高橋奏(たかはし かなで)と篠原悠真(しのはら ゆうま)は、幼稚園のころからの幼なじみ。隣の家に住むふたりは、小学生のころから一緒に登校し、高校生になった今も変わらずお互いの家を行き来する関係だった。
奏は明るくて少しおっちょこちょい。一方、悠真はクールで頼れるタイプ。二人はまるで太陽と月のように対照的だったけれど、気がつけばいつも一緒にいる。奏が悠真をからかえば、悠真が冷静に返す――そんな軽口を交わす関係性に、周りからは「付き合ってるの?」なんて冗談を言われることも少なくなかった。
でも、奏にとって悠真は「特別な幼なじみ」であり、「恋愛対象」ではないと、ずっと思い込んでいた。ある放課後、奏が悠真をからかうように言った一言が、二人の関係を大きく動かすきっかけになる。
「悠真ってさ、将来彼女できるのかな?」
放課後、帰り道を歩きながら奏が軽い口調で言った。
「は?」
悠真が眉をひそめ、横目で奏を見る。その表情に少し笑いながら、奏は続ける。
「いや、だってさ、冷たい感じするし。相手ができてもすぐ振られそうっていうか――」
「……お前に言われたくない」
悠真はため息をつき、手に持っていた鞄を軽く振る。
「え?なんで?俺、結構いい男だと思うけど?」
奏は自信たっぷりに胸を張ってみせるが、悠真はそれを鼻で笑う。
「何が『いい男』だよ。お前、全然わかってないな」
「わかってないって、何が?」
悠真は足を止め、真剣な顔で奏を見つめた。
「俺、ずっとお前のこと好きなんだけど」
突然の言葉に、奏は硬直する。
「……え?」
悠真の表情は真剣そのもの。冗談を言っているようには見えない。
「だから。俺に彼女なんてできるわけないだろ。お前以外、考えられないんだから」
夕日に染まる帰り道で、奏の胸がドクンと大きく跳ねた。
コメント
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マジか。。。。。。。。。 やば