東京の街は、突如として異常な混乱に包まれていた。
信号は全て点滅し、交通は無秩序に暴走。建物の監視カメラが次々とダウンし、街の人々の表情には恐怖と混乱が渦巻いている。
「これは……電波兵器か?」
氷室 悠真は手元の解析機器を睨みながらつぶやく。通常の通信障害では説明できない周波数の異常が、都心全域で同時多発的に発生していた。
神城 蓮は仲間の黒瀬 鷹真に目線を送る。
「黒瀬、状況確認だ。人々を守りながら、原因を突き止める」
黒瀬は無言で頷き、街へと駆け出す。元自衛隊特殊部隊出身の彼の動きは、混乱する群衆の中でも確実に標的を見極める。
警視庁本部の情報は錯綜していた。
上層部は依然として事態の全容を把握できず、ゼロディヴィジョンの存在も、外部に露見しかけていた。
「……このままでは、組織そのものが崩壊する」
神城の言葉には焦燥感が滲む。しかし、目の前で暴走する都市を前に、彼の決意は揺らがない。
路地裏で倒れる市民、突然暴走する車両、そして制御を失った信号機。
「……ただの暴動じゃない。これは仕組まれた混乱だ」
氷室の分析は冷静だが、その口調には緊迫感があった。
神城は拳を握る。
「原因が何であれ、俺たちは止める。ゼロディヴィジョンの存在を知られようと関係ない――人々を守るのが、今の使命だ」
雨が街を洗い流す中、東京は暴走の序章を迎えていた。
その背後に潜むのは、人知を超えた“未知の力”――そして、国家の陰で暗躍する裏ゼロの影。
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