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孤独毒 第1話
「いらない」
私は”ノア”。4歳。今、施設っていう場所に入れられる。私は歳の割に大人みたいってよく言われる。そんなの嬉しくないけどね。
「ノアなんか要らないのよ…。」
母はブツブツと声を出し、私の横を足早に進む。母は薬物中毒者だ。そして私がいらないから施設に入れるのだそう。
「あ、ノアちゃんかな?」
優しい女の人の声が響く。俯きかけている私は上を見上げる。そこには笑顔のお姉さんがいる。
「はい。ノアです。よろしくお願いします。」
母が早口で答える。お姉さんは困惑しながらも、
「よろしくね〜。ノアちゃん。」
といい、私の手を引いた。これが4歳の時の記憶。今思えば、施設なんか泣き叫んでも入らなきゃ良かった。だってそこは…孤児を対象とする人体実験施設だったんだから。
「…新入り?」
私が自分の部屋を探し迷っていると女の子が男の子を連れて近付いてきた。
「お前名前は?!」
男の子の方が声をかけてきた。
「…私はノア。」
「ふーん、ノアって言うのね。」
女の子が私を見つめる。優しい目だった。
「私はアンジェ。こいつは弟のトット。」
と、いい私を抱き締めた。
「やめて、何急に。」
「やだ、ノアってば大人びてるわね。トットは抱き締めたら喜ぶのに。」
「喜ばねぇよ!!」
2人は楽しそうだった。2人は気付いていなかった。いや、私も。ここにいる殆どの子達が気付かなかったんだ。この施設の怖さを…。
夜、私は目を覚ましてしまった。そして聞こえた絶叫。この声を、私は忘れることが出来ないと思う。
「きゃああああああッ!!いやあああああああああッ!やめて!!ごめんなさい!ごめんなさい!」
大きな泣き声。それなのに、周りの子供達は目覚めない。次第に私もふわふわとして眠くなっていった。
「ん、朝か…」
私は5時に目を覚まし、起き上がる。すると、
「早いわね〜!ノア!」
アンジェが声を掛けてきた。アンジェは6歳なのだそう。そういえば昨日泣き叫んでた子って誰なんだろう。私は見かけていない子だった。
「ねえアンジェ…。ここって何か悪いことをしているn」
「おはようノアちゃん、もう施設生活には慣れたかな?なんて、一日で慣れる訳ないわよね。」
笑いながら施設のお姉さんが話しかけてきた。
「早く起きたなら、お手伝いしてもらおうかな〜!いい子のアンジェちゃん、ノアちゃん、できるかな〜?」
アンジェは笑い、片手を上げた。
「はーい!おてつだいできまーす!」
そういった。私も
「できます」
と言って、お姉さんについて行く。お姉さんは食堂の中に入り、私達の方を振り返る。
「あのね、朝ごはんの前にテーブル拭いて欲しいなぁ!」
そう言って、アンジェの方を見た。アンジェは簡単に
「私が拭く!」
と言って罠にハマった。そしたらお姉さんは私の方を向き、
「ノアちゃんには皆を起こしてきて欲しいな?」
と言った。けど…
「嫌です。テーブル拭きます」
と、突き通した。お姉さんは諦めて、私が少しアンジェから離れた瞬間、アンジェに話しかけた。
「アンジェ、アンジェはねそろそろ新しいお母さんお父さんに引き取られることになるのよ」
と、伝えている。私は少しばかり耳がいい。
「え、そうなの?トットは…?」
「トットは別よ。ごめんね、」
お姉さんは申し訳なさそうな顔をする。アンジェは少し悲しそうな顔をして
「分かった、楽しみにしてる!」
と言った。
次の日。アンジェのお別れ会が開かれた。
「アンジェ、元気でな!」
「最後くらいお姉ちゃんと呼びなさい!お姉ちゃんと!」
と、アンジェが怒りかかる。アンジェは少しすると、私に向き直り、
「ノア、私はあなたと過ごした3日間、本当の妹のように接してきたわ。ノア、ここの子達はみんな優しいの。心を開いて幸せになってね。」
と言った。そして、お姉さんに手を引かれ施設を出ていった。
その夜。トットに叩き起され、トイレについて行く羽目になった。多分アンジェが居ないから泣き出したのだろう。そうして男子トイレ前まで来た時、ふとあのところが気になって行ってみた。すると…アンジェがいた。
「いやあああ!な、何?!やめてよおおおおおッ」
アンジェに電気ダメージを与えたり、攻撃や手術のような事を行っていた。私は何も言えず、男子トイレ付近まで戻って行った。