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上野文
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#異世界転生
K-Takasaka
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眠狂四郎
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#異世界
百はな🍑
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直樹の首を絞める力が弱くなり、直樹は勢いよく息を吸った。
ざらざらとしたコンクリートの地面の感触が汗と血で濡れた服越しに背中に伝わる。胸の鼓動はものすごい勢いで跳ね上がり、息を吸う度に胸から痛みが広がる。
(はぁ、はぁ……!なにも……見えないっ……!)
首を絞められて酸素が脳に供給されなかったせいで視界が真っ黒で、耳も聞こえない。暗闇の中は息を吸い込む音と激しく鼓動する心臓の音に満ちていた。腹には藤本がのしかかっている重さを感じる。
「かはっ!!藤本……大丈夫かっ!?」
かすれた声で藤本の名前を呼んだ 。
視界と意識が消える寸前で拳銃を握り、直樹は咄嗟の判断で引き金を引いた。
そうするしかなかった。だけど、なぜか後悔はしていなかった。これは自分が決めたことであり、互いの命を懸けた戦いだったから。
なるべく致命傷は避けるつもりで撃ったが、腹の上の藤本はあれから動いていない。直樹の頭の中には最悪の事態が浮かんでいた。
視界は徐々に光が見えてきている。早く藤本の状態を確認したい。だけど体が動かなかった。頭だけは動く。視界が戻りさえすれば確認できる。
その時、直樹の全身になにかが倒れた。
「藤本……?藤本大丈夫かっ!?」
直樹の顔の左側に何かがある。見えなくてもそれが藤本の頭だと分かる。
「頼む……早く動いてくれ……!!」
視界が元に戻るが左側が戻らない。乱打が左目に当たってしまったのだろう。
うつ伏せになった藤本の左側肩が見える。そこから左は見えない。
「くっ!」
ようやく体が動くようになり、藤本を体から離して地面に横たわらせる。そこで銃弾が腹部に当たっていたことに気づく。
「藤本!返事をしろ!」
「神……代……」
「よかった……。今すぐ病院に連れて行くから、もう少しだけ耐えてくれ」
「いや……もういい……」
「なんでっ!?」
藤本は今にも消えそうな声で言った。
「俺は…もう人間じゃない。俺は、あの時死にかけて…魔王の手下に連れてこられて魔王に体を売ったんだ…。神代たちに復讐するため、力を得るかわりに…だけど、もう負けたんだ…!」
藤本は泣きそうな目で、もう後戻りは出来ないと悟っていた。
「神代も分かってるだろうけど…俺、学校じゃ浮いてるんだよ、中学の頃からずっと。人生が苦しかった、叶えたい夢だってないし、目標なんてなかった。存在が影に薄れて生きてる意味なんてないと思ってたけど…初めて目標ができたんだ。復讐っていう悪役になる目標が。そのおかけで俺が生きる意味が見つかって、世界が前より明るく見えて…生きてる実感が湧いたんだ」
「藤本……血が……」
傷口から血が溢れ出し血の海を作り、藤本はすでに虫の息だった。
「最後に…聞きたいことがある」
藤本は直樹の目を見る。
「神代は…その力でこれからどう生きていくんだ?」
直樹は考えた。この力は守るためだけの力ではない、戦う事もできるのだとこの戦いで分かった。その事が分かった直樹はなにをすればいいのだろうか。
直樹は目の前の藤本を見つめる。
「俺は、何をしたらいいか分からない…!」
守れなかった、自衛隊の人との約束を。
今の俺には戦うことも、誰かを守る資格だってなくなってしまった。
「なら、世界を救え…!この世界を救えるのはっ…神代しかいない…っ!」
「無理だよ!怖い、死にたくないんだ…!」
「その力は特別だ…!感じたんだ、それは魔王に対抗できる唯一の力だって…西園寺《さいおんじ》も、そこにいる!」
「……!?里奈が!?」
「頼む、お前しか…いないんだ……」
藤本の体が冷たくなっていくのを感じる。
「分かった…やってやる!だから藤本、まだ……!」
藤本の体は完全に冷たくなっていて、もう動くことはなかった。それと同時に直樹を囲っていたバリアがなくなった。
また、約束をしてしまった。守れるかすら 分からない託された願い。
罪悪感が直樹の体を覆っていく。
すると突然、異世界の気配が強くなる。
暗黒の力が増し、魔王城全体を霧のように濃く覆い尽くす。空が厚い黒い雲に覆われ、世界に魔王の力が広がっていき2つの世界がより繋がっていく。一刻も早く止めないと世界は支配されてしまう。
すると、あの時の悪寒をまた感じた。全身の皮膚が凍えるような冷たい風が吹き付け、視界の端が暗くなり耳鳴りがし始める。
「また会ったな、原住民。今度は逃さない」
そこには全身が黒い鎧で覆われたやつが現れていた。
「ミコット……回復魔法とか使えるか?」
「一応使えるけど、その怪我を全部回復させることはできない」
「それでもいい」
ミコットは直樹を回復させ、直樹の傷が所々治っていく。左目の視界も確保できるようになった。
「その状態で挑むとは……だが慈悲はない」
そう言って黒い騎士は剣を構える。その瞬間、直樹はふらふらの足で走り出した。黒い騎士とは反対方向に向かって。
「ナオキさん!?戦わないんですか!?」
「クラスメイトが目の前で死んで自暴自棄になるとでも思ったのか!?この状態で戦えるわけないだろ!逃げなきゃ死ぬ!」
「逃げることは恥ではない、生き残るための立派な戦術だ。たが、生きて帰れるのは逃げ切った時だけだ」
直樹が考えていたのは戦う恐怖だった。予想していた通り、黒い騎士はすぐに直樹に追いついてきた。直樹は最初から普通の人間の足で化け物から逃げ切れるとは思っていなかった。
「不安定因子は取り除く」
「きっ……!!」
黒い騎士の剣が振り下ろされる。直樹は剣を突きだして防御しようとした。だけど、今残っているこの力だけじゃ防ぐことは出来ないと直感的に感じた。
今度こそ死ぬと思ったその時、目の前を空から影が現れ、金属同士がぶつかり合う音が響く。そこには青色の髪のエルフが黒い騎士の剣を受け止めていた。
「直樹ぃぃぃぃ!!!」
どこかで聞いたことがある声が空から聞こえ、空を見上げると白いドラゴンが太陽の僅かな光を雲のように遮り飛んでいた。
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