピソードで2人の関係が一歩深まった気がします🤍 次話も楽しみにしていますね。