テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「これがサクマさんの世界……なんだか物々しい雰囲気ですね」
姫花はドラゴンの背から地平線を渡す。そこから見える景色は異世界に転移される前よりもずっと暗くて騒々しかった。
「そっちの世界の魔王が攻てきているからな、前はもっと綺麗だっただろう」
風が全身に打ち付け、髪と服が靡《なび》く。遠くに見える空には高層ビルより目立つ城が現れていて、世界が大きく変わってしまったと感じてしまう。
「あそこを見て下さい!」
誰かがそう言って街の一点を指をさす。そこには黒い塊があった。佐久間は直感的にそれが黒い騎士だと分かった。あの時の恐怖は今でも忘れられない。
そして黒い騎士の前に誰かがいた。それは直樹だった。
「あれは直樹!?あそこで何をしてるんだ!?」
「知り合いですか?」
「ああ!だけどまずい……!」
黒い騎士は今にでも襲いかかろうとしている。急いで助けに行かなければならない。
「皆さん!サクマさんのご友人を助けるのです!」
「はっ!」
「姫花……!」
「私たちはサクマさんに力を貸すって決めたんです。お礼はいりませんよ?」
「……ありがとう」
佐久間は足下を足で叩きドラゴンに言った。
「ドラゴン、高度を下げてくれ!」
ドラゴンは高度を下げて直樹の方へと向かった。直樹は走り出して逃げようとしているが、黒い騎士が追いかけて剣を振り下ろそうとしていた。間に合わない、そう思い叫んだ。
「直樹ぃぃぃぃ!!」
佐久間が叫ぶのと同時に剣を持った青髪のエルフが黒い騎士に飛び掛かり、剣を受け止めた。
「この声は、佐久間!?」
突然、竜巻が直樹の全身を覆い空中に浮かび上がってドラゴンのもとへ飛ばす。
「うわっ!?」
ミコットを置き去りにして直樹は空を飛んでいく。ついにドラゴンの背中が見える位置までたどり着く。そこには探していた佐久間がいた。
ドラゴンの背中に降りて直樹は一目散に駆け寄り抱きつく。
「直樹!」
「佐久間!どこ行ってたんだよ、ずっと探してたんだぞ!」
「とりあえず直樹が無事でよかった」
「ボロボロだけどな。あそこにいる赤い髪の人も俺の仲間だから助けてくれ!」
「分かった、姫花!」
「分かりました!」
姫花が風魔法を使い、直樹の時と同じことをミコットに行う。しかし黒い騎士がそれを止めようとする。
「逃さない」
「っ!!お願い早く!」
黒い騎士の前にまた青髪のエルフが立ちはだかり、剣を振り黒い騎士を遠ざける。
「ここは任せて!」
そう言って黒い騎士に魔法を放つ。様々な属性の魔法を使い黒い騎士を近づけさせない。
直樹は戦っている青髪のエルフに指示した。
「雷魔法を使え!全身鉄だから効果抜群のはずだ!」
「分かりました!」
指示通りにエルフは雷魔法を集中的に使い始める。それにより一層、黒騎士の動きが攻撃を避けることに専念しだした。
その間にミコットは直樹達のもとへ合流することに成功する。
戦っているエルフが言った。
「ここは任せて行ってください!」
「無茶だ!?1人で相手できる相手じゃない!」
すると直樹の横から2人のエルフが現れて言った。
「なら私たちも加勢してきます、皆さんあとは頼みました!」
「おいっ!」
直樹が止めようとするが姫花がそれを止める。
「大丈夫です。彼らを、私達を信じてください」
「時間がない。3人が時間を稼いでいる間に魔王城に向かわないと無駄になる」
「……分かった、急ごう!」
そうして直樹達は空に浮かぶ魔王城へと向かった。
しかし、感動の再会を果たしたはずなのに直樹と佐久間には気まずい空気が流れている。
「直樹、あそこに倒れてたのって」
「……藤本だ」
「あいつ、生きてたのか……」
「……ごめん」
「なぜこのタイミングで謝るんだ?」
話そうと思って息を吸ってもなにも吐き出せなかった。こんな時でも逃げてしまう自分に腹が立った。佐久間は藤本のあの姿を見たはず、逃げられるわけないのに。
「全部……俺のせいなんだ。藤本が死んだのも。俺が守れなかったから、約束を守れなかったから、そのせいでこんな事になって」
「お前のせいじゃない。全部、背言わなくてもいいんだろ?だから今は過去に囚われてる場合じゃない、これからの事を考えろ。それが俺たちにできることだ」
「……佐久間、ごめん本当に。ありがとう」
「謝るか感謝するかどっちかにしろ」
お互いに笑い合って気が楽になった。頭の奥がスッキリして世界が明るく見えた気がした。
そして、直樹はなにがあったのか全て話し始めた。
・ ・ ・
──あの人間、せっかくチャンスを与えてやったのにやはり大した事なかったな。やつは殺し損なったが、貴様は私の手で……直々に殺してやる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
上野文
10,047
#異世界転生
K-Takasaka
185
眠狂四郎
1,113
#異世界
百はな🍑
10,134